11
2
4
8
10
12
14
16
18
19
20
21
23
24
26
27
29
30
   

最上部にて…

コメントは公開設定となっています。 公開に抵抗のある方・長文となる方はメールをご利用ください。 又、コメント・メール共に必ずお返事できるとは限りません。 予めご了承ください

お兄ちゃん達 ④

 梅雨時とは言え見事に晴れ上がった日の、夕方にはまだ間がある時間帯。
 イツキと仔猫を肩に乗せたオミが、片手に荷物、メモを逆の片手にと、きょろきょろしつつとは言え、のんびり歩いている。
 「ここら辺なんだけどな…。」
 「『ペンション』らしき建物、見当たらないねぇ。」
 二人とも辺りをキョロキョロと見回している。
 「でも、住所はここら辺……、あっ…た。」
 オミがイツキの声に顔をそちらへ向け、イツキの目線を追うと、その先には確かに大きめの建物が確認できる。
 「『ペンション』?んー?」
 首をひねる。
 「でも、周りの家とは造りが違うし。」
 「うー…ん…。まぁ、確かに違う…けど…。」
 二人の言う通り、確かに違う、が、違いは敷地が広い、建物が大きい、建物の外壁にタイルが貼られている、ドアや窓の形が小洒落ている、庭が小ざっぱりしている程度で…、オミが言い淀むのも致し方ない。
 「お前、これで当たりだったら、その態度すんげえ失礼だからな。」
 うひゃっ。
 「取り敢えず、声かけて見よう。」
 門柱に律儀に取り付けられているインターホンを、イツキがこれまた律儀に押すと、
 「はい?」
 インターホンからは、意外な程若い男性の声が応じる。
 イツキが、己の感じた怪訝さを隠しつつ尋ねると、ココがそうだとの答え。
 インターホン越しの話しを済ませ、オミにここが目当ての場所であると伝え終えるのとほぼ同時に、門から奥まった所にある建物のドアが開かれる。
 「いらしゃい。今お話させて頂いた、超能力者さんですよね?」
 インターホンでやり取りした声と同じ声の若い男性が、玄関から続くアプローチを辿ってくる。
 問いかけに返事をするも、イツキとオミの表情に浮かんだ疑問は隠し様もない。
 この人が経営者?若過ぎ無い?ハタチにもなってないでしょ…。
 二人の疑問を察したか、少年が二人を招きつつ理由を説明する。
 「父が、まだ会合から戻らないものですから。予約のお客様がそろそろお着きのはずだからと母に言われて、弟と一緒に番をしていたんです。」
 説明しつつ玄関を開け、二人を招き入れる。
 迎えに出た少年の視線を追うと、受付らしきカウンターの中にいる年若い少年が、軽く会釈を返してくる。
 兄の年齢が16・7で、弟は14・5程か、『兄弟』と言われれば納得できる程度の、似た容姿をしている。
 「いらっしゃい。ウチ判りづらかったでしょ。『ペンション』なんて言ってるけど、ペンションらしい造りしてないから。」
 弟が懐っこく声をかけてきつつ、カウンター内へ入った兄へ、クリップボードとペンを手渡す。
 「えー…と、予約の電話の時に確認をさせて頂いたと思うんですが、念の為もう一度確認させて頂きます。」
 兄が改まって切り出してくる。
 「ウチでは、諸々の手伝いの為に、泊まり込み ― 宿直とも言いますが ― や通いで出入している人がいるんですが、そういった人達の中には、汚染の影響を受けた人もそれなりにいます。汚染の影響を受けた人が、建物内で立ち働いていたりするワケですが、不快と感じたりなさいますか?」
 この問いに、二人が首を横に振り、否と伝えると、兄弟の表情から僅かに力が抜ける。
 「では、恐れ入りますが、こちらの念書にサインをお願いします。って、あの、日本語の読み書き、できますよね?」
 兄が紙を挟んだクリップボードとペンを差し出しつつ、慌てた様に尋ねる。
 「うん、出来るよ。って、何年『こちら側』に居ると思ってるの…。」
 イツキが受け取り、サインをしつつ笑いながら答え 
 「念書…か。随分とキッチリするんだねぇ。」
 尋ねるでもなく口にする。
 「以前にちょっとありまして…。言った、言わないみたいな水掛け論になってしまって…。で、一応、念の為にって。」
 でも、読み書き可能で良かった…。お客さんの中には、会話は可能でも読み書きはちょっとって方が結構いるから、等と付け加える。
 「ま…、口ではどうとでも言えちゃうから、水掛け論にもなるよね。」
 オミのサインを待ちつつ理解を示す。
 「あ、こちらも再確認をしたいな。電話でも訊いたけど。」
 ふと思い出したようにイツキが言い出す。
 「はい?なんでしょう?」
 「ペットもOKなんだよね?」
 オミの肩に、腹ばい状態でリラックスしている仔猫を指し示しつつ尋ねる。
 「えぇ。猛獣とかでない限り。ただ、ペットの風呂使用は禁止なんですが。」
 「そのニャンコは、ナリは小柄だけど猛々しかったりするんですか?」
 弟がタイガーを、目を細めて見つつ軽口を叩く。
 「随分、人馴れ、外慣れしたネコですね。大抵のネコは、始めての場所や知らない人を警戒するのに。」
 兄弟揃って、ニコニコと目を細めてタイガーを眺める。
 オミの肩の上で、腹ばい状態で周りの様子を見て居たタイガーが、自分を見る二人の視線に気付き、目をクリクリさせつつ小首を傾げる。
 兄が表情の緩むのを隠すように手元へと視線を落とすのに対し、弟はタイガーの仕草に嬉しそうな笑みを浮かべ、かまおうとする。
 兄は真面目に、宿泊者や宿泊数、食事提供・風呂利用について等予約の確認を進める。
 「風呂は、遅めの時間帯には宿直の従業員も使用させて頂きます。それと、お使いいただく部屋なんですが…。二人と一匹とは予め伺っていますが、全室借り上げなので、お好きな部屋を選んでいただけます。どの部屋になさいます?」
 新たな用紙を挟んだクリップボードを差し出し、尋ねて来る。
 イツキとオミが覗き込むと、肩の仔猫もマネをして覗き込む。
 差し出された用紙には、各階の部屋の用途や部屋タイプ、非常口等の簡単な概略図が記されている。
 1階は食堂、浴室、受付やロビー、ラウンジ等公共部分とリネン室、受付とは間逆の奥側に厨房が有り、受付の裏、休憩室や従業員室、仮眠室脇の廊下と繋がった先に経営者家族の住居があり、客室は受付やロビー側の2階、3階に記されている。
 1階の受付、ロビー、ラウンジ部分は3階まで吹抜となっていて、2階、3階共造りは同じ。
 それぞれ階段寄りから、シングル2部屋、ツィン2部屋が廊下を挟み向かい合わせに有り、一番奥、廊下の突き当たり正面にダブル1部屋となっている。
 廊下は階段から伸び奥の部屋の前でT字状になり、それぞれの先端に非常口が設けられている。
 エレベーターなんて物は無い。
 「ご覧になるとお分かり頂けると思うんですが、ウチにはスイートは有りません。ダブルの部屋がそこそこ広めですが。」
 「ダブルのお一人様使用をお勧めします。部屋も他より広いし、ベッドも大きいですから。」
 兄が補足説明をすると、弟が軽く言い添える。
 「オミ、どうする?」
 「キーちゃんと同じ部屋で。」
 即答。
 「んじゃ、ダブルで。2階の部屋で良いよな。階段上るのメンドイし…。」
 大して悩みもせずにダブルを選択するイツキと、不満を表さないと言うより、当たり前な態度のオミの様子に、軽く驚きを示す兄弟。
 弟が気まずそうに口を開き、改めて確認を取る。
 「えー…とぉ…、ダブルの部屋ですと…、ベッド1つしかありませんけども…。ウチはエキストラベッドなんて物もありませんし…。」
 「うん。普通、ダブルってそうでしょ。」
 真顔で返される。
 「ベッドが1つでも問題ない、と理解して構わないですか?」
 兄が確認を取ると
 「うん?大きめのベッドなんだろ?」
 「えぇ。大きいですね。」
 「なら、良いよ。二人で使うのにきつそうだったら、その時また対応して貰うから。」
 兄弟の、表に出すまいと堪えつつも滲み出てしまう様々な葛藤を、イツキもオミもどこ吹く風とばかりに全く気にしていない。
 「分かりました。206号室をご利用になる、と。では、改めてこちらへ、ご記入をお願いします。」
 部屋番号に『4』や『9』を使わないという、日本のとても古い習慣を遵守している。
 気持ちと、表情を切り替えた兄が差し出してきた宿泊者カードに、イツキが記入を進めるが、とある一箇所でペンが止まる。
 「これ、住所、居所ってあるけど…、実際に住んでいる所のを書かないとダメかな?」
 「え?えぇ、まぁ…。法律で決まっていまして…。お泊りになる方に、ご本人の住所を書いて頂く事になっています。」
 「ぅーん…。住所はマル秘にしたいんだよねぇ…。」
 「は…ぁ。あー…の。」
 相手の気懸かりに気付き同意を示しつつも、口調を切り替え、
 「自分達も一応、家の手伝いとは言え従業員扱いになるんで、ですので、その、守秘義務?に縛られていますけど…。それでもやはり、書き込むのに抵抗を感じますか?」
 『子供』であるから、一定以上の信頼は得難いのだろうと察した兄が、ダメ元で食い下がるが、
 「ぅーーーーー…ん。」
 イツキが難しい顔をして考え込む。
 同意は出来兼ねると、イツキのその態度を目にした弟が、少々不安げな表情をし、兄へと視線を向ける。
 「では、そのカードの続きは、父が戻ってからご記入いただけますか?実際の住居の場所を書かなければいけないのか、或いは、連絡の取れる所なら良いのか、自分達では判断が出来兼ねますので。父には自分達から説明しますし、二度手間をお掛けする事になってしまいますが。いかがでしょう?」
 兄の方に妥協案を提示され、イツキも強く拒否するワケにもいかず申し出を受け入れる。
 尤も、法律が絡んでいる上に、ゴネているのは自分の方なのだから、申し出に応じる以外の選択肢は無いのだが。
 
スポンサーサイト

お兄ちゃん達 ③

 駄菓子屋で、稀にみる大敗を喫した翌日の午後、二人の超能力者は、前日と同様、好奇心の赴くまま町を散策している。
 すれ違う人々は、多くは二人を目にして少々驚きの表情を見せるが、だからといって特にどうという事もなく、極々当たり前の事の様に通り過ぎる。
 二人に対し、驚きの表情を見せてしまうのは、まぁこれは致し方ない事かと。
 テレビや新聞で取り上げられる事のある人を、間近で目にすれば、大抵の人は驚くでしょう。
 容姿に加え、二人は独特の服装をしているし、なにより『超能力者』として有名でもあるのだし。
 それはそれとして、同じくすれ違う人の容姿、…悪い表現だが外見、が様々で…、その多くは、確かに顕著に目立つ部分の無い容姿をしているが、時折目を引く容姿の者も居、ただ、この人達も特になにという事もなく、なされずに歩いている。
 すれ違う人、通りかかる人、道端でおしゃべりに興じる人、皆々楽しげに見える。
 幼い子達など、どの子がどなたのお子さんなのか、判断に迷ってしまう程いっしょくたになって、大人達の傍らで遊んでいる。
 と、どこからか、独特の香ばしい匂いが漂ってくる。
 小麦とバターとイーストが混ざった…パンの焼ける匂い。
 二人はおや?という顔をし、匂いの元を辿る。
 「良い匂いだねぇ。おいしそー。」
 オミが嬉しそうに言うと、イツキも
 「あぁ、旨そうな匂いだな。どこだろ?」
 店を探すように、首を伸ばしながら応える。
 「あ、あそこ。パン屋の看板あった。」
 「お。寄ってみるか。1個か2個くらいなら夕飯にも響かないだろ。」
 オミはうんうんと嬉しそうに頷く。
 「超能力者NGじゃ無いと良いんだけどな。」
 ピクっと一瞬固まるオミ。軽く不貞腐れた表情を見せる。
 「仕方ないでしょー。あちらも商売なんだから、色々あらーな。」
 そこで買えなかったらって餓えて死ぬってワケじゃなし、とイツキが宥める。
 店に入ると、焼き立てを奥から出してくるところの少年と目が合う。
 「あ、いらっしゃーい。」
 パンの並んだトレーを抱えて声をかけて来る。
 「あーと、ごめんなさい、ネコ、そのままだとちょっと…。」
 オミの肩に陣取っているタイガーを見て、少々都合の悪そうな顔をしつつ遠慮してくれと伝えて来る。
 「毛がねぇ…。ウチはガラスケース使ってないから、どうしてもうるさく言われちやうんで…。ネコ用のキャリーバッグに入れて頂くか、その仔は小さいから、ポッケに入ってて貰うかして頂かないと。」
 「オミ。仕方ないから、腹んトコにでも入いらせときな。」
 オミが、全く持って不本意です、と表情に表しつつ、イツキの言葉に従い、上着の前合わせの隙間から内側へと、仔猫を隠し込む。
 子猫が、上着の腰の部分を、キチンと足場にしているか確認しているオミを、イツキが宥める。
 「ヘソ曲げんなよ。客商売の食い物商売だ。店側の一存ではどうにもならない事ぐらいあらーな。」
 「すみませんね。個人的には、お行儀よければ良いじゃないか、とは思うんですけどねぇ…。で、えーと、お気に召したのがあったら、どうぞそちらのトレーにお取り下さい。トングも、トレーの所に下がっているを使っていただければ良いんで。」
 「なる程。欲しいのを自分で取っていくパターンね。オミ、お前どれにする?」
 手にしたトングをカチカチならしながら尋ねる。

 選んだパンをトレーに載せ、イツキがレジへ持って行くと、先ほどの少年が会計を行いつつ
 「お二人は、そこの宿にお泊りでしょ。ウチの事は、宿の人に聞いたんですか?」
 会計ともパンとも関係の無い事を尋ねて来る。
 「え?いや、違うけど。」
 「あ、そうなんですか。それは失礼を。忘れて下さいな。」
 「??なに?って言うか、なぜ泊まっている所を知ってるの?宿は他にもあるよねぇ。」
 「はぁ、あそこの弟と同い年の幼馴染なんで…。少しなら情報が流れて来るんです。」
 あれ?なんか聞き覚えのある話し…。
 二人が、へ?と、きょとんとしていると、少年も、?、と不思議そうな顔をする。
 「えーと…、幼馴染?」
 「ええ。弟の方と。」
 それが?と表情で尋ねる。
 「うー…んと、もしかして、駄菓子屋の子も…?」
 「え?ええ。アイツも幼馴染です。行ったんですか?それとも聞いたとか?」
 「行った。こちらと同様、偶然。」
 「あはは『偶然』か。なにか買ったんですか?見ただけかな?」
 雑談は雑談として、少年の手は会計をしつつ、商品を次々と個別に袋へ入れていく。
 「なにを…って…。チョコと飴は買ったけど…。」
 二人が共に、これ以上触れないでくれ、と全身から漂わせる。
 少年は懸命にも様子を察し、話しを変える。
 「えーと、4点で合計460円になります。」
 代金を払いつつ、イツキは、ふと気付いた事を尋ねる。
 「もしかして、あそこの宿に卸してる?」
 「え?えぇ、まぁ、いくつかは。」
 少年は再び、それがどうしました?と表情で尋ねる。
 「あ、いや、さっき『聞いた』とかなんとか、言ってたから。もしかしてって思って。朝食にパンあったしね。」
 「あぁ、成る程。そこのブレッドやバケットやテーブルロールなんかを使って貰ってます。」
 「バケットも?」
 商品を並べてあるテーブルへ、勢い良く振り返るイツキ。
 「どうしました?」
 「ちょっとまった。バケットとテーブルロールとブレッドも買うわ。」
 「え?え?いや、あの、ちょっと、その。」
 少年はしどろもどろになりながら声をかける。
 「え…と、ウチは…あの、構わないんですが…、そのぉ…。」
 イツキの勢いに押されてか、歯切れの悪い話しぶりとなる。
 「食べ切れないんじゃ…?」
 痛んじゃうと思うんだけど、とやっとの思いで続ける。
 少年の忠告で我に返ったイツキが、バツの悪そうな顔をすると
 「まだ、こちらに居るんでしょう?でしたら、今回はこちらの小振りな方だけお買い上げ頂いて…。ソレは、そのまま戻しておいて頂ければ構わないんで。」
 と、助け舟を出し
  「ウチのパンをお気に召して頂けた様で…ありがとうございます。父の励みになります。」
 改まって礼を口にする。
 そして、会計の済んだパンを差し出しつつも、口調や雰囲気をガラリと変えて、
 「俺、ヤスノリって言います。宿に戻ったら訊いて見て下さい。知ってるか?って。駄菓子屋のトシの事も。」
 悪ふざけをしているかのような笑顔をしつつ名乗る。

お兄ちゃん達 ②

 オミがタイガーのじゃれ付きを牽制しつつ、真剣にクジを引いている間、イツキは大して広くない店の、その奥の方を眺めている。
 『駄菓子屋』だから当たり前の、低金額子供向け菓子類や、オミが熱中している各種クジ引き、子供向けドリンクや、季節柄扱い始めのアイス類、値段を下げる為に少なめに梱包された、大人向けの菓子が数種類、或いは量り売りの小粒な菓子類等、所狭しと陳列されている。
 雑貨は余り扱っていない等、店の様子を見ていると、商品が所狭しと飾られているその一角に目が留まり、首を微かに傾ける。
 そこには『駄菓子屋』には似つかわしくない、どこをどう見ても『お高級』そうな、立派で美麗な包装を施された菓子箱が飾られている。
 なんで?価格帯がズ抜けて違うんじゃね?客層に合わなくね?売れるの?買いに来る人居るの?それとも単なる、店の飾り?
 イツキの頭が失礼な疑問を次々湧き上がらせていると、先程の、店番の少年が気付いて、店先から声をかける。
 「あー、それねぇ、付き合いって言うか…、義理って言うか、泣き付かれたって言うか…。」
 元々は付き合いの無い業者が、卸し先が店を畳んでいた事を後になって知り、僅かでも良いから買い取ってくれないかと、持ち込んできた品である、と説明する。
 「ほら、この間の…、もっと東の方で起きた、例の蛾?の騒ぎの時。卸し先が結構な件数、被害受けたとかで。数件が店を畳んじゃってて、店を畳まなかったところも納品数を減らしてくれって。で、商品がダブ付いて困ってるって。」
 商品は売れないわ、お得意さんが被害にあってたからお見舞いしなきゃだわ、仕入先に支払いしなきゃだわ、で泣き付かれた、と。
 「客層が違うから、ちょっとダケね、買ったんだけど…。やっぱり、売れません。他の商品みたいに小分けして、一個辺りの単価を下げても無理だろうしねぇ、この手の物は。」
 肩を落とし、溜息混じりに締めくくる。
 「腐るものじゃないけど、このままだと、時期的に溶けちゃう。チョコだし、飴だし。」
 「売れなかった場合、どうするの?泣き付かれた結果で、付き合いでの仕入れとはいえ、卸しサンの元値も安くは無いだろうし。」
 だから、卸しサンだって余り値引き出来ないだろうし、結果として仕入れ値だってソコソコしたはずだと推測する。
 「家庭内で消費です。」
 即答。
 「それって…。」
 「仕入れ金額分、どぉ~んとマイナスです。」
 生活に響く、ね。
 うんうん。
 二人が雑談を交わしていると、オミが情けない声でイツキを呼ぶ。
 「キーちゃぁん…。」
 「おー、結果はどうなった?デカイの当たってそうか?」
 オミは無言で、手にしたクジの紙片10枚を見せる。
 『ハズレ』×10
 覗き込んだイツキの目が点になる。
 「おま…っ。いくらなんでも、…全敗って。」
 「うーん。見事ですねぇ。」
 オミは半べそをかいている。
 「えーと…、このクジは、ハズレ1回で、ウチの商品の、30円相当の品と交換可能ですけど…。どれにします?」
 少年はわざとらしく、取って付けた様な営業スマイルを見せる。
 「10回だから、30円相当の物10個、選んで下さいな。」
 オミはおもむろに、手にした紙片をイツキに渡し、
 「もっかいやる。お金頂戴。」
 「お前ねぇ…。」
 「もう1回やるっ!『スーパーボール』欲しいっ!」
 すっかりお子ちゃまモードで、むきになる。
 「分かったよ…。」
 呆れて言い返す気にならないイツキは、仕方なく再び小銭を持たせる。
 オミはタイガーをイツキに預け、気合を入れて、いざリベンジ!
 「お二人は、その先の『お宿』に泊まってるんでしょ?なんか、『大物が泊まりに来る』って聞いた。」
 店先でオミのクジ引きの相手をしつつ、話しを変える。
 父親は、と言うと、これまた定連さんや定連さんの連れている幼い子供たちの相手をしている。
 「『大物』ね。うん、ま、この先に泊まってる。」
 「『大物』サンでしょー。トンデモ傍迷惑なヤツを斃すところがテレビで撮影されちゃうし。」
 「あの撮影、ほんとは邪魔なのよ。危ないし。」
 「え?危ない所から撮影してるの?ギリギリ安全、って所からだと思った。」
 「ギリギリ安全って、ちょっとズレたら危険って事では…?化物が大人しく、一箇所に留まっててくれるとは限らないし。」
 「あ…。そ、か。」
 「ところで『聞いた』って?この辺りでは、客の情報を流しちやうの?」
 「流すって言うとアレだけど…。宿の、兄弟と仲良いし。って兄弟と会った?」
 「うん。『お兄ちゃん』が中々しっかり者だね。弟君がしっかりしてないって意味じゃなく。」
 「あははー。『お兄ちゃん』はねー、やっぱ『お兄ちゃん』だよねぇ。オレ、弟の方と同い年で、良く一緒にいるから。学校も同じクラスだし。だから、チョロっと教えて貰っちゃったり…。」
 「あぁ、成る程ねぇ。チョロっと、ね。」
 「そ、そ。チョロっと。てか、アレは黙ってろって言っても無理でしょ。」
 「?アレって?」
 「全室借り上げなんでしょ?興奮状態で、でも学校着いて教室の隅っこ行くまで教えてくれなくて。」
 「念には念を入れてるんだねぇ。」
 「一応、ね。」
 「あ…そぅ。」
 「で、借り上げなんでしょ?」
 「うん、まぁね。超能力者嫌いな人と一緒になっちゃうと、色々面倒臭いからね。」
 「凄いね。大して部屋数無いとは言っても。」
 口調から、イツキ達への嫌味でも皮肉でも無く、宿を揶揄しているワケでもなく、単に感想を述べているだけと分かる。と、そこへ再びオミの情けない声が…。
 以下略。
 オミが懲りずにリベンジを繰り返し…。

 結果…。

 50戦49敗1分け

 引き分けの内容は、2番目に小さいサイズの番号、所謂切り番を引き当てた、というものですが…。
 50回×30円=1500円のご利用です。
 「お・ま・え・はっ!」
 オミがすっかりしょげ返り、イツキが半ばキレている脇で、店番の少年は堪え切れずに肩を震わせて笑っている。
 ハズレ券がこんなに、どーしましょ?えーと、そこの…。
 と困り顔の二人の視線を感じたか
 「トシって…呼んで…くれて…良いです。」
 笑いが収まらず、途切れ途切れに応える。
 少年の名乗りを受けて、イツキが改めて確認をとる。
 「トシ君、さっきハズレ券1枚で商品との交換がどうとか言ってたよね…?」
 「はい。30円の…品を…トータル49個…、ど…ぞ。」
 イツキが49個も、どーしましょう?と途方に暮れていると、傍らから篭が差し出され、
 「コレに、選んだものを入れて頂ければ。あ、父さんに掛け合えば、少しは商品の幅を広げられるかも…。」
 辛うじて笑いを収めたトシが言い添える。

お兄ちゃん達 ①

 春が終わり、夏が始まる前の梅雨時。
 二人の超能力者が、好奇心に唆されて訪れた、とある町。
 『観光名所』があるワケでもないので、当然『観光地』では無く又、円盤状に広がった街の繁華な中央部でも、『外部』の荒地に近い田畑や牧場が続く外縁部でもない。
 二人は、この中間帯の町の『外部』寄りから『中央部』方向へ向けて、日常感溢れる生活道路を、興味本位に散策している。
 火災対策の為に、程々に広くとった敷地の中央に、こじんまりと家屋が建ち、家屋の周囲に寄り添うように、僅かに庭木が植えられている、そんな家々が連なり、二人が進むにつれ、家々の連なりが少しづつその様相を変える。
 敷地の道路側には店舗、その奥に住居といった造りの商店が少々増え始め、その数が逆転し始める辺りに、火災や地震発生時の避難先とされる『公園』が現れる。
 この『公園』と街区を一つ隔てた通りの、交差点を曲がり道なりに真っ直ぐ進めば前方に『公園』が見え、同じ角を公園方向とは逆に曲がり少し進むと、敷地や家屋が一回り、二回り程狭くなる、その様な、家屋の造りに変化の見え始める辺りで二人は『駄菓子屋』を見つける。
 『駄菓子屋』の店先では、様々な容姿をした、学齢前とおぼしき幼児達や、その子達よりは少々大きい子供達が集い、随分と賑わっている。
 店の前は当然道路だが、『クルマ』なんてものは通らないので、気を付けるべき対象は『歩行者』と『自転車』程度だからか、子供達の小さめの『広場』代わりになっている。
 尤も、子供達が集って騒いでいれば、離れていてもソレと気づくので、歩行者や自転車側の方が先に気付き、脇へ避けて通る為、子供達としては道幅一杯に広がらなければ良いだけだが。
 その様子を見たイツキがオミに小声で話しかける。
 「すごいな…。汚染の影響を受けた子も、受けていない子も、一緒になって遊んでる。」
 「キーちゃん、ねね、クジあるよ。やっていい?」
 聞いて無い。
 「お前…。」
 イツキは呆れて嘆息する。
 「『スーパーボール』が当たるんだって。大きめの欲しいかも。って、スーパーボールってなに?ボールとしか分かんないんだけど…。」
 『駄菓子屋』の店頭に飾られている、大小様々でカラフルなゴムボールにオミの目が釘付けになっている。
 「跳ね返りの大きいアレだろ。」
 「あっ。あぁ、アレか。天井や、下手したら屋根まで跳んじゃうヤツ。へぇー、こうゆう店で売ってるんだ。」
 「売ってるっていうか、クジで当てたら貰えるんだろ。小さいのはヤバイな。タイガーが喉に詰まらせるかもしれない。」
 「ヤバイって言ったって…、クジだし。小さい方が数多いし…。」
 だから小さい方が当て易い、と。
 「一発でこのデカイのを当てなさい。」
 飾られている中で一番大きい、大人の握りこぶし程度のボールを指し示す。
 それは一等賞ってヤツでは…?つか、窓とか天井とか戸棚とかヤバイんじゃね?
 思ったけど言わないオミ。
 迂闊に口にして、クジ引きそのものにダメ出しされたくは無いから。
 なので、代わりに口にしたのは、当然と言えば当然の
 「うん、頑張る。」
 やる気に満ちた顔を見せると同時に、左手はタイガーを支えているので右手を差し出し、
 だからお金下さい。
 とジェスチャーで伝える。
 その手を一瞥し、仕方ないと嘆息しつつ小銭を渡す。
 「俺はちょっと奥を見てるぞ。」
 イツキが声をかけるのとほぼ同時に、店の奥から若い声がかけられる。
 「いらっしゃーい。って、あれ?超能力者サン?」
 自分達に向けられた声なので、二人とも店の奥に顔を向けると、そこには14、5歳の少年が顔を出している。
 「店番の手伝いです。」
 成る程、息子か、そぅか、大きい子の学校も終わる時間か。納得する二人。
 父親は、先程から、賑やかにしている常連らしき客たちの相手をしている。
 「超能力者さんですよね?失礼ですけど、超能力無しでお願いしますよ。」
 にこにこと愛想良く、但ししっかりと釘を刺して来る。
 「当たり前です。そんなのは詐欺や窃盗でしょうに。くじ引きって、当たるかな、当たると良いなって、ドキドキとワクワクにも同時に金払うモンだしね。超能力でズルして当てるなんて、無粋でしょう。」
 イツキが笑いながら応じる。
 「なら良いんです。単に予防線張っただけだし。」
 手をヒラヒラ振りながら、そんな事本気で思ってたりしていませんよ、と付け加える。
 相手が超能力者であろうと、全く怖気づく様子が見られない。
 「で、コレ一回いくらかな?」
 「スーパーボールのなら1回30円です。」
 「じゃ、10回やれるね。」
 オミが小声でイツキに言うと
 「10個もいらないだろ。」
 冷静に返される。

お仕事の愚痴ざます

なんと言うべきか…

『ゆとりの底辺』スゲー

マイナスの計算
できねぇでやんの

-2.8+(-1.4)=???

しばらくの間考えていた様だけど
(考えているフリかも知れないが…)
結局答えが出なかったようで
隣の人に丸投げで聞いていたみたいだった

聞かれた人は考え方や答えを教えていたけど
同時に冷静なツッコミも入れてたワ
(冷静だけどキツくは無い)
フォローはだぁーれもしません
あまりのアホらしさに
質問もツッコミも聞こえない振り

元々、口も態度も
余り褒められたモノではない
そんな人なワケだけど

丸投げで訊く時位
口調や態度を改めようよ


コソコソ訊いていても
周りには丸聞こえなんだし

つか、会社はガッコじゃないし、ご家庭でもねぇのよ
自分で学べ っての
せめて『考え方の確認』程度の質問だったなら
或いは、間違っててもいいから
自分で出した答えを口にしていたなら…
(計算間違いは誰でもするし笑い飛ばせるからね
「笑い飛ばせるならソレでOK」ウチはそんな社風)


とは思うけども
雑談時には、その人とも
フツーにアホな会話しますよ
話しの内容が全く違うんだしね


ってゆーかぁ
採用担当っ
きちんと仕事しろよなっ!

一番の問題は
アンタだっ!

続きを読む

御曹司  ⑥

依頼主の屋敷の『離れ』。
 件の写真集を挟み、少年と超能力者が座っている。
 オミが、とある見開きページを指し示し
 「あ、やっぱりこれだ。ここ、この写真。これと同じ。」
 「うん。だな。やっぱりこの写真だ。」
 「ぅはー、やっぱ綺麗だねぇ。凄いねぇ。」
 写真を眺めながら、しみじみ嘆息する。
 そんなオミにイツキが可笑しそうに声をかける。
 「お前、自分だってその一端を担ってるクセに…。」
 「えー。だってオミは、単なる『お手伝い』だしー。管理して、手入れしているのはコチラの方達だしー。凄い綺麗だよねー。」
 目をキラキラさせて写真を眺めるオミ。
 「あー、一回でいいから、生で見てみたーい。きっと今の方が、この写真より見応えあるよね。この頃より木も増えてるんだし、この頃の木がもっと育ってるワケだし。」
 「だなぁ。とは言え、ここいらは用も無しに、迂闊にうろつく訳にいかないのがなぁ…。皆が警戒し兼ねないから。」
 「くぅぅーーー、残念っ。」
 「あの…、どうか、ご容赦を。皆、頭では分かっているんです。超能力者さんだからって怖がる必要は無い、超能力者さんがいるからって何か起こったワケでもないって。ですが…。」
 少年が詫びると、それを遮るようにイツキが
 「分かっています。それに、どうしてもとなったら自分達には奥の手がありますから。」
 自分達のところで、オミと自分を指し示し、にっこりと悪戯っぽく微笑む。オミがそれを耳にし、勢い込んで尋ねる。
 「えっ。いいの?しちゃって?良いんならオミはすぐにでも…っ!どうせすぐに、この季節になるでしょ。」
 「だーーーめだってば。ガマンしろって。」
 「ちぇぇぇーっ」
 オミがプクーっと、むくれる。
 口や頬辺りをむくれさせつつも、目は輝かせて写真集を見つめる。
 二人の遣り取りを眺めつつ、少年がおずおずと声をかける。
 「少々お聞きしても宜しいでしょうか?」
 二人は『?』と顔を向け、目で肯定を示す。
 「土産代わりに買った、と伺いました。その、それはどちらで?何かお仕事に絡んで伺われたんですか?」
 「いいえ、仕事は全く絡んでいません。あそこの地には、単なる興味と好奇心です。」
 「好奇心?」
 不思議そうな顔をする。
 長い年月を生きている、この二人の超能力者の、好奇心を刺激する、とは?
 「えぇ。あそこが特殊なのかもしれません。差別意識が随分弱いようで…。汚染の影響を受けたらしき人も、普通に、当たり前に見かけましたね。」
 イツキは、少年が知りたがるであろうと見当をつけた、『自分達が興味を感じた点』を口にする。
 「えっ。どちらです?そこは。」
 案の定、少年が勢い込み、身を乗り出して尋ねる。
 「当たり前に見かけはしましたが、ただ、やはり差別自体はありますよ?おおっぴらに、ではありませんが。」
 「その、買い物とか、どうでした?彼らは、普通に買えていましたか?そこに居ない風を装われていませんでしたか?通り過ぎざまに、つばを吐き掛けられたり、とか。」
 少年は真剣に問いかける。
 「それは見ませんでした。眉をひそめて噂するとか、すれ違う際に、あからさまに顔を背けたり、眉をひそめる人なら見かけました。全員が行うのではなく、一部の人に、そういった行為、行動が見受けられました。」
 イツキも真面目に答える。
 「本部に問い合わせてはいかがでしょう?地域ごとの話しならもっと詳しく分かると思いますよ。我々はそれぞれ、その土地、その地域で、気付いた事を報告に添付して提出していますから。自分達もそれを見て知ったんです。あれは常駐組からの定期報告でした。それと、あのぉ、なんと言うべきか…。実は特定の場所を、個人的に話したり…と言うか、勧めるのは、避けるように言われていまして…ね。」
 気に入ったところをエコ贔屓している、と捕らえられ兼ねない言動は慎めと言う事か。
 少年は、本部への問い合わせを熟慮している様子をみせる。
 「ま、確かに、単に報告書見せて下さいでは無理ですが。それっぽい理由を付けて、閲覧申請でもすれば可能かと。」
 「それっぽい理由、閲覧申請、ですか。」
 「いらっしゃるでしょ?適任者が。」
 イツキが人の悪い顔をしながら、部屋の向こう側に視線を投げつつ付け加える。
 「あー……あははは…。えー…と、彼はその…、えー…と、父の秘書ですし。」
 「えぇ、まぁ、知ってます。ですが、適任でしょ?年も比較的近いでしょうから頼み易いのでは?」
 「父を通しませんと…。」
 「なるほど。ですが、理由が理由なんですし、協力していただけるのでは?」
 「だと、いいんですが。んー、そう、ですね。動いてみないと分かりませんよね。余計な仕事を増やして仕舞いそうで、気が引けますが…。あの、念のため、その土地を、地域を教えて下さいますか?綺麗さっぱり断られてしまった時の為に。」
 少年の念の入れように、イツキが困った表情を見せつつ、微苦笑しながら小声で言い添える。
 「自分達から聞いた、って事は内緒にしておいて下さいね。」

御曹司  ⑤

 山での儀式を滞りなく済ませ、屋敷への帰路。
 一仕事終えたと、足取り軽く歩くオミがポソッと呟く。
 「あのお山、パズルになって売ってますよね。」
 またもや唐突に話しかけられ、少年が驚いて顔を向ける。
 「パズル、ですか?」
 「えぇ、パズル。一枚の絵を、いくつかの欠片に分けて、その欠片を揃えて、元の絵に戻す、あれ。」
 少年は少し考え
 「パズルになっているとは、存じません。ただ、随分と以前に、この辺りで写真を撮りたいと、そして良い写真が撮れたら、発表する写真集に加えたいと仰る方なら、いらっしゃったと聞いて居ります。」
 記憶を辿るように、嬉しげな、誇らしげな表情を、僅かに垣間見せつつ答える。
 流石に、オミやイツキに臨時とはいえ依頼を出せる家の事ではある。
 単に『この辺りの風景を写真に撮る』だけ、そして『その写真を、発表する写真集に含ませるかもしれない』だけだと言うのに、一言事前挨拶をうけていたようだ。
 あの『お山』は、彼の家の山かもしれないが、その山に踏み入るわけでもなく、山の所有者として名前が出るとも限らない、その上、田畑が映り込むにしても、その田畑は彼の家の田畑でも無かろうに、それにも関わらずの事前挨拶、だ。
 写真家は、地域の者達から、彼の家へ一言挨拶に赴くよう、促されたのだろうが…。
 そしてこの場の二人の姿からは、それを不思議とも思っていない様子が伺える。
 「んー…、でもぉ、…パズルなんだよねぇ…。」
 オミは、彼が微かに見せた、嬉しげで誇らしげな表情を目にした為か、頭ごなしに否定するのも、強く断言するのも気が引ける様で、微妙に言葉を濁す。
 「はぁ…そうですか…。あぁ、ですが、自分が知らないだけかもしれません。若しくは、聞いて知っているはずなのに、失礼ながら忘れてしまっているとか。」
 少年は少年で、言葉を濁すオミに気を使う。
 しかしオミは、ここで彼の返事に対し違和感を持ち、不思議そうに小首を傾げる。
 「あなたは、忘れたりなさらないでしょう?ご自分の地元の、嬉しい事を。」
 ふんわりと優しく微笑みながらオミが言う。
 「え?いや、ですが、その、パズルにとは、初耳ですし、忘れる事ぐらいありますし。」
 「えぇ、一般的な事なら忘れる場合もあるでしょう。ですが、地元の事を忘れるとは思えません。地元、大好きでらっしゃるでしょう?その地元を写真に撮って貰える、写真集にして発表して貰えるなんて、単純に嬉しいし、喜ばしいと感じるでしょう?パズルという形にして、気軽に接して貰えるっていうのも嬉しい事でしょうに。」
 オミに言い切られ、少年は返す言葉を失う。
 「オミ、実は持ってます。そのパズル。」
 悪戯っぽく笑いながら伝える。
 「あのお山の秋の風景だと思います。見事な紅葉が山の背に沿って、里の、刈り入れの済んだ田畑の様子と、抜ける様な青空と、一筋の雲と山の紅葉と、それぞれが相まって、それはそれは見事で。」
 「あぁ。見る人は見るんだな、と。絶妙な瞬間を捕らえるんだな、と。」
 少年はオミの表現した風景を、頭の中で思い描いているようで…。
 オミは、彼のその表情の変化を確認しつつ
 「でも、まだ完成してないんです。」
 意地悪く付け加える。
 「だって、10000ピースもあるんですよ。タイガーもお邪魔っ子するし。ピースを前足で弾こうとするんです。失くしたら完成させられないのに。」
 口を尖らせるように言いながら、こいつめと、肩のタイガーをかぁるくつっつく。
 そして、少年の方に目を向け、付け加える。
 「土産代わりに買ったんです。本当に偶然見つけて。もぉ、すんごい驚いて。きっと探したらありますよ、他の季節のも。その写真集からの加工でしょうし。」
 見たい、見せて欲しい、見て見たい、でも完成して無いって、だけど、見たい。写真集ウチにあったけ?あったはず。でも、でも、パズルで10000ピースなら、写真集より見応え有りそう。でも、でも…、くぅぅぅっ。
 当たり前に、日々その風景を直接見ているにも関わらず、少年は逡巡する。
 一通りの儀式が、滞りなく、恙無く済んで、彼も少々気が緩んだか、時折年相応の姿を見せる。
 オミはそんな様子を盗み見しながら、悪戯っぽく小さく微笑む。
 「見せてくださいっ!」
 あ、言っちゃった。
 少年の、小さな表情の変化も全て捉えてオミが答える。
 「えぇ。良いですよ。」
 やったぁ。少年が礼をいうより先に
 「完成したら、ですが。」
 爆散!
 悪ふざけを詫びつつ、好意的な微笑を見せ、オミが続ける。
 「写真集を拝見させて下さい。オミの思い違いだったら申し訳ないですから。お持ちでしょう?進呈されてると思うんですが。」
 「は、い、あると思います。後程お部屋へお持ちします。」
 爆散の痛手から辛うじて立ち直りつつある少年から、応えが返る。

 

御曹司  ④

 暦の上で季節が変わったからか、幾分か高くなった青空の下、連なる山々。
 オミが二日ほど前にタイガーと散策した小高い山を、この日は多くの人が列をなして歩いている。
 朝早い時間とはいえ、数人の者達は若木を抱えているからか、汗を浮かべている者の姿も散見する。
 先導するのはオミ。
 森の大地の色をした装束を身に付け、錫杖を手に、銀の髪を靡かせつつ、金属の重なり合う軽やかな音を響かせながら。
 タイガーもオミの足元を、前になり後ろになりつつ、付き従って歩いている。
 途中、荷物を抱えている者達の為に数度の休憩を取り、先日、オミが件の『汚染の影響を受けた人』と遭遇した辺りへと辿り着く。
 経路で曲がった場所、目的としている場所の、手前の木の幹の一部や地面が、先日、目印とすべきものが見当たらずに困ったオミの仕込んだ、淡くぼんやりとした光が点って居た事に、仕込んだ本人以外は誰も気付かないまま。
 尤も、列を成していた人達の大半は、昨晩の騒ぎや、不本意ながらも超能力者と係わりを持たざるを得ない事や、跡取りの件や、跡取りの嫁の件や、足場が悪くて歩きにくい事や、暑さによる不快感やらに気が向いているので、気付く余裕が無いのだが。
 同行者のその集中力の散っている様を、名代として同行している少年は恥ずかしく、又苦々しく思いつつも、相手の殆どが年長者である事で注意を促すのも躊躇われ、オミに対し時折済まなそうな目を向けて来る。
 オミはその両者の様子を全く意に介さず、足下のタイガーが、小さい身体ながら懸命に後に付いて来る様を、愛くるしいと目を細めて見やる。
 いっそ若木を持たせた者達のみ同行させれば良かったかと、ぶちぶちと小さい声で愚痴を零す同行者を眺めつつ、名代の少年も嘆息する。
 オミは、タイガーがきちんと付いてきた事を労う様に耳の間を掻いてやり、水を飲ませるとおもむろに口を開く。
 「この辺りでいかがでしょう?ここより上は、もう少し時間を置いたほうが良いかと思います。」
 唐突に話しをされ、少年が少々まごつく。
 「は?あ、あぁ、そうですね。」
 「時間を置く、という事は…、汚染の影響でも?」
 そんな近くにまで寄っているのかと不安気に尋ねる。
 「んー…。後20m程?登ると、ちょっと残ってるかな。ちょっと、ですけどね。」
 大した事では無いと言うように、軽く答える。
 「はぁ…。でしたら、ここで。お願いします。」
 「じゃぁ、穴を開けましょうね。お持ちになった若木を植えるのに。穴はどの辺がいいですか?」
 同意を得たので、さっさと進める。
 とは言え、穴を『開ける』とは。穴を『掘る』ではなく?そういえばシャベルは持って来ていたか?
 少年が、不思議そうな面持ちをしながらも場所を指定すると、オミは、これまたさっさとその場へ近づき
 「ちょっとだけ離れて下さいね。土がかかってしまうかもしれませんから。」
 かーるく声をかける。そして、サクッと音がしたと思うと、指定した場所にポッカリと穴が開き、周囲には土の盛り上がりが出来上がっている。
 「深さはこの程度で良いですかね。」
 自分の空けた穴を覗き込みながら、オミがあっさりと尋ねる。
 少年は、超能力で穴を開けたと合点がつき、納得の表情をしながら穴を覗き込む。
 「えぇ。これぐらいで。」
 「では、後6ヵ所程、開けますね。横一列に。」
 言うが早いか、等間隔にポコポコポコと穴が開いて行く。
 あまりにあっさりと、次々に穴が開いていくので、呆気に取られた少年の顔から微笑が零れる。
 「はー、凄いですねぇ。」
 感嘆の声を漏らしつつも、気を引き締め直して、若木を抱えて居た者達に此方へ来る様、声をかける。
 「すぐじゃぁ無くて構いません。一息ついて、汗が引いたら、あそこへ植えて下さい。植える順序は…、どうしましょうか。」
 若木を抱えていた者達の内の、一人の年長者に尋ねるように声をかける。
 「あぁ…、あの、良ければ、任せていただけると…、えー、…その、悪い様にはしませんし…。」
 真面目そうな若者が、朴訥とした様子で答える。
 若木を抱えて居たのは、里の若い衆だったらしく、地元の名家の若坊っちゃんに失礼が無いよう気を付けなければ、でも、じゃぁ、なんて言えば良い?第一坊ちゃんが、俺に、なんか…丁寧語?使ってるんだけど…と動揺している様が見て取れる。他の者達も同様らしく、急いで汗を拭っている者、身なりを整え直している者、水を飲むのに顔を隠し気味にしている者の姿も見受けられる。
 少年はと言うと、その様子を好意に満ちた目で眺め、
 「では、お任せします。里からの見栄えを考慮して下さいね。お山が綺麗だと嬉しいでしょう?」
 自分もそんなお山を眺めると嬉しくなる、とにっこり微笑む。

御曹司  ③

 日がとっぷりと暮れ、大方の人はそろそろ寝ようかと考え始める時間。
 風呂上りのオミがタイガーと戯れていると、足音が近付いてくる。
 イツキやオミが使用している部屋は、依頼主の提供を受けた、同一敷地内の『離れ』だが、この『離れ』は依頼主家族、当主夫婦と後継者以外の子女が生活している『母屋』や、後継者が生活している『別棟』と渡り廊下で繋がっているので、『離れ』に用がある者の、廊下を近付いてくる足音でそれと気付く事は誰でも可能である。とはいえ、今夜の足音は、家柄などを考慮すると相応しいとは思えない、やや不信を抱かせる早足気味に聞こえてくる。
 オミとタイガーが様子を伺っていると、じきに部屋の外から声がかけられる。こちらもやはり、家柄的には相応しいとは思われない、辺りを憚っているような潜めた声である。弁護するなら、時間帯を考慮しての事か。
 かけられた声に聞き覚えのあるオミは、大した警戒もせずに応えを返し、声の主を部屋内へ通す。
 「どうしました?急いでらしたようですが。」
 イツキがいればイツキに任せてしまうところ、生憎イツキは入浴中である為、この手の事を苦手とするオミではあるが、致し方なく対応する。
 「済みません、こんな時間に…。」
 声の主、名代と呼ばれていた10代半ばの少年は、彼らしくなくやや態度を乱し気味に、オミから勧められた座布団へ腰を下ろす。
 「なにがあったんです?化け物が湧いた様子は見受けられませんが…。」
 少年の様子に訝しさを感じたオミが尋ねる。
 「その…、あ…の、部屋の方に…。」
 らしくなく、否10代の半ば辺りならば年相応の、困惑していると受け取れる素振りを見せる。
 「?」
 部屋がどうしたと、オミが重ねて問うべきか躊躇していると
 「申し訳ありませんが、暫らくの時間こちらへお邪魔させてください。」
 わずかに立ち直ったらしき少年から、改めて頼まれる。
 「構いませんが…。」
 「ありがとうございます。ご迷惑をおかけします。」
 少年は、オミの肯定を受けて直ぐに礼を述べる。
 オミが理由を重ねて問うべきか、それとも他愛もない雑談をして場を和ませるべきか躊躇っていると
 「先日の昼といい、今といい、お恥ずかしいところをお見せしまして…。若輩者であればと、ご容赦願います。」
 段々と調子を取り戻した少年が先に詫びて来る。と、
 「おや、名代殿でしたか。声が聞こえて…、どなたかと思いましたら。いらっしゃい。」
 風呂から上がったイツキが声をかける。
 「こんなだらしない格好ですみませんね。見なかったことにして下さいな。それにしても、こちらの風呂、いいですねぇ。温泉引いてらっしゃるんでしたっけ。」
 相手の同意など、丸っきり知ったこっちゃない、とばかりに話を進める。
 「って、オミ。お茶くらいお出ししなさいよ。注げるでしょー。お茶請けとかも。時間が時間だから、軽めのが良いんじゃないか?コラ、タイガー、名代殿の膝をクンクンしない。知ってる匂いだろ。あぁー、おもちゃー…すぐ散らかすんだから、片しなさいって。」
 オカン?風呂から出てきたのはお母んですか?
 小年がややあっけに取られている内に、お茶と茶菓子が出される。
 「あ、いや、あの、お、お気遣いなく。」
 せっかく取り戻した調子が再び狂う。
 「で、どうなさったんです?もしかして、先日の続きですか?」
 相手の調子も知ったこっちゃないと話題を振る。
 「あ、いえ。その、部屋の方で、少々…。」
 調子を狂わされたからか、少々歯切れが悪い。
 「部屋?が、一体…?」
 「はぁ…、予想外の…いや、予想は、してはいたんですが…。」
 要領を得ない話し振りに、イツキの眉間に皺が寄る。
 「あの、可能性としては、考慮していたんですが…、その、まさか…。」
 育ちにそぐわない、尻すぼみな話し方となる。
 少年としては、なにをどこまで話していいのか、又、話すなら、どの様に表現すべきか、迷っているだけではあるが。
 「…えー、と。腹を割りましょうか?名代殿。口外するなと仰るなら、まぁ内容にも寄りますが、口外、しませんよ?」
 「はぁ…、その、嫁取りに絡んで…かと思われるんですが…。」
 困りながらも、このような時間に突然尋ねて、何も伝えないワケにはいかないと判断したか、言葉を捜しつつ状況を伝え始める。と、直ぐに、イツキが『嫁取り』『絡む』に反応を見せる。
 「えーと?『この時間』『部屋に』『嫁取りに絡んで』で、『予想はしていた』ですか?」
 やや強調して確認をとる。タイガーを肩に乗せたオミは、堪え切れずにクスクス笑っている。
 「そ…れは、お気の…毒に。」
 可笑しくて仕方ないとばかりに、途切れ途切れにねぎらう。
 「気の毒と言うべきか…。単純に考えれば、男として喜ばしい状況ではありますが…。エサと分かってて食いつくような、愚かな真似は出来かねますよねぇ…。」
 イツキも苦笑を隠せない。
 「は、はぁ。」
 通じたのか?これで?と驚きを露わにしつつも肯定の意を示す。
 「叔父上殿の差し金でしょう?『どちらの』かは存じませんが。」
 「俗に言う『ハニートラップ』ですね。焦った御方がいらっしゃるようで…。」
 オミはまだ笑いが収まらない。『ハニートラップ』の件ではクスクス笑いのせいで、途切れ途切れになる。
 「ハ、ハニー…トラップ…。あぁ、まさに。」
 少年は額に手を当てながら同意する。そして、意を決したように、おもむろに顔を上げ
 「えぇ、正にお二人が想像なさったとおりに…。自室に戻りましたら、2つ程年長の従姉妹が、その、露出の多い服装で部屋で待ち構えて居りまして…。自分は、直ちにその場を離れ、母に状況を伝え、その場に居合わせないようにと指示を受けたものですから、ご迷惑をおかけするかとは思ったのですが、こちらへ身を寄せさせて頂きました。」
 一気に事情を打ち明ける。それを聞いたイツキは真剣に同情の意を表すが…、イツキの背に隠れるようにしていたオミは肩を震わせている。前日の昼に二人で話し、可能性を考慮していた事が、翌日の夜に起こるとは、笑うなと言う方が酷と言うものだろう。
 「も、だめ。オミ、死んじゃう。可笑しすぎて…。」
 「お前ねぇ。」
 イツキが、制しようと少々きつめに声をかけると
 「底、浅すぎぃー。既成事実作っちゃえってぇ?アホかい?それとも『傷物』にしやがってか?自分で送り込んどいて?どっちにしろ、自らアホを晒したねぇ。そんな小物や、小物の娘が本家でナニができるんだか。」
 堪え切れなかったオミが大笑いしながら嘲る。
 「自分が思っていたよりも、娘連れが多かったから焦ったんだろ。同じ事を考えているのがこんなにいるってな。そ・れ・よ・り、声がでか過ぎる、もう少し下げろ。」
 「大体、品が無さ過ぎる。随分と下衆な御方がいらっしゃるようで。」
 オミはわざと嫌味たっぷりに、離れた場所へ向けて言う。まるで部屋の外に誰かがいて、その誰かに向けているかのように。
 「いくら『巧遅は拙速に如かず』とは言ってもねぇ。稚拙に過ぎるでしょうに。」
 少年は、オミの様子を目にし、部屋の外に誰かいるのかと不審気にする。
 確かに外からは、何がしかの騒がしい気配が漂ってくる。しかし、その騒がしさの殆どは『母屋』や『別棟』とその周辺の庭に限られている。
 「帰宅するように促していて、押し問答になっているんでしょうか?騒がしくなっていますね。」
 騒がしさを指し示しつつイツキが尋ねる。
 「さぁ、分かりかねます。後は母に任せてしまいましたので。ただ、はしたない人達と一つ屋根の下には、居たく無いですし、居させる訳にもいきませんよね。」
 「あぁ、それはそうですね。」
 イツキが同意を示すと、オミがボソっと小声で呟く。
 「見・せ・し・め。」
 その言葉に二人が勢いよくオミを見る。
 「表現が悪いなら言い換える。『牽制』。それと、アピール。」
 「おまっ。」
 「超能力で探ったんですか?」
 少年に問われると、オミは軽く頭を振る。
 「現状、夜に帰らせるなんて、危険極まりない。にも関わらず、敢えて帰らせるなんて『怒っています』って意思表示以外の何物でも無いでしょ?」
 そして淡々と続ける。
 「昨日いた人達が今日は居ない。どうしたの?夜の内に帰ったの?なぜ?という疑問は、少なくとも地元の方々は考えない。地元の方々なら、昨日いた人達が今日は居ない、何をやらかした?そーいや昨夜、なんか騒がしかったな、と考えるでしょう?こちらとの関わりが長いんだから、ある程度は察する。夜の内に、屋敷を離れざるを得ないような、怒らせるような何かをしたな、と考えたって不思議じゃぁ無い。そして、ご親戚方ですが、ご親戚方には、同列に扱われたいかと問いかける事になる。夜であるにも拘らず、だもの、安全を気にかけたり心配したりする必要も無い、情けをかける気にもならない相手であるって、態度で表したって事でしょ。その様な立ち位置になりたいか?って問いかけになる。そして、決然と断行するし、出来ちゃうワケだ。これが『みせしめ』でも『牽制』でも『アピール』でも無いならなんなのよ?一石三鳥だね。」
 「お前、本っ当ーーに、権力闘争には強いよねぇ。」
 イツキは、自分に対している時と、今のオミの違いに唖然としている少年を放っておきながら、しみじみと感心して呟く。
 「で?さっきのわざとらしいのはなんなんだ?」
 「様子を伺っている人がいたみたいだから。ね、タイガー。」

いじられ県

ネット界では…いやリアルでも、か?
佐賀県が哀しい扱いのような…

もぉいっその事
『~~Saga』ってなってたら
手当たり次第に
コラボするなり、
セールスコピーに転用
させて貰ったらいかがでしょ?

節操無さ過ぎって叩かれちやうかな?


(ま、実際、大人の都合でやれるワケがないんだけどな)

続きを読む

アクセス数

現在の閲覧者数

カレンダー

10 | 2014/11 | 12
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -

プロフィール

カテゴリ

最新記事

カテゴリ別記事一覧

最新コメント

月別アーカイブ

スポンサー様

疲れているときにでも

ジャンプするぺそぎん

QRコード

QR

検索フォーム

メールはコチラから

「届け!この想い!!」 (長文)な方はコチラ↓へ

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSリンクの表示

フリーです

リンク

リンクフリーです

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブロとも一覧