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最上部にて…

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信○餅 - 餅 = お行儀悪い

 オミ(チビVer.)が、なにやら真剣に混ぜている。

 オミ(チビVer.) : (コネコネマゼマゼ)
 イツキ      : オミー、お前何混ぜてんの?
 オミ(チビVer.) : きな粉と黒蜜ぅ~
 イツキ      : って、さっきの信○餅の?
 オミ(チビVer.) : うん、それそれ。
 イツキ      : で、どうすんの?
 オミ(チビVer.) : 舐めるに決まってるでしょっ。
             (小さいスプーンで舐め舐め)ウマウマ
 イツキ      : おまっ。行儀悪いことしないっ!!

 

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お邪魔します ⑲

 『おテンコ』に盛られた梨をひたすら黙々と食べる一同。
 「なぁなぁ、ふつー果物って『権利』を主張するよな?」
 「ん?あぁ、まぁな…。『コレ俺の分!取るなよ。』ってヤツだろ?じゃなきゃ、予め分配される。」
 マサトの問い掛けに、シンが応じる。
 「でもコレってさぁ…一種の『義務』じゃね?」
 テーブル上にテンコ盛りの梨を見、良い意味で呆れたような表情を見せつつ、同意を求める。
 「あー、成程ね。ノルマみたいな…。」
 「そーそー。夕飯あんなに食った後だけに。」
 内容は愚痴っているように聞こえるが、その実、しっかり食べ続けている。
 と、キョウコがボソっと独り言のように呟く。
 「マズイ…ひっじょーーぅにマズイわ…。」
 「?」
 偶然耳にしたオミが不思議そうな顔をする。
 「でも止まらない…。」
 と言う様にシャクシャクと梨を頬張る。
 「?不味い?変なのに当たっちゃった?ガマンして食べたりしないで良いよ。」
 「違うの。そっちの『まずい』じゃぁ無いのっ!」
 きっぱりと否定する。
 その声が聞こえた全員がキョウコとオミを交互に見つめる。
 「?違うって何??不味いんでしょ?」
 「あー…。時間帯と総カロリー的な…?」
 察したヒロが、確認を取るように間に割って入る。
 「そーそー。そっち。」
 「?時間帯?総カロリー?」
 オミは理解できずに鸚鵡返しに訊ねる。
 「『太っちゃうー』って事。」
 ヒロが身も蓋もなく言う。
 「ふと…。って、そんな心配、する必要ある??」
 全く意外だった為、確認するかの様に一言づつ区切り口にする。
 「別にそんな事、心配しないと成らない程太ってるの?そうは見えないけど…?」
 オミは、自分には全く分からないとばかりイツキに訊ねる。
 「え?俺に聞いちゃう?」
 訊ねられたイツキが動揺を見せる。
 「いや、俺も別に、太る事を心配する程の『ヤバイ』んじゃね?感は感じないけど。」
 「夕飯を普通に食べて、その上にコレですからねぇ。で、美味しいもんだから止まらないし…。」
 元は『おテンコ』だった、今は『ちょっと多め』の梨の山に目を向けつつシンが応える。
 「梨なんて殆んど水分じゃん?カロリーなんて微々たるモノでしょう?」
 「ぅーん…そうなんですけどね。胃が育っちゃいますよね?って事は食べる量が、これから先増えちゃうって事で…。」
 シンは微妙に語尾を濁す。
 「あー、成る程ね。今だけを問題視してるワケじゃぁ無い、と。」
 イツキの言葉に、キョウコがうんうんと力強く頷いて肯定を示す。
 「ええ。で、忘れた頃に結果が現れるんです…。」
 肯定を示した姿とは相反する、とても落ち込んだ様子で付け足す、が、口にはしっかりと梨を咥えている。
 「あぅ~~~~。美味しいもんだから止まらないぃっ。」

 「はふー。食べた食べた。」
 キョウコの嘆きに耳を貸さず、今食べなければいつ食べるんだとばかりにひたすら食べ続けたカズキは、満腹ぷくぷくーとソファーにだらしなく凭れ掛かっている。
 『お兄ちゃん達』ですら、ちょっとばかりお行儀悪く背凭れに身を預け、ボーっと放心状態のように遠くを見つめている。
 オミはそんな彼等を好意的に眺めつつ、手元に甘えてきた、こちらもオミにミキシングして貰った梨ペーストを、お腹いっぱい食べたタイガーの顎の下を撫でてやる。
 ゴロゴロと嬉しそうに喉を鳴らし、目を細めるタイガー。
 喉を撫でられているうちに耳の間も撫でて貰いたくなったか、しきりに頭を押し付けてくる。
 「ミー。」
 オミが、タイガーの耳の間をカシカシと掻くように撫でると、嬉しげな鳴き声を小さく漏らす。
 タイガーのその様子を愛らしく感じたオミは、ついムキになり、コレでもかとばかりにタイガーの耳の間や小さい後頭部等を掻き撫でてやる。
 そんな一人と一匹の様子を眺めていたイツキが、ふと思い出した様にそばにいるカズキへ訊ねる。
 「そういえば、シン君って猫苦手だったりするの?」
 「?」
 キョトンとするカズキ。
 「あ、いや、だって、お宿に泊まった時も、シン君はタイガーの傍に寄らないようにしていたみたいだから…。リョウ君は時々遊び相手してくれてたけど。」
 カズキの表情から、自分の訊ね方が大雑把だったかと考えたイツキは、何故その様に考えたかを言い添える。
 が、カズキの表情はなにやら複雑そうで…。
 イツキが訳分からずにいると、微妙な空気がカズキ側から段々とお兄ちゃん達へと流れて行き、それと共に皆の表情がカズキの様に複雑なものへと変化していく。
 「苦手…シンちゃんが、タイガーを…。」
 呟くと共にカズキの表情がフニャラけた方へと崩れていく。
 シンを除いたお兄ちゃん達の表情も、カズキの傍にいた者から段々と『フニャラけたもの』へと変わっていく。
 イツキは微妙な空気と皆の表情から、例え離れていても本人が居る場で他者に尋ねるのは失礼だったかと、少々焦り気味となるが…。
 カズキがクスクスと笑い出している。
 「!?」
 イツキが驚いていると、次々にクスクスと笑い出す。
 「シ…シンちゃん、猫…平気だ…よ。」
 笑いながらカズキが答えるが、イツキは自身が過去に目にしたシンの様子との不一致に納得出来かねて、尚も言い募る。
 「いや、でも、傍に寄ろうとしないし。タイガーが足元近くに居ると、避けるように距離を取るし。なんか雰囲気が硬くなるし…。」
 が、それを聞いていたシンを除いた一同は、皆お腹を抱えて笑い出す。
 「ぅぇーん…。満腹で苦しいのにぃー。酸欠で苦しくなるー。」
 「くぅ…苦しー…。満腹に効くぅ。」
 「シ、シンちゃんが…猫、それも子猫を…苦手…。」
 「無い無い。」
 「逆、逆。」
 ヒロが、身を屈めながら手を小さく左右に振りながら否定する。
 「逆って。でも、距離を取ろうとしてるでしょ…。」
 イツキが尚も言い募ると、キョウコが笑いながら同意する。
 「する。確かに距離を取ろうとします。意味も理由もイツキさんが捉えたのと逆ですけど…。」
 逆?
 オミも、意味わからんとイツキを見る。
 が、視界の中に苦虫をまとめて10匹程噛み潰したような表情をしたシンの姿が見える。
 それに気付いたオミは、即座にこの話題の危険性を察知し、大慌てで話しを逸らそうとする。
 「え…えと、その、シン君はタイガーが好きって事でぇ…えーと、あのあの、そ・だ。み、皆は蛍って好きかな?ね?ね?」
 凄まじく不自然に、ではあるが…。
 「ほたる?ってアレですか、尻が光る…。」
 シンの表情に同じ様に気付いたリョウが、コレ幸いと話の流れ変更に応じる。
 「そうそう、それ。」
 半ば表情を引き攣らせながらオミが答える。
 「え?居るの?ホタルどこどこ?」
 好奇心の申し子カズキがキョロキョロと辺りを見回す。
 「外にね。そこの窓から見えるんだけど。見てみる?」
 オミが言うなり立ち上がって、窓辺へ向かい閉めてあったカーテンを引き開けると、イツキが部屋の明かりを少々落とし薄暗くする。
 「ちょっと離れたところにね、見えるから。暗さが強くなってるところの、ちょっと上の所でよく見るよ。」
 話しをどうにか逸らせる事に成功したので安心したオミが、比較的目にすることの多い場所をカズキに教える。
 「モコモコってなってるところ?」
 「そうそう、そこのちょっと上。光り方が弱くて時間も少し早いかもしれないけど、ちらほら飛び始めてるはずだから。」
 「光り方が弱い…。フム。」
 「時間が早いってなんです?時間って関係するんですか?夜ならずーっと光ってるんじゃなくて?」
 トシが不思議そうに訊ねる。
 「なんか、休憩とってるみたいよ。一晩に何回かってカンジで…。」
 「成る程。じゃぁ、タイミングが合わないと見えないって事ですか?場所としては居るのに。」
 「そうそう。よっぽど近くに居れば別なんだろうけどね。夜だし暗いから、光っててくれないとその場所に居るんだか居ないんだか分からないよね。」
 「ホタルホタル」
 カズキは小さく呟きながら眼だけを動かし、ささやかであろう光を探す。
 と、ある一点に眼を留め
 「あ、なんか光って動いた。」
 「うん。一個光ってる。」
 トシがカズキに同意する。
 「タイガー、見えた?」
 オミが胸元で手のひらに乗せているタイガーに話しかける。
 直に周りの者達の様子が、ワクワクしつつも集中してる状態へと変わる。

 小さく灯るいくつもの光点。
 頼りなげに小さく。
 時には揺れるように、時には真っ直ぐ移動する。
 ほぅっと灯り、瞬き、ふっと消え、再び灯る。
 黄色い灯り、緑の灯り。
 黄色から緑へと変化したり、黄色のまま、緑のままであったりする灯り。
 幾度も明滅を繰り返すもの、光ったままでいるもの。
 揺れ、瞬き、集い、離れる、小さな光の乱舞。
 手前でより大きく見える光、遠くで小さく揺れる光。
 ゆったりと動く光があり、小刻みに動く光もある。
 それらが集ったり離れたりと、音も無く繰り返される。
 揺れるように、或いは緩やかに
 黄色や緑色の灯りが、集まり離れまた集まる。
 ふんわりと。
 ゆったりと。


お邪魔します ⑱

 「あるよ。すんごく似たヤツが。」
 キョウコの問いにイツキがあっさり答える。
 「はじめて見た時に、すんごくビックリしたよ。」
 話題が自分から若干それたので、オミの口調も軽くなる。
 「へー、あるんだー…。って、オミさん達だって、言われなきゃコッチ側の人と区別付かないし。ならイモ位、似てても不思議じゃぁないな。」
 銀髪で赤い色の目の人もコッチにだって普通にいるらしいしね。
 緑の髪や金色の目は珍しいかも、だけど…。
 人間が似てる位なんだから、植物くらい似るよねー。
 少年達はやはり思い思いに口にする。
 「ところでさっきの差別だけど…。」
 トシがおずおずと話しを戻す。
 「オミさんは、俺たちを『下賤な人』って感じちゃう?」
 話が逸れたと安心していたオミが、その油断を突かれる。
 が、特に困った風も無く、あっさりと否定する。
 「いや。キーちゃんに徹底的に絞られたから…。それこそ、コッチに放り出されるずーーーーっと以前から、ガッツリ・キッチリと叩き込まれたから…。だから逆に、差別と思われる事柄に神経質になってる面がある。」
 「…した場合、イモは…?肌がどうとかも…。」
 「それは別っ。」
 キッパリと言い放つ。
 「おイモは、オミに食べろと強要しなければそれで良いんです。肌は見せろとか見ろとか見えちゃうとかを、オミの周囲で行わなければ良いんです!」
 「カレーにおイモが入っていた様な気が…。」
 オミのきっぱりとした言葉に、カズキが悲しげな声をあげる。
 「オミの皿に入れなければ良いんですっ。」
 「あ、なんだ。そ・なの。なら平気だね。良かったー。」
 「ついでに人参と玉葱も入れないで…。」
 「食え。人参と玉葱は食えよ。」
 イツキはどさくさ紛れに好き嫌いを主張するオミにみなまで言わせず、断固とした態度を見せる。
 「?人参と玉葱?」
 カズキがキョトンとした表情で鸚鵡返しのように訊ねる。
 「後、ピーマンとセロリと…。」
 幼い子供の様な好き嫌いを述べるオミに対し、イツキは断固とした態度をみせる。
 「食え。」

 「あのぉ~…、海とか川とか湖で遊びたいなーって、水着になるぞーって考えてるんだけども…。」
 カズキが探るように声を掛ける。
 「肌は、か・く・し・て・ね
 にぃーっこりと微笑みながら拒否を伝える。
 「上に長袖・長ズボンを着ろってか…。」
 明日以降の気温を気にかけて、少々悩むカズキ。
 「大体、なんなの?なんで脱げちゃうの?どーして見られて平気なの?基本的に『見せるモノ』じゃぁないでしょう?」
 オミがややキレ気味に問う。
 「だぁって…男だし、要所は隠してるしぃー。腕や足位いいじゃない。」
 カズキも負けずに言い返す。
 「腕だろーが、足だろーが、肌は肌でしょ。」
 「えー、腕や足なんてどーーって事ないじゃん。特に男は。」
 「どーって事ありますっ。腕だろうと足だろうと、人目に晒すなんてはしたないでしょ。」
 「はしたない…?」
 カズキが『はしたない行い』に、男の腕や足をさらす事まで含まれるのだろうかと、真剣に悩み始める。
 「って、文句付けてるのカズキ君だけじゃない。」
 オミに指摘されてカズキが『お兄ちゃん達』の様子を見ると、全員諦めに似た表情を浮かべている。
 「?なんで気にならないの?」
 カズキが不思議そうに『お兄ちゃん達』へ訊ねる。
 「なんとなぁく分かるから…。」
 シンが答えると、それを受けたようにマサトが付け加える。
 「ただ、ちょぉーっと神経質かなぁ?とは思うけど。」
 「むーっ。」
 カズキ一人が不満そうな表情を見せ
 「だって暑いじゃん。汗かくじゃん。引っ付くじゃん!着ない方が涼しいって感じるじゃんっ!!」
 力説して訴える。
 「そうなんだけど…なぁ…。」
 シンが、一応は同意を現すが
 「はしたないって言われると、それもそうだよなって思えちゃうんだよねぇ…。」
 困ったようにマサトが後を引き継ぐ。
 「女から言わせて貰うと…。腕はまだしも、筋張った足を見せられても困っちゃうのよねぇ。」
 妙に真剣な表情で、キョウコが割って入る。
 「だからって、脂肪でプヨプヨ状態のを見せられるのも困るし…。隠しておいて貰えると助かるわね。」
 キョウコの身も蓋も無い言い様に、ショックを受けるカズキ。
 カズキは結局『はしたない』にナニがどう該当するのかは分からぬまま、方向性の大きな違いから受けた、余りにあまりなショックの為に、考えるのを諦めてしまう。
 「ま、上はパーカーでも羽織って、ズボンは薄手のにして。ガマンしようや。」
 「どうせ大した時間着ているワケでも無いだろうし…な。」
 トシとヒロが宥めるように声を掛けると、カズキは不満は有るにしろ、仕方が無いと小さく頷く。
 そこへ、スープストックの仕込みを確認しに席を外していたイツキが戻り、皆に声を掛ける。
 「なぁなぁ、梨食うよね。切ってきたから片してね

お邪魔します ⑰

 「えーと…した場合…オミさんが継ぐ予定だったのは、家ではなく国だった。と、そういう事でしょうか?」
 カズキがおずおずっと訊ねる。
 「―――――っ。」
 訊ねられたオミは肯定も否定も出来ずに硬直し、イツキは笑いが収まらずに苦しんでいる。
 「オミさんってば、王子様の出身かー。」
 「なんかスゲー。」
 今三ぐらい実感が伴わない少年達の、シラーっとした感想が口からこぼれる。
 って言うか、王女様じゃね?って言ったら、やっぱぶっ飛ばされるよねー。
 こちらが彼等の本心かと…。
 素直と正直って違うよね。
 「でも、オミには継承権無いし。生まれた時から無いし。」
 オミ必死の抗弁。
 だからどうなるってモノでもないし、どちらかと言えば火に油を注ぐようなものですが…。
 「生まれた時から無いってなんでー?」
 「庶子だったとか?」
 「えー、でも昔なら庶子だって状況によっては後継げるでしょ?」
 「その辺は法律や宗教やらが絡んでくるんでしょ。大体政教分離されているのかってのも疑問だし。」
 「オミさんトコの国が、どれくらい大らかな国かによって変わるでしょ。」
 国の大らかさ…。
 芋 ⇒ 完全否定
 服装 ⇒ 完全装備
 刑罰 ⇒ なんか厳しそう
 「えぇ…と、おおらかとは対極??」
 「国の気風は国民の気風が元だろ?」
 国民 ⇒ オミ
 サンプル 1人
 性格 人見知り(特に対大人)
 「やっぱ、おおらかでは無いんじゃない?」
 「…えーと…、もしかして…?」
 「オミは実子ですっ。」
 力をこめて宣言する。
 イツキは笑いすぎで酸欠の為、瀕死の様相を呈しています。
 「?じゃ、なんで継承権ないの?継承権が無いと王子って言わないの?」
 「継承権が無いのは、オミの所が女系女子継承だからですっ。」
 「え?男子が継いで行く系じゃないの?」
 「違います。女子が継いで行く系なんです。男はお婿入りするんです。」
 お婿入り。
 この一言で辺りは笑いに包まれる。
 「そりゃ、お嫁さん・お婿さんって言うし…、お嫁入りって表現するけど…。」
 「『お』は要らないんじゃない?」

 笑うだけ笑って落ち着きを取り戻した一同は、こちらもやはり、笑いすぎでの瀕死状態から辛くも脱したイツキからドリンクのお代わりを頂戴し、和気藹々とおしゃべりに花を咲かせている。
 「イツキさんのところは、どういった形で継いで行くのが一般的なの?」
 トシが興味津々とばかりに訊ねると
 「俺ン所は男系男子が一般的。こっちと同じだね。」
 あっさりとした返事が返ってくる。
 「やっぱり血統主義?」
 尚も粘るトシ。
 「んー?そこは家によるね。遺伝に能力が絡む家は血筋に拘ったりするしね。でも、濃すぎると弊害が出るからねぇ…。」
 「結婚する時に決まりごととかあるの?親が決めた人じゃなきゃ絶対ダメとか。」
 「ウチには無かったみたいだねぇ。父に能力の遺伝が見られなかったからかもしれないけど、だからなに?ってカンジであっさり母と結婚したらしい。次男だったからその分好きに出来たのかもしれないけどね。オミの所はありそうだよね。立場的にも。」
 「オミは婿に行く事になってたんです。姉も妹も生まれなかっただけです。つか、他に兄弟いないまんまだったみたいだけど。」
 「じゃぁ、オミさんがお嫁さん貰って家継いで貰えば良かったんじゃないの?」
 ヤスノリが真顔で尋ねる。
 「うー…ん?でも、真面目な話し、オミはハズレの子だから、婿も嫁も無理だったんじゃない?」
 「ハズレって何?」
 カズキが反応する。
 「とんでもない子が生まれたって、オミが生まれたときに言われてたんだって。幽閉して無かった事にしてても不思議は無いよね。」
 「なんで『とんでもない子』になるの??」
 「色が無いからだよ。オミの所って、髪は茶色か薄茶が殆んどで目は緑とか青が多いんだよね。元々色の薄い民族なんだろうけど、オミの場合は薄いのを通り越してるから変だって。ついでに言えば、男の子のハズなのにっ……って。」
 あー…。そうねー。思うよねー。成人してたって女の人みたいに綺麗だもんねー。幼かったら尚更だろーねー。
 少年達は全員、思っても言わない。
 でも、表情、特に目に出ちゃってるけど…。
 「じゃぁ、オミさんの家は…跡継ぎどうしたの?オミさん一人っ子なんでしょ?血筋が絶えちゃうよね…。」
 「直系って考えたら絶えちゃったね。でも、親戚から養女に入ってもらえば言いだけだし、実際入ったらしいし。それに能力的な事を考えたら、家と仕事を分けても良かったハズだし…。」
 「?良くわからない??」
 カズキがきょとんとして訊ねる。
 「宗家本家って考えたら血筋が重要だろうけど、だからって血筋に拘って能力の弱い人に家業まで任せるって変でしょ?家業は能力の強い人に継がせればいいんだよ。そしたら家の力は増すよね。」
 「家の力って支配力とか影響力とか?」
 「そそ。」
 「乗っ取られるんじゃないの?働きに応じた報酬をよこせって話しにもなるだろうし…。」
 トシが否定的な意見を口にする。
 「この能力って遺伝するけど、強さは一定じゃないよ?キーちゃんとこと同じでムラがあるんだよ。分家に強い力の人が生まれたりもするし。それに、生きている間ずーーっと一定ってワケでも無いし。幼い時は強くても成長するにつれ弱くなったり、逆のパターンもあったり。一定の強さで死ぬまでずーーーっとって人もいるし…。だから、繁栄を目指すなら、力の強弱だけを問えばいいのにって思うんだよね…。弱くなったらとっとと引退して、次の人に譲ればいい。引退した人には相応の名誉を与えればいい。オミのとこの能力なら見て分かる面が大きいんだし。」
 「拮抗してた時に困るだろ。優劣付けがたいってなったら、下手すりゃ内紛だ。」
 「んーーー……、そっかー。そーだよねぇ、素直に引き下がったりしないよねぇ。権力もセットで付くんだしねぇ…。」
 「偉い人って大変だねえ…。」
 リョウがしみじみと呟く。
 「おイモの話しから…途中刑罰の話しになり、果ては王位の継承権にまで繋がるとは…。」
 カズキが頷きながら大真面目に言うと、キョウコが
 「そー言えば、おイモってアチラにもあるんだ?」
 今更な事を今更問う。


お邪魔します ⑯

 「ねーねー。でも、変だよね。」
 トシが首を傾げながら話の流れを少々変える。
 「だって、オミさんの血筋って畑のアレのアノ状態でしょ?で、なんで飢饉?食べる物の心配?沢山採れるじゃん。カズキも言ったけど、食いっぱぐれる心配無いじゃん。なのになんで飢饉食?」
 「そー言やそーだな…。」
 シンも疑問の内容に納得する。
 「おっ、気付いたか。一種の矛盾だもんね。でも気付かないと思ってたよ。」
 イツキが嬉しそうに笑いながら応じる。
 「えー…と、食べる物に困るわけ無いのに飢饉食があるのは何故か?って疑問と、その食べ物が差別の対象になるほどその地に根付いてるのは何故か?差別対象の食べ物なのに、絶えたりせずに残ってるのは何故か?って疑問が湧くね。」
 シンが思い付いた疑問をリストアップすると、全員がイツキやオミの方へ向き直り視線で問う。
 「被差別民が居たって事だよ。」
 イツキが事も無げに口にする。
 「被差別民が居て、被差別民の中には、ある地域に隔離されていたり、隔離はされていなくても身分として該当したり。で、そういった立場の人達が常食していたモノの一つがイモ類ってワケだ。」
 「被差別民って、なんで被差別民になっちゃうの?」
 「おや、カズキくん、難しい質問するね。差別なんて理由らしい理由ないからね、説明の仕様がないね。」
 「気に入らないからって理由でも差別しちゃったりってある?」
 カズキが心許無げに訊いてくる。
 「あるだろうね。上位階級者って権力者って意味だし、当時は法律なんて有って無い様なものだし。権力者が正義で反対者は悪って図式が、簡単に成り立っちゃうしね。」
 イツキの話しを聞いていく内に、カズキの表情が段々と険しくなっていく。
 「ただ、やり過ぎると人が居なくなっちゃうけどね。み~~~んな逃げ出しちゃって。」
 険しくなっていたカズキの表情が、イツキのこのセリフを耳にするやコロッと変わり、なにやら考えている様子を見せる。
 「??国境は?無いの?あってもお役人様がいないとか?いても仕事しないとか…?あれ、でも逃げ込んだ先にだってお役人様って居るよね…。えーと…?実は国の外は荒地とか…??」
 カズキの頭に『?』が山ほど現れる。
 「それ以前に、人が居なくなったら税収が見込めなくなるじゃんか。」
 ヤスノリが苦笑混じりにカズキに突っ込みを入れる。
 「あ、そっか。そーだよね。困るよね偉い人達。」
 「だからきっと、余りに無茶な事はしなかっただろうと思うけど、どうなんでしょう?実際のところは。」
 ヤスノリがイツキに訊ねる。
 「オミのところは結構緩かったはずだけど?実際は~とか言われちゃうと、俺も聞いた話しか知らないからねぇ…。」
 少し困った風にオミへ目を向け、言外に訊ねる。
 「んー…、『犯罪者』?窃盗とか殺人とか放火とか強姦とか、子捨て・親捨てしちゃった人とか…。後は、今で言う政治犯とか思想犯とかに該当する人とかも犯罪者に含まれるか…。」
 「家族は?罪を犯した当人の家族も犯罪者ってなる?」
 「政治犯とか思想犯なら、家族も犯罪者になるね。当人の親・配偶者・子供と当人の兄弟姉妹とその配偶者とその子供が大抵の場合該当する。」
 「うは。影響が大きいからか?ちょっと厳しい感じがするね。」
 シンが驚いたように言うと
 「政治犯とか思想犯とかに該当する場合って、政権の転覆やら簒奪やらだからね。内乱の元だし。近親者は影響受けやすいし、予め知ることが出来る立場なのに止めなかったとか、考えを改めさせなかった、役人に通報しなかったっていう理由も含まれちゃう。」
 オミが表情を消しながら淡々と答える。
 「子供もって、その子供が小さくても含まれちゃうの?」
 カズキが勢い込んで訊ねる。
 「当人の子供なら。兄弟姉妹の子供は、除外される場合もある。後、兄弟姉妹でも除外される場合もある。」
 少年達が全員、渋い表情になる。
 「政治犯や思想犯は、だよ。殺人やら窃盗なんかの場合は当人のみが『犯罪者』だ。ただ子捨て・親捨て以外だと被害者側に当事者や家族がいるから、その人達になんらかの補償なり弁償なりしなさいよってなるから、大抵の場合『犯罪者』の家族がソレを負う事になるけど、家族は『家族』ってだけで『犯罪者』にはならないよ。『家族』を『犯罪者』扱いしたら、それはそれで又別の罪になる。後、子捨て・親捨ての場合だと…、発覚したときに、その捨てられた『子供』なり『親』が生きていたら、『捨てた人』が国外追放食らう。死んでいたら同じ地区の人達全員が奴隷として売られる。で、この『奴隷』も被差別民となる。」
 「うひゃ…随分厳しい連帯責任だね…。その『同じ地区の人達全員』に年寄りも幼い子供も含まれるの?」
 ヒロが苦りきった表情で訊ねると
 「含まれるね。だから地区全体が無人になったりするよ。」
 「地区の人全員が口裏を合わせれば発覚しないんじゃない?」
 トシが否定的な意見を口にする。
 「あの頃は『奴隷の売買』は合法だし、『奴隷』は持ち主の『財産』だし、だから奴隷業者くらい居るワケで、罪として奴隷の身分に落とされた人が出たら『業者』は『仕入れ』るよね。この場合の『仕入れ値』は安く済むよ。」
 「って事は、業者か業者に縁のある人や業者に雇われた人なんかがうろついて探っている、と。」
 「そ・ゆ事。で、序でに元手がほぼ『0』の人攫いの場合。攫った人は攫われた人を、大抵の場合奴隷として売るんだけど、攫った人、示唆した人、買った人等が一様に川に流される。一人づつ目隠しされて手と足を縛られて、筏に乗せられ流される。他の罪の場合もそうだけど、関係してた人もなんらかの罰を受けるんだよね。」
 「隔離対象の方が少なくない?」
 大人しく、但し必死に聞いていたカズキが訊ねる。
 「殺人や窃盗や放火・強姦って、幅があるとは言えある程度の件数は起こるんだよね。で、再犯が起こりやすい。政治、思想犯は件数は少ないけど、該当者は多いんだよね。隔離っていうのは刑務所に入れるのと似てるんだよ。但し、その隔離地域内で恩恵なしで生活しろってなるダケで。」
 「その『恩恵』が、畑のアレの事?」
 リョウが確認するように訊ねる。
 「そそ。アレをする、アレが出来るって事が上位階級の身分証明の一つになるから。で、その『恩恵』が受けられないって事は、飢饉の際にその影響をモロに受ける。だからその地域では、飢饉食は必須だよねってなるし、奴隷身分の人なんかは、やっぱり身分が身分だから満足に食べる事が出来ない場合もある訳で、そうなるとおイモって助かるよねってなるから…。」
 「結果、芋が下賤の食べ物として差別される、と。」 
 シンがオミの説明の後を受けてまとめる。
 「?奴隷の人が、自分達用におイモを育てるって事?勝手にやったら怒られない?」
 カズキがささやかな疑問を口にする。
 「勝手にやったら、怒られるだろうね。主人から折檻されるだろうしね。ただ、自分の奴隷に対して何をどうするかは、持ち主である主人の裁量に任されてるから、主人によっては条件付きで許可を出すこともあるだろうね。」
 「主人によってって事か…。」
 「…うん、そう。で、さっきの罪だの罰だのって話しや今の奴隷の処遇に関しては、オミは子供の頃に国を出てるし、その後はあの国の人間って公には認められていないから、大人になってからチョコチョコっと聞いた話しをまとめただけだからね。子供の頃はもっと大雑把にしか理解してなかったし。」
 「なんで、国を出ちゃったの?」
 カズキが新たな点に食いつく。
 「超能力のコントロールの仕方を身に付けるためには、人の居るところから離れておかないとね。失敗した時にとんでもない事になっちゃうから。」
 「あー、なるほどね…。火炎弾?みたいなの失敗したら、町が一個吹っ飛びそうね。火事にもなるだろうし。」
 ヤスノリが冷ややかに例える。
 「なんて傍迷惑な…。」
 「じゃぁなんで、その国の人って認められなくなるの?修行に出たようなモンでしょ?超能力者は国にいちゃダメなの?」
 「跡継ぎ問題が発生しかねないからね。たとえ本人が相続を放棄してても、周りが放っておかずに担ぎ出す場合があるから、お家騒動になりかねないでしょ。」
 「あー…跡継ぎか…。偉い人の家って面倒だよねぇ。」
 訊ねたカズキが思いっきり他人事のように口にする。
 「偉くなくたって相続云々騒ぎは起こるでしょ。」
 「あ…。カズキん家でも起こる可能性はあるのか。」
 テヘヘーと笑って誤魔化す。
 「…した場合…、なんで『国』?『家』で無く…。」
 トシが怪訝そうに口にする。
 それを耳にした一同の視線が、光速並の速さでオミに注がれる。
 と、イツキが大爆笑し
 「オミ…は…、上位とか…そんな…レベルの…生まれじゃ…無い…し…。」
 息も絶え絶えとなりながら言い添える。
 アホやー、自分でバラしてやんのぉー、ドジー。
 しかも、硬直したオミに対し、大笑いしながらこき下ろすのも忘れない。

お邪魔します ⑮

 「はい、お待ちどうさまぁー。」
 イツキが陽気に、片手に持ったコピー用紙をヒラヒラさせつつ部屋へ戻ってくる。
 「家族毎で分けてねー。」
 「「わーい。ありがとー。」」
 イツキが明るく部屋へ入ってきたので、部屋内の雰囲気が切り替わる。
 「そーいえばさ、予めまとめてあったとか聞いたけど、何のためにまとめてたの?忘れないように?」
 リョウが不思議そうに訊ねると
 「元々は集めていたんだよ。なんでもかんでも色々と。」
 イツキはあっさりとか~~るく答える。
 が、つい先程の話しと今の『元々は』の辺りに共通する『危険臭』を嗅ぎ取り、少年達はそれ以上踏み込んだことを問おうとはしない。
 年代的なものであろうか、嫌でも重い話題になりそうだと察したら、取り敢えず一旦は距離を取りたいと考えてしまっても、それは致し方ないであろう。
 大体ココへは『好奇心』から端を発したとは言え、『楽しむ』為に来ているのだから。
 カズキが、重くなりそうな話題を嫌ってか或いは単に難しいと感じた事に触れたくないのか、それともお気楽な事をと感じたのかは分かりかねるが、調理中に感じた疑問を口に出す。
 「ねね。さっきさ、料理作ってるときにオミさんが嫌がるからおイモは使わないってイツキさんが言ってたけど、オミさんおイモ嫌いなの?」
 「きらい」
 ドきっぱりと口にする。
 「そんな、取り付く島もないような言いっぷりをするなんて…っ。おイモがオミさんにナニしたの?」
 少々大袈裟に、芝居がかった反応を見せる。
 「え?いや……別に、なにもされてないけど…。」
 食べ物に一体ナニを『される』のか、見当の付かないオミは当惑気な表情を見せる。
 「なんにもされてないのに、きらいなの?」
 オミの当惑など知った事ではないと無視をし、キョトンとした表情で重ねて訊ねる。
 「うん。きらい。」
 オミはやはりはっきりと拒む。
 大真面目に嫌っていると察して、カズキも大真面目に問う。
 「なんで?おイモ美味しいのに…。」
 「―――――っ。」
 オミが複雑な表情を見せ、理由を告げられずにいると
 「オミって元々は差別主義なんだよー。」
 イツキがとんでもない事をペロッと口にする。
 「「「ええぇぇーーっ!?」」」
 「じゃなければ民族主義。」
 「へ?民族?」
 全員がキョトンとする。
 「オミってふる~~~い民族の出身なんだけど…。やたらと古いわ、文化的だわなモンだから、色んな地域に影響を与えててね、その民族出身とかその民族の血が混ざってるっていうと羨ましがられるんだよ。で、その頃身に付けた『当たり前』から中々抜けられない。」
 「へーーーー。」
 分かってない反応。
 「もう国は当の昔に滅びてるし、オミはずれの子だし。」
 「国としては滅んでても、色々な地域に移っていった人達の子孫が残ってるじゃん。文化も伝えてるし。」
 文化 = 芋を嫌う
 「おイモを嫌う文化?」
 カズキが至極真面目な表情で問うと
 「それは一部。」
 イツキも負けじと大真面目に答える。
 「挙げるとキリがないからねぇ。肌を見せるなってのも、元はオミの所の慣習だし。」
 「なんでー?」
 ちゃんと長袖・長ズボン(一部七部丈)を着用しつつも理由に関しては良くわかっておらず、その様にするならとの条件付きで今回の『お泊り』に応じて貰った手前、合わせているに過ぎない彼等にとって『ナゼなのか』は至極真っ当な疑問である。
 「はしたないから。」
 ムスっとしながらオミが返す。
 「「「」」」
 「どの辺りがはしたないの?」
 「男でもはしたないが該当しちゃうの?」
 「はしたないってなんで?」
 疑問三連発。
 『なんで?』『どして?』年代のチビッ子の様な…。
 「はしたないモノははしたないんですっ。」
 「じゃぁ、おイモはなんで?」
 ミヅキがペロッと蒸し返す。
 「――――――っ。」
 表現するに適した単語が思いつかないオミが、苦々しげな表情を見せる。
 「おイモが普及した理由って知ってる?一部地域では辛うじて残ってて、主食にされてたりしたけど…。」
 「美味しいから。」
 カズキが真顔で答える。
 「アホ。それだけで一般に普及するかよ。逆に金持ちや権力者が独り占め狙うだろ。で、気に入ったヤツにだけ分け与えるんだ。」
 トシがあっさり否定する。
 「美味しいって分かった早い段階で、取り合いになりかねないしね。ってか、ソコに拘れるのはある程度余裕があっての事だろ。」
 ヒロが穏やかにではあるが、畳み掛ける。
 余裕。
 「ソレって、他に食べ物が沢山あったら『より美味しいもの』を欲しがっていられるって事だよね?で、そうゆう状態になる以前からおイモは普及してた…?」
 カズキが念を押すように自問自答する。
 「って事は美味しさは二の次になるって事で…。他におイモの特徴って…?」
 オミやイツキ達超能力者が配ったから、と考えないのはカズキの素直さの表れだろうか。
 尤も、少年達の殆んど全員が大事な一点を綺麗さっぱり失念しているようだが。
 「あ、分かった。育て易くて沢山採れる。栄養もあるし。」
 分かったことが嬉しくてニコニコしながら答える。
 「一年生の時に実習で育てたっけ。教わりながらでも一年生で育てられるし収穫できるんだから、結構簡単って事だよね。土ん中からゴロゴロ出てきたよ。」
 「はい正解。で、オミが嫌がる理由がソコにある。」
 「へ?」
 カズキが不思議そうにキョトンとする。
 「ナニが嫌なのさ?大助かりじゃん。種芋ちょこっと植えただけでボロッボロ採れるし、お子チャマでも育てられるし、おまけに美味しいし。好きになるのが当たり前で、嫌うところなんて無いじゃん。」
 カズキにとっては意外だし、自分が嫌がられている様な気になっているのか抗議口調になる。
 「オミは差別主義で民族主義傾向があるんだけど?」
 「ソレとおイモを嫌がる理由がイコールで繋がりません。」
 カズキが怪訝そうな表情を見せる。
 「あ、分かった。蔑む対象だ。」
 ヤスノリが突然声を上げる。
 「蔑む?おイモを?食べ物なのに?」
 「世の中には昆虫食って言われる食習慣を持っている人も居るわけだが…。その人達にとっては『虫 = 食べ物』なワケだが。その上で、カズキお前、美味しいよって言われて虫料理出されても食えるか?」
 「絶対無理です。」
 「じゃぁ、その手のモノを常食してる人を好意的に受け入れられるか?」
 「ちょっと、難しいかも…。その人が食べる分には構わないけど、カズキには薦めないでねとは思っちゃう。」
 「って事で。イツキさん、コレと似たようなモンって事でしょ?」
 念の為イツキに確認を取る。
 「うん、まぁそう。虫だとちょっと極端に感じるけどね。」
 「ただ分からないのは、どこをどうすると蔑む対象になるのか?ってとこだけど。対象はイモやイモの常食だし…。」
 「大した理由も無く拒絶するのを差別って言うんじゃなかったか?」
 「後付けみたいな理由付けして嫌がったり見下したりするのも差別だよね?」
 「芋に対して、成り立つ蔑みって…?後付けのこじつけで…???」
 少年達が真剣に悩んでいる様子が微笑ましく、イツキは思わず笑みが零れてしまうのを必死で堪えている。
 「見方や捉え方を変えないと。君達にとっての当たり前の事とオミにとっての当たり前の事が違うから、捉え方にズレを生むんでしょ?」
 イツキの言葉に耳を貸しつつ、尚も悩む一同。
 「もしかして、そのまんま逆転ですか?」
 シンが自分の思い付いた事に自分で驚きつつ訊ねる。
 「はい。正解。」
 「そのまんまって…。良い事ばっかりじゃん。」
 リョウが意外そうな顔をして言うと
 「良い事ばっかりだけど、じゃぁお前は『イモ男』って言われてもなんとも感じないか?褒められてるって思えるか?」
 「…。」
 絶句する。
 「そ・ゆ事。オミの出身地では、育てるのが簡単で大量に採れて尚且つ栄養もあるなんて、下賤の食べ物って認識になるんだと。」
 「げ、下賤…。」
 余りな表現にショックを隠しきれない一同。
 「確かに…飢饉食って一面もあるワケだから…、ある意味『下賤食品』かもねぇ…。階級社会なら、上位の階級の人は飢饉だろうがなんだろうが、税が納められていれば良いんだし。」
 マサトが参ったねこりゃと表情に見せる。
 「好意的に解釈する事もできるけどねぇ。でも、うそ臭いからそっちのが後付け理由だろうね。」
 イツキがダメ押しをする
 「好意的な解釈って?」
 ヒロが興味を示す。
 「下賤の食べ物って事にしておけば税の対象にならずに済む、だから民衆が餓えずに済むってね。ウッソ臭ーっ。」
 「あぁ、現物徴収ってのが基本だったけ。金銭徴収って結構新しいシステムだったけね。」
 「んーー…?それって、税として納めるものとは別におイモを栽培して、おイモで食い繋げれば飢饉が起きても皆が死なずに済むね、って事?」
 カズキが確認を取ると
 「そ・そ。だから、おイモは下賤な物って位置付けにしてたんだろうって。下賤な物なら税の対象にはしないでしょ、権力を笠に着て無理やり取り上げたりもしないでしょ、って理屈。」
 「ソレ絶対違うでしょ。そんな綺麗事で世の中が廻るわけないじゃん。税なんて取れる所から徹底的に取るモンでしょ。」
 ミヅキが力強く否定する。
 「んだぁね。だからウソ臭いこじつけって言われてる。実際は、食べるのもやっとって立場の人達が、好んでって言うかソレ以外無いから常食してて、ソレを目にした上位階級の人が『アレを好んで食べる = 下賤』とか『下賤の者が好んで食べるもの= 卑しい物』とか『卑しい食べ物を食べる = 下賤』って捉えて蔑んだって事だろうってね。」
 「だからオミは食べませんっ。」
 「って事は、オミさんは上位階級出身で、卑しい食べ物を食べてる人は下賤な人って考えているって事か。」
 マサトが冷ややかに皮肉る。
 「イツキさんは?」
 「俺の所はそんなにはっきりとした階級社会じゃないよ。食べる物の種類でランク付けするような事もないし。」
 イツキもマサトに合わせた様にサラッと皮肉る。
 「でも、少しは階級化されている、と。」
 「まぁ、そう。仕事の種類でちょっぴり階級的な面がある。」
 「へー。どんなん?」
 階級社会に対して知識らしい知識の無い一同。
 全くと言っていいほど屈託無く訊ねる。
 「血筋で遺伝する能力系の仕事は半ば独占状態だから、そうゆう家の出で、その手の能力持ちだと優遇される。」
 「その手の能力持ちって敢えて言うって事は、その手の能力持ちでは無い人もいるって事でいい?」
 「良いよ。遺伝だから能力が現れたり現れなかったり、個人差が大きいんだよね。ちなみにウチの父は出なかった人。で、俺には出た。で、この手の事での差別化は、元々はオミの出身民族の在り様で、その影響を受けているんだけどね。」
 「へー。すごーい。…けど、凄さが分からん。」
 トシが嘆くように呟く。
 「遺伝でってのはイツキさんの場合は、あのモヤモヤ系とか?オミさんの場合はあそこの畑的な…?」
 日中に立ち寄った畑の様子を指し示しつつヤスノリが尋ねると、それだと頷いてみせる。
 「俺達にしたらアレも超能力の一種って感じだけどな…。」
 「そっちは、まぁーーーーず遺伝しないから。で、コッチは血縁なら誰かしら引き継ぐからね、強さの違いはあるけども…。俺のトコみたいに父親には現出してなくても孫には現れる、とかね。で、血筋なら男女の違いも無いし。」
 「って事は娘でも引き継いでいる場合がある、と。当たり前か。」
 「あれ?って事は、オミさんの血筋なら、まぁーーず食いっぱぐれる事は無いって事?」
 カズキが会話に混ざる。
 「まぁ、そうなる。」
 イツキが好意的にクスクス笑いながら応じる。
 「おぉ、凄えぇ。カズキ、オミさんに一生付いていっちゃおうかな…。」
 期待に目を輝かせながらカズキが言うと、水をかけるようにイツキが問題点を指摘する。
 「調理は自分でしないとならないよ?」

お邪魔します ⑭ 

 ダイニングで皆でワイワイと食事をしていると、ヤスノリが手にしたパンを見つめ呟く。
 「このパン、なんかすんごく知った味なんだけど…。」
 「知った味って言うか、なじみのある味。」
 「知ってる味がする。」
 マサトとキョウコ、ヒロが同意する。
 それに対してシンとリョウが
 「俺はこっちの、サラダにのってるスモークチキンが…、知ってる味って気がする。」
 と呟く。
 「君達、中々良い舌持ってるね。そのパンとスモークチキンはさっき頂戴したヤツだよ。」
 「あ、だからかー。そりゃ知ってるわ。」
 合点がいき、一名を除いた一同が納得の表情を見せる。
 「家の味…。嫌いじゃないけど、なんか損したような微妙な気分になるのはナゼだろう…。」
 ヤスノリだけが複雑な心境を表情に見せる。
 「?ヤスノリんちのパン、美味しいじゃん。なにがひっかかるの?」
 カズキが不思議そうに訊ねる。
 「美味しいとか不味いとかの問題では無く。『いつものウチの味』ってところが、微妙に微妙なんだよ。」
 「お出かけしてる感が弱まるって事か?」
 マサトがちょーーっとだけ意地の悪い表情をしつつ確認すると
 「うん、そう。」
 意地の悪い云々を綺麗にスルーして、素直に認めるヤスノリ。
 「パンを一欠け口にすると、あれ?家に帰ったんだっけ?とか、父さん居たっけ?って一瞬なんだけど感じるから。」
 「ありゃ。じゃ、今度からは別のパンを使うようにしようか。美味しいし、馴染んだ味の方が『よりリラックス出来る』と思ったんだけど。」
 「キーちゃんが一から焼くとか。」
 オミがさらっととんでも発言をすると、イツキがギョッっとした顔をする。
 「え?プロの味に張り合えと…?」
 
 ちなみに本日のお品書き
 ① 冷製クラムチャウダースープ
 ② スモークチキンサラダ
 ③ ミートローフ
 ④ パン
 ⑤ コーヒー(お子ちゃまにはジュース)
 ⑥ デザート(フルーツシャーベット)
 書き出すとそんなに凄くは無いですね。(見た目が派手で分量が多いかもしれないけど。)
 お代わり実績(パン・コーヒー・デザート除く)
 イツキ ⇒ サラダ、スープとミートローフ(+2切れ、付け合せ含む)
 オミ ⇒ スープとミートローフ(+2切れ、付け合せ含む)
 キョウコ ⇒ サラダ
 シン ⇒ サラダとミートローフ(+1切れ、付け合せ含む)
 マサト ⇒ シンと同じ
 ヒロ ⇒ スープとミートローフ(+1切れ、付け合せ除く)
 リョウ ⇒ サラダとミートローフ(+1切れ、付け合せ除く)
 ヤスノリ ⇒ ミートローフ(+1切れ、付け合せ含む)
 トシ ⇒ ヤスノリと同じ
 ミヅキ ⇒ ミートローフの付け合せのみ
 カズキ ⇒ サラダとスープを半量、ミートローフ(+1切れ、付け合せ含む)
 タイガー ⇒ スモークチキン(ドレッシングの付いていない部分を少々)
 カズキが食いしん坊と言う事が発覚。
 イツキから「全部片してね」とプレッシャーを掛けられていたので、皆、頑張りました(他にパンも数個づつ食べてるしネ)。

 コーヒーとデザートはリビングでねと、吹き抜けのある部屋に移動した一同。高校生組みとイツキやオミはコーヒーで、中学生以下はジュースを口にしつつ雑談に花が咲く。
 「オミさん、普段の食事も今日と同じ感じ?」
 「ぅん?分量とか?種類?だったら、そーだけど。なに?なんか変?」
 トシが他愛無く訊ねると、自分の所の食事は『普通』では無かったかと疑問を感じ訊ね返すオミ。
 「変とかじゃなくて。結構豪華だよなって思って。って、あれ?もしかして俺が粗末な食事してるって事になる?」
 「へ?いや、俺も豪華だなって感じたし…。」
 トシに確認を求められた形になったヤスノリが答える。
 「豪華っていうか、派手な印象?だからってアレを粗末とか言う気にはなれないけど…。」
 マサトが感想を述べると
 「分量が凄いって気がする。この人数を満腹にさせるんだし。派手とか豪華って感じるのは、あぁいった料理を見慣れてないせいもあるかもな。」
 シンが一歩離れた感想を口にすると、それを耳にした全員が納得の表情を見せる。
 「って、レシピ欲しい。作り方付きで。」
 「あ、そ・だ。ウチも欲しいんだ。」
 キョウコが思い出した様に言うとシンも同意する。
 「今、キーちゃんが持ってくるよ。6家族分あればいいんでしょ。で、オミが不思議なのは、同じレシピで同じ料理作って出したら『どこそこの真似か?』って言われちゃわないのかな?って事なんだけど…。」
 「ちゃんと『自分ン家の味』にアレンジしてから出すから大丈夫ですよ。レシピは基本形としての参考です。」
 マサトが説明するとオミも納得する。
 「ねね。『持ってくる』『6家族分』って、6枚も書き書きしてるの?」
 カズキが別の面の疑問を口にする。
 「へ?いや、まさか。以前にまとめたヤツをコピーしてるんだよ。」
 「コピー?って、機械でウィーンってするヤツ?ウィーンってするとペローンって同じのが出てくる…。」
 「そうそう、それ。」
 「そんなもん個人で持ってるの?」
 「サンプルで使ってください、追加機能なり要望なり言ってくださいって言われてる、けど?」
 「「「えーっ!?そ・ゆのってあるのぉ?」」」
 「コピー機はあるでしょ。知ってたじゃん。」
 「違うよぉ。サンプルとか使ってくれとかだよぉ。」
 カズキが半泣きで訴える。
 「だって…、無くなりかけてた技術の再現に協力したし…。」
 「あ、『大災厄』…。」
 トシがボソっと呟くと、全員が「あっ」と気付きオミに確認の目を向ける。
 「うん。技術なんて殆んどと言っていいくらい失くなってたね…。」
 技術も記録も知識も…、文化も文明も。
 食べて生き永らえるのがやっと言う有様へ叩き落した『大災厄』。
 オミやイツキ達の様な『放り出された人』は大災厄後に現れ、化け物や怪物やらの被害は『放り出された人』が確認される以前から頻発し、『大災厄』自体はソレ等の前に起きている。
 大体オミやイツキ達等『放り出された人』は、それぞれがその状況に置かれる以前には、当然の如く『居るべき場に居た』ワケで、ソコでは『大災厄』など起こらなかったので…。
 「その時って、技術のある人も同じ様に『放り出された』の?超能力者だけで無く?」
 カズキが疑問を口にすると
 「超能力者の方が少ないよ。で、色んな人が放り出されたし、尤も10年経った頃には、生きながらえた『超能力の無い人』はほんの僅かだけになったけどね、超能力者も減ったし。」
 オミは、事実を有りのまま淡々と述べただけだが、その淡々とした様が受け取りようによっては、オミの事を『冷たい人』と感じさせる。
 事実の重さとオミの淡々とした口調のせいか、その場の雰囲気が少々冷める。
 「なーーんにも無い状態から、今の状態まで戻したって事でいいの?カズキ達のご先祖様達も頑張った?それとも、おんぶに抱っこだった?」
 カズキは、学校で大まかな歴史を学んでは居るが、イマイチ実感が伴わないのか無邪気ともいえる問いを口にする。
 「頑張ったから、今、君達は、そうして元気でいるんでしょう?」
 ふんわりとした笑顔で肯定するオミ。
 その笑顔と口にした内容で、一気に場の雰囲気が和む。

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