12
1
2
4
5
6
8
9
10
12
13
15
16
18
19
21
22
23
25
26
27
29
30
31
   

最上部にて…

コメントは公開設定となっています。 公開に抵抗のある方・長文となる方はメールをご利用ください。 又、コメント・メール共に必ずお返事できるとは限りません。 予めご了承ください

雨が上がったそのあとは… ⑪

 地に付くほどに垂れ下がっているラズベリーの枝に、タイガーがじゃれ付き、前足で真剣に猫パンチを繰り出す。
 「タイガー?トゲトゲ痛くない?」
 カズキが心配そうに声をかける。
 「トゲ、小さいけど…引っかかったらケガするんじゃない?刺さったりとか…平気?」
 カズキの声のする方へ顔を向け、目をクリクリさせながら
 「ナー?
 なぁに?どうしたの?と訊ねているよう。
 「痛いでしょ?」
 なので、カズキは傍らの枝をツンツンと突っつきながらゆっくりと話しかける。
 言われたタイガーは、少々難しい表情をしつつカズキの指し示した枝を見つめる。
 「イタイーッだよ?」
 カズキに言われるも、タイガーには通じていないようで
 「ニャオン?」
 何言ってるの?とばかりに小首を傾げられてしまう。その上タイガーは、徐に目の前の枝をペシペシしてみせ、どうだといわんばかりの表情を見せる。
 「自慢されましても…。」
 困り切ったカズキの足元に、タイガーが枝を揺らしたせいで落ちたラズベリーがいくつも転がる。すると、タイガーはなんだこれ?コロコロした、と興味を示す。
 「タイガー?それはタイガーには酸っぱいんじゃない?カズキには丁度良いけど。で、ペシペシするとベチョってなって足がベトベトになるよ?」
 カズキが心配するも、タイガーは聞こえていないのかどこ吹く風。転がった実の匂いを嗅ぎカジカジ…と。
 カズキとタイガーが仲良く(?)している姿を遠目に見ながら、トシがオミに声をかけ訊ねる。
 「ココって、ずーーーっと向こうまで同じのが植わっている様に見えますけど、同じのが向こうにも植わってるんですか?」
 「うん、そうだよ。」
 トシの疑問に簡潔に答えるオミ。
 「そんなに種だか苗だかがあったって事で?」
 「ううん、勝手に増えたの。油断してたらみっちりと…。」
 オミ何にもして無いのに…と少々悲しげな表情を見せる。
 「オミさんは何にもしていないのに…勝手にわっさり増えた、と。」
 トシの言葉にウンウンと頷くオミ。
 「なんかしたらどうなったんでしょう?」
 「……キーちゃんに叱り飛ばされる?」
 『どうなっていたか』の意味を取り違えているが、オミが真剣な表情で口にするものだから笑うに笑えないトシ。
 考え方を変えてみれば、オミにとっては例え山一つラズベリーに覆われようとも、イツキの説教の方が数段怖いと考えていると言う事に気づく。という事は、山一つ丸々ラズベリー畑になろうとも…後始末は然程苦労はしないと捉えているとトシが察し、どの様に後始末をつけるつもりでいるのか気にかかる。が、聞けない。聞いたらそれこそとんでもない答えが帰って来そうな気がするから…。なので微妙に話しの筋を変えて口を開く。
 「結構綺麗に並んでいますよね。勝手に増えた割には…。」
 どうしてかなー?と目で問うと
 「必死に並べたからねっ。掘り返して、株を分けて、隙間を開けながら並べて植え直ししたから。で、今でも時々、みっちりってならない様に所々引っこ抜いてるよ。」
 「はぁ…。引っこ抜いててもコレなんですか…?」
 「うん、間引いている筈なんだけど…ねぇ…。」
 ラズベリーの繁殖力に目を瞠るトシ。
 「ラズベリーとブラックベリーとブルーベリーは凄いねぇ。何が起こった?って位に増えるよー。油断してるとギョッとするよ。」
 「は…ぁ、そんなに。」
 トシが二の句を継げずに居ると
 「実も、季節には毎日毎日ボロッボロ生るんだよね…。まぁ、ラズベリーはそろそろ終わりの時期だけど…。」
 「はぁ…。」
 「あ、ベリー繋がりでクランベリーもあるんだけどね。暑さに弱いみたいだから、もっと上の方に植えてある。今は季節には早いから採れないけど、コレも結構実が生るよ。でも、採ってそのまま食べるのは無理だけど。」
 「クランベリーってベリーって付くクセに『すっぱー』ってなるアレですか?ジュースで見たような…?」
 「それそれ。」
 クスクス笑いながら肯定する。
 「ブラックベリーやブルーベリーも生ってるけど、行って見る?ここより下の方に植えてあるんだけど。高さでいうと、一番高い所にクランベリー、次にラズベリー、その下にブラックベリーで、もっと下にブルーベリーって植えたの。同じ面に植えてあるわけじゃないけどね。」
 オミに問われるが、下に行く = 気温が上がる と考えたトシは首を横に振りながら遠慮する。
 「そう?ブラックベリーも生食はお奨めしないけど…ラズベリーは食べ放題だよ?なんなら一人2列権利にしても平気だよ?両方ともザクザク採れるだろうし。」
 「いくらなんでも…そんなに…。」
 トシが泣き言を言うように辞退する。


 「シン君、悪いんだけど次はコレを頼むよ。」
 イツキの声と共に大きな篭が置かれる。篭に3つ程に切られ山盛りになったとうもろこしが入っていて、どうやらコレの実をもげと言う事らしい。
 「手でもいだ方が調理の時に崩れないけど、大変だろうからこのナイフで削ぐように取って。」
 うっすらと湯気を上げているとうろもこしの入ったかごと小型のナイフを無造作に置き、代わりに莢から取り出された枝豆の入った篭を持っていく。
 「なんなら一本ぐらい食べちゃっても良いよー。」
 イツキは唖然としているシンを尻目に言い置いて、調理の続きへと戻っていく。

スポンサーサイト

雨が上がったそのあとは… ⑩

 ラズベリー畑のそこかしこにある大木の木陰に、オミは日焼けが怖いからと隠れるようにしながら周囲の様子に目を配っている。
 ここは少々高い位置にある為か吹く風は涼しいのだが、如何せん今は夏。日差しはそれ相応に強いので、大木が形作る影と日向とのコントラストが目に痛い。にも係わらず、あちらで摘まみこちらでパクっと暑さを物ともしない一同の姿に、オミは半ば呆れたような、或いはある種尊敬するかのような目線を向ける。

 枝豆を黙々と莢から出していたシンは、作業の手はそのままに訊ねる。
 「イツキさん、献立ってなんですか?」
 「んー?一応、枝豆のすり流し・パプリカのマリネ・ナスのトマト煮込み、それととうもろこしとインゲンをちょっぴり辛く炒めてって考えてる。で、マリネにシン君がこの間釣った魚の残りを足そうかなって…構わない?」
 「一向に構いません。」
 ありがととイツキが材料を切りながら返すと
 「献立ってどうやって思いついてます?母はよく困ってますが…。」
 「んー…材料を眺めつつ、汁物はぁとかボリュウムも欲しいよねとか、アッサリし過ぎな感じのときは辛い系に行くかしょっぱい系に行くかとか、炒め物が重なるなって時は煮込み物にチェンジするとか。後は最近食べて無い物とか、大人数ならではな物とか。」
 「はぁ…それで、献立って形で思い付くんですか。」
 「思いつくねぇ。あー…後、オミがアレ食べたいとかコレ食べたいとかって。」
 「メインを一品だけリクエストっていうのも困りません?」
 「困らせてるんだね?」
 「困らせてます。って別に好き嫌いは言いませんよ?出されたら当たり前に食べちゃってますし。」
 シンが心持ち焦りながら自己弁護を行うと、イツキも深い意味は無いよと笑いながら聞き入れる。
 「もしかして…レシピを欲しがるのはそういう理由もある?献立の足しにって。」
 「はぁ…まぁ、一応。『お宿』側でも使えれば助かりますしね。」
 「料理本も…『献立』って形では、あまり売られて無いみたいだしねぇ。毎日の事だから、そりゃぁ頭を悩ますよねぇ。」
 イツキが同情気味に同意を示す。
 「俺達のウチの場合、予算って物も大きいかなと。限られた食費で…限られた食材や調味料で、ほぼ大人含む大人4人分の胃袋を満足させないとなら無いですから。」
 「成長期と働き盛りが揃ってるしねぇ。作る量も半端無いだろうし大変だぁ。」
 好意的な笑いを織り交ぜながら『主婦』の労に理解を示す。
 「後、他の敵は『夏・冬の台所』みたいですが…。」
 「夏の暑い盛りの火を使う作業と、冬の寒さ厳しい中での水仕事?」
 「それです、それそれ。」
 「シンドイわなぁ…。むかぁ~しに比べたらラクになったとはいえ。」
 「台所に用が無い限り立ち入りたくないですからねぇ。だから、作るのが容易な食事でも文句は言わない様に、気を付けてはいるんですが…。作るのがラクで、栄養あって、お安く手に入れられる食材でって、何かお勧めありませんか?」
 言外に時折不満を感じてしまうと匂わせながらとは言え、シンの大真面目な問いに
 「あったら俺が知りたい。」
 脱力するイツキ。

雨が上がったそのあとは… ⑨

 オミに珍しくダメ出しをされ、か~るく落ち込んでいたカズキではあったが、オミが採集可能と思われる果樹林(?)へ連れて行くとケロっと機嫌が直りキャイキャイと騒ぎ出す。
 「オミさん本当に採って良いの?食べちゃっても平気?」
 キャッキャ言いながら背の低い木へ跳ねるように駆け寄りながら訊ねる。
 「食べるのは…洗って無くても構わないなら。一日雨降った後だから、ちょっと水気が強いと思うけどネ。」
 「うん、気になるほど汚れてない。」
 オミの返事を受けたカズキが、生っている実を凝視し軽く頷き呟く。
 「オミさん?コレってパイに入ってたヤツ?」
 ヤスノリも心なしかウズウズしている様。
 「うん、ラズベリー。小さいトゲがあるから気を付けてね、油断して引っ掻き疵作らないように。」
 「はーい。って、俺等も食べちゃったりして良い?」
 「気にせずどうぞ。」
 カズキに便乗のおねだりになるも如何かと気にかけている皆の様子を察し、代表した様に訊ねたトシに向けにっこり微笑みながら返すオミ。
 『クールビューティー』に微笑まれたトシはというと…不意打ちを食らってテレたのか、わざとらしい位にいそいそとベリーへと向き直る。
 「ラズベリーうめー
 「おいしー
 「水気がって言ってたけど…良くわかんないな。ぼやけてるって言えばそうなんだろうけど…。」
 呟くマサトの横で、うまうまとパク付いていたカズキが
 「…じゃぁ、2・3粒まとめて…。」
 言うが早いかポイポイっと口へ放り込む。
 「んー…っ。」
 口をキュッと閉めて手を添えつつ慌てるカズキ。
 小刻みにジタジタしたカズキの様子にオミが慌てて駆け寄ろうとしたら
 「あー…焦ったぁー…っ。口の脇から垂らすかと思った。」
 徐に顔を上に向け…飲み下したカズキの声が聞こえる。
 「入れ過ぎ。」
 冷ややかに注意するマサト。と、安心して脱力するオミ。いつの間にやらカズキの足元に来ていたタイガーも一声鳴きつつ、全身で呆れている様子を見せる。
 「ぁぅ…っ。タイガーにまで…

 オミ組が暑さにもめげずにワヤワヤと盛り上がって居る頃、イツキ・シン・キョウコは…。
 『同時進行』を完全否定し理解を得られたところで昼食の下準備に入るイツキ。
 シンはと言うと、リビングで乾燥させていた『土産』を、オミ組がいつ帰って来ても良い様にと先日イツキに教えられた部屋へと移動させ、キョウコはウダウダと受験勉強を再開しに庭の木陰へと向かう。
 イツキが献立を考えつつ材料を揃えていると、手の空いたシンが顔を出す。
 「手伝いますよ。ヒマしてますし。って言っても料理だとあまり役に立ちませんが…。」
 「んー…?じゃぁ、ちょっとお願いしちゃおうかなぁ。枝豆の豆の取り出しを…。」
 声をかけられたイツキはサラっと面倒臭い事を口にする。
 もしかして『同時進行』ネタを根に持っている…?
 少々顔を引き攣らせるシン。とは言え手伝うと言ってしまった以上イヤとは言えないワケで…、おまけに頼まれたのはチビッ子でも出来る豆の取り出しでは、逃げようも無い。
 イヤイヤやろうとしていると覚られない様、積まれた枝豆の前に陣取り
 「莢から豆を出すだけでいいんですよね。」
 確認の為訊ねる。
 「うん、そう、薄皮もなるべく取ってね。手間がかかって悪いけど頼むワ。その間に俺はコッチを切ってるから。」
 イツキの返事に分かりましたと返し、すぐさま黙々と作業に入るシン。

雨が上がったそのあとは… ⑧

 「そういえばイツキさんやオミさんってお付き合いなさってる方いないんですか?」
 受験勉強に励んでいたキョウコも気分転換にと称してお茶休憩に混ざり、思い出した様に訊ねる。
 「ん?」
 突然なんだ?と不思議そうな表情を向けるイツキ。嫁入り云々話の仕返しか?それともシン君絡みか?
 「あー…いえ…あの、大人の方でらっしゃるんだし?お付き合いしている方の一人や二人や三人や四人、いらしても不思議じゃぁないわよねーって思いまして。」
 にっこり微笑んで、単純に好奇心からの疑問なんです、とイツキからの在らぬ疑いと妙な警戒心を解く。
 「今はいないね。」
 「って事は…オミさんとは『お付き合い』ってワケでは無い、と。」
 シンが確認するように口にする。
 「じゃぁ、以前は居たんですね?」
 キョウコがワクワクを隠さずに訊ねる。
 「オミとは一種の腐れ縁。あれをお付き合いって言うか?」
 ここ数日見ていたであろう、アレとのアレコレを暗に指し示し同意を求める。
 「いいえ、失礼ながら『育児』に近いかと…。」
 目を伏せながら辛辣な事を言う。
 オミとて、共に出かければ大人として超能力者として、辺りに注意を払う皆の体調を気にかけるなど、必要な事はキチンと行っているし、シンもその点は理解し頼っている面もあるのだが、如何せん、自宅で過ごしている際に…いや、イツキと共に居る所などを顧みると子供返りをして居るように見受けられてしまう為、世話になっている側、ましてや自分は思いっ切り年下と分かってはいても失礼な表現をしてしまう。
 「『以前はいらしたんですか?』?」
 無視された形のキョウコが重ねて問う。
 「いました。って、何年生きてると思ってるの。」
 「んー…か~るく300年以上?どんな方です?イツキさんの好みって??」
 イツキの突っ込みにクスクス笑いながら答え、更に細かく尋ねるキョウコ。
 「「女子ってそう言う話し、好きだよねぇー。」」
 イツキとシンが声を合わせる。
 「えー?だって気になるじゃない。」
 心底意外そうに言い返すキョウコ。
 「大人の方だし、イツキさんハンサムな方だから、まぁ居て当たり前なところはあるワケだけどぉ、『今』『本当に』『いる』のか『いない』のかは、聞かなきゃわからないじゃない。」
 「居たらどうするの?」
 「『私達がお邪魔しちゃってお世話をかけてるから、思う様に会ったり出来なくて済みません。』って相手の方に一言謝罪を…。」
 ついでに写真を拝見したいとは思っても(取り敢えず今は)言わない。
 「なるほど。」
 キョウコの返事に思わず納得するイツキ。
 「イツキさんは、一応ご自身で『いいよ』と仰って下さったワケですから、イツキさんに対しては『お世話になります。』とか『世話をおかけします』とかになりますが…彼女さんとかでしたら、ある意味とばっちりなワケですから。」
 「『とか』って何?『彼女さんとか』の『とか』。この『とか』には一体どんな意味があるの?なにを指してたり、示してたりしてるの?」
 キョウコの説明の中の一言が気にかかるイツキ。
 「えーー…だってぇ…イツキさん達ってばぁ、かぁるく300年は生きてらっしゃるんだしぃ…。」
 白々しくすっとぼけた返しをするキョウコ。
 「アレやらコレやらソレやらナニやら、色々様々に経験してらっしゃるだろうと思いまして。」
 つまりは、彼『女』とは限らない、と。
 「俺の好みはっ、気立てが良くて美人で機転が利いてグラマラスでしっかり者な女性ですっ!」
 察したイツキはきっぱり断言する。
 「オミさんは、気立てが悪いと言うわけじゃぁありませんが…『美人』項目しか当て嵌まらないですね…。」
 シンが呟くように口にすると
 「だ・か・らっ、オミとは付き合ってるとかそう言うんじゃありませんっ!」
 イツキが食い下がる。
 「はぁ。はい分かりました。それで、ですねぇ、あのぉ…流れ的にスルーしちゃってるワケですが…そのぉ。」
 シンが勇気を振り絞って話しを変えようとする。
 「なんでしょう?」
 イツキも大人の余裕を見せようと耳を貸す態度を見せる。
 「ちょっと前にキョウコが言った『一人や二人や三人や四人』発言なんですが、アレはどう考えても『同時進行』を指していると思われるんですけども…そのぉ、否定なさってらっしゃらないと記憶しているんですが…『そう言う事もあった』と受け取っても良いんでしょうか?」

雨が上がったそのあとは… ⑦

 お茶休憩と称し、幼稚舎・学校話しに花を咲かせるイツキとシン。
 イツキの、プレが週3日とはいえ40人も増えるって…困らないのかね、という疑問に対しシンが、40人を2組に分けて1日交代で週3日ずつだから結果半年間で、お昼迄なのでお弁当食べて帰宅ですと説明する等、基本はイツキが予め感じていた疑問にシンが都度答える。時折シンの答えに対しイツキが新たに感じた疑問を重ねて訊ねたりもし、話しが盛り上がる。


 で、オミ側はというと…。
 「オミさん、あの木は何?あっちのこんもり…っていうか、どわぁーって同じような木が繁っているの、何の木?」
 どうやらカズキに限らず全員が採ってみたいらしいと察したオミが、場所を変えれば実の残っている場所もあるのではと考え『見て回る』から変更し、多少は採れるのではと思われる場所2・3ヵ所を探して、あったらそこで採ってみるパターンへと変更を提案する。と、全員が同意したので、空中散歩をしつつまったりと探して回っている最中に、ヤル気に満ち満ちたカズキが木の生い茂った場所を指差し訊ねる。
 「あー、あれは栗の木だったかな。けっこうみっちり繁ったねぇ。でも採るには早いかな。早成りのでも、もうちょっと経ってからだった気がする…。」
 「栗かぁ。で、早いのか…。」
 最初は嬉しげに、後の部分は力無く口にするカズキ。
 「栗好き?」
 「好き好きぃーっ。剥くの大変だけど。」
 きゃっきゃしながらカズキが答えると
 「夏の終わりか…秋の初めって頃かな。朝と夕方が過ごし易くなってきたなぁって時期だと、採っても採ってもわんさか成るよ。」
 「そんなに?」
 ヒロが驚いて口を挟むと
 「うん。こんなにいっぱいどうしましょ?って位採れる。」
 「えー…エヘヘー、あのぉ、ものは相談なんですがぁ…。」
 カズキが愛想笑いを浮かべながらオミに声をかけると
 「カ・ズ・キッ。あんた、ちょっと恥ずかしい真似止めなさいよね。」
 察したミズキが制止の声をかける。
 「だってぇ…。いいなーって、羨ましいなーって…思っちゃうしぃ。売り物ならアレだけど…オミさん達は売ってるワケでも無いんだしぃ。」
 シラを切るような、とぼける様な答え方で返すカズキ。
 カズキとミヅキのやり取りをキョトンとした顔で眺めているオミ。
 栗の話しは確かにしていたが…『相談』と『恥ずかしい真似』と『羨ましい』が、オミの頭の中では繋がらない。
 なにしろオミの頭の中では…
 カズキが採りたがっていた + みんなも採りたいらしい = じゃぁ場所移動しよう
 からの
 カズキに木の種類を尋ねられる → 答える + 『まだ早い』と補足する
 という流れであるのに、何故か
 相談 = 恥ずかしい事 → でも羨ましい
 と現状ではなっている。
 何がどうして『相談 = 恥ずかしい事 → でも羨ましい』となるのか…?なにがどうなったの?なにをどうするとそうなるの?オミはなにを理解していないの?
 オミの頭の中では疑問が渦を巻いて駆け巡っている。
 
 「オミさんって…鋭いんだか鈍いんだか…。」
 トシが小声で辛辣なセリフを、囁くように口にすると
 「しぃっ。」
 マサトが小声で制止し
 「あれじゃね?想定外ってヤツ。」
 「あぁ、カズキの思考って時々跳ぶからなぁ…。カズキ自身は流れに沿って言ってるつもりらしいけど。『カズキが考えそうな事』を把握していないとなぁ…。」
 リョウが予想を口にするとヒロが困ったような口調で同意する。
 「いつもの様に、はっきりズバっと言っちゃえばオミさんも困らないで済むのに。」
 ヤスノリが呆れたように口にすると
 「だから、しっ!」
 マサトが先程よりは幾分か語気を強めて制止する。

 ミヅキとカズキがお互いを牽制しあっているその傍らで
 「???」
 オミが頭の周りを『?』で飾っていると、見かねた4人組から目で訴えられたマサトがコソっと耳打ちをする。
 「山盛りの栗を分けてくれって言いたいんですよ、カズキは。で、ミヅキに止められているワケで。」
 「っ!」
 言われてピタッとピースが嵌まるオミ。
 「カズキは、栗拾いもして見たいんでしょうけれど…学校がありますし、いくらなんでも今回のすぐ後にソレでは図々しすぎると考えたんでしょう。でも、やっぱり栗は欲しいから、と。カズキとしては一応遠慮をしているんでしょうけれど、ちょっと…その、なんと言うか…俺達やミヅキからしたら、及ばないと言うか足りないというか…見兼ねると言うべきか…。」
 オミが理解したと把握したマサトが尚も声を潜めて続けると、成程ねと頷き、分かったと伝える。
 マサトとしてはカズキの希望とミヅキの懸念を理解したその先は、オミやイツキが判断すべき事と考えるが、どうにも(カズキに対しての)対応が甘いと思われる二人の様子やアメリカンチェリーの件等も相まって、ささやかながら不安を感じおせっかいを承知で釘を刺すべきか少々気にかける。
 オミはほんの僅か思案し、カズキとミヅキそれからお兄ちゃん達へ聞こえるように、少々を大きめの声で応える。
 「分かった。でも今回は、お姉ちゃんであるミヅキちゃんの考えを尊重する事にするっ!栗はまた今度ね。」
 カズキに甘いオミとは思えない決定を宣言すると、カズキは力なくうな垂れ、他の同行者は驚きの様子を見せつつも賛意を表す。

 

雨が上がったそのあとは… ⑥

 「オミさぁ~ん、なんで…どの木も…下の方に実が無いのぉ…?」
 カズキが木の下で思いっきり背伸びをし、手も可能な限り伸ばしながら尋ねる。
 「んー…?昨日雨が降るって分かってたから、キーちゃんが一昨日のうちに収穫してくれたよ…?」
 なんでそんな事聞くの?と不思議そうな表情を見せつつも気の無い様子で答えるオミ。
 「すでに収穫済みっ!?」
 意表を疲れた表情で再確認をするカズキ。
 「うん。だって、ある程度育ったら水気は少な目にした方が良かったハズだし、雨に濡れて裂けたり割れたりしちゃうのもあるから…。育ちの遅いのだけが残ってるはずで、ソレはやっぱり上の方に集中しちゃうんだと思うけど?」
 ショックを受けた様子で木の上のほうを、口をあんぐりと開けて眺めるカズキ。
 「?なんで?どうしたの?」
 「…カズキ、採ってみたかったから…。あるかなーって思って。」
 力なく答えるカズキ。
 「えっ!採りたかったの?」
 「一個とか二個でいいから、採ってみたくて…。無いとは思わなかった…。」
 「探せばあるとは思うけど…。そうかぁ、採りたかったんだ…気付かなかったよ。」
 カズキの落ち込み振りを目にし、慌てて慰めるオミ。
 「イチジク採ったから、それで…いいと思うようにするよ。」
 自分で自分を納得させるように言うカズキ。
 と、離れたところからヒロの声が聞こえてくる。
 「お、見っけ。これはなんだ?プルーン?オミさーん、コレって採っちゃダメですかぁ?」
 「下の方の…。」
 「カズキが採るっっ!カズキが採りたいっ!ヒロちゃん、替わってぇっ!」
 オミが答えるより早くカズキが応え、あっと言う間にヒロの元へと走り寄っていく。
 「えー…と?」
 カズキの余りにも素早い行動に気圧されてしまい、自分が何をし掛けていたか一瞬ド忘れするオミ。
 「オミさんオミさん!採って良い?カズキが届く位の高さっ!一個だけ残ってる!」
 興奮状態のカズキが騒ぐ。
 「採っても良いけど…裂けてない?硬くない?割れてるのは、虫が先に中へ潜り込んでいるかも知れないから、採っても食べない方が良いよ。硬いのは酸っぱいよ。」
 カズキが届くというので低めの位置にあると分かり、他の注意点を伝えるオミ。
 「割れてない。硬くない。って言うか…。」
 普段ハキハキ応えるカズキが最後で言い淀み、その脇でヒロがくっくと笑いを堪えている。その姿を目にしたオミが不思議そうに声をかける。
 「?なに?」
 「…傘被ってる…葉っぱの。」
 カズキが困惑しながら応える。
 「は?」
 「大きな葉っぱで、傘?笠?被ってるの。雨避け?日焼け避け?」
 答えを受けても疑問、訊ね返されても疑問、お互いの間に疑問が行き交う。
 「イツキさんがやったんでしょうか?傘をかぶった実って…。」
 裸電球がこんな感じで描写されたような…?ヒロが阿呆な例えをすると、カズキが連想してしまったらしく大笑いする。
 「は…裸…でん…き…ゅう…って、もっと笠…小さいで…しょぉ。」
 うははは、ヒロちゃんのアホー、裸電球にしか見えなくなったじゃんっ。とカズキが笑い転げる。
 オミが覗き込むと、大きな葉の間から実が僅かに顔を出しているのが確認できる。
 「キーちゃんってば…もぅ、アホなんだから。」
 セリフは否定的でも、口調は面白がっているのがわかる。
 他の子達も集まり、皆で「なんだこりゃ。」「可愛いじゃん。」「でっかい葉っぱだねぇ。」「わざわざ被せたの?」「一個だけ育ちが遅かったのかな。」等々盛り上がる。
 「カズキが。カズキが採るんだからね。採っちゃヤだからねっ。」
 盛り上がると同時にドサクサ紛れに採られるのではと危惧したカズキが、権利を主張するが
 「えー?こーゆーのって採っちゃったモン勝ちじゃね?」
 からかい口調で意地悪な表情をしたヤスノリが言うと
 「だぁーーーっ!カズキが採るんですっ!!」
 必死に主張するカズキ。
 「鋏無いじゃん。」
 採れなくね?トシが冷静に突っ込むと、ハタと気付いたカズキが目でオミに問いかける。
 「オミ達、鋏要らないし…。」
 オミの返事にショックを受け、力なく項垂れるカズキ。
 「諦めろ、カズキ。」
 マサトが諭すように言うと渋々と頷くが、諦めきれない様子で傘を被った実を見つめ
 「せめて採る真似っ!」
 と言い、実をもぐ様に手を伸ばす。
 すると、手を添えただけにも拘らず、その手に重さが伝わってくる。
 「?」
 カズキが不思議そうな表情をしつつ伸ばした手を戻す。
 プルーンの実が乗っている、その手を思わずまじまじっと見つめる。
 「え?あれ?」
 「採った気分になれた?」
 カズキや他の子達が、不思議そうな表情でカズキの手に乗るプルーンを見つめると、楽しそうなオミの声が聞こえ、あっと気付く。
 「え、えへへへー。」
 嬉しさ満載のカズキ。

雨が上がったそのあとは… ⑤

 「シン君、シン君。ヒマならちょっと俺の好奇心に付き合っておくれナ。」
 ヒマを持て余し気味にリビング内のキャットタワーや戸棚等を眺めていたシンへ、嬉々として声をかけるイツキ。声をかけられたシンは『好奇心』とはっきり認める好奇心ってナンだ?土産の相手のことか?と、少々ドギマギしながらイツキの傍らへと向かう。
 「な…んでしょう?」
 「そんなに警戒せずに。学校の事とか…ちょっと訊きたいだけだから。」
 学校の事?シンが不思議そうな表情を見せると
 「うん、私立の一貫校でしょ。きっかけってなんだったんだろうって。後、校内のシステムっていうのかな、授業料無料はこうじゃなきゃクリアできないとか。」
 プライバシーには『取り敢えず』立ち入りませんと匂わせる
 「あぁ、きっかけは…なんでしょうねぇ。近かったって言うのが一番なのと、隣接した幼稚園が少々粗暴な子の割合が高くて親が嫌がってたみたいで。」
 「近いってダケで私立の幼稚園はムリでしょう?月謝(?)の問題だけでなく、入りたいからって入れるワケじゃぁ無いハズだ。」
 「あー…キョウコが嫌がったってのもあったような…?月謝は、比較的リーズナブルな金額だったかと…。」
 「入園資格なんてものは…?」
 「えー…とぉ…?よく聞かれるんですよね、その事と金額。決まりって言うと変だけど、園に歩いて通える範囲に自宅がある事。次に、本人が自ら進んで登園する事。それ…と、園の入り口、門の所で大きな声で挨拶ができる事。呼ばれたら大きな声で返事ができる事。あ、園で使う荷物は本人が持つ事。荷物に関しては、園の方から特別に大人の人に持って貰って良いって言われたら、大人が手伝ってOK。って言うのがあります。」
 「それって大半が、通ってからじゃないと判然としない事じゃないかい?」
 「んーと…荷物なんかはそうですね。でも私立なんで…校則ならぬ園規則違反で退学と同等の退園とか放校と同等の放園とか?どうとでもやりようはあるわけで…。後、プレなんとかって言って、事前に通うのがありますよ。幼稚舎に入る前、週に3回の実質半年で幼稚園見習いみたいなのが…。一応優先で幼稚舎に入れますが、通っている間に落とされる子もいます。幼稚舎から初等部でも落とされるし、プレから幼稚舎でも落とされるし…。で、このプレに通ってました、キョウコからカズキまで全員。」
 「あー…審査みたいなもんか…。」
 「そうですねぇ。幼稚舎の場合、一番重要視されるのが『自宅からの距離』なんですけどね。で、実はその…裏条件もあって『近所にお友達が居るか』って。年が違くても良いんです、要は近所の子と仲良くしているかって事なんですが、コレをプレで園に居るときに子供が訊かれるんですが、いないって答えちゃった子は先ず確実に落ちるみたいです。」
 「それ…なんで?」
 全く理由が分からないと目で訴えるイツキ。
 「さぁ?ただ、漠然と噂されているのは『入園準備として直近に慌てて引っ越してきた子はダメ』って事ではないか、と。後御近所関係かなって思ったりしますが…。」
 「仕事絡みで越してきた子とか、事情があって急遽移ってきた子はどうなんだ?やっぱりダメなのかね。」
 「抜け道あるらしいです。コレも噂なんですけど、以前住んでいた所での仲の良かった子の名前を答えた子は入れた、とか。」
 「お友達と仲良く遊べるかって所もポイントが高いって事かな?以前住んでいた所での友達の名前を答えてもOKって事は、友達と遊ぶ楽しさを知っているって事になるから、引っ越してきたばかりでもすぐに馴染めるだろうって事だろうか…。プレにしろ幼稚舎にしろ、親から離れて同年齢同士で集団生活を行うって事は、子供にとっては環境がガラリと変わるワケで、友達と遊ぶのは楽しいって経験で知っていれば、慣れるのも早いでしょ。で、大抵の子にとっては『人生初』の大変化なワケだろうし。後、さっき言ってた『ご近所関係』も無視できないとは思うけど…。」
 「あー成程ねぇ。幼稚園だし私立だし、馴染めそうも無い子は公立行くなり、お家で遊ぶなりしてねって事だと思ってましたよ。『無理してココに通わなくても』って意味で。」
 「フム…。じゃぁ希望者殺到するんじゃない?そのプレなんとかに。」
 「最近は多いみたいですね。住む人増えてるみたいだし、子供の人数も増えているみたいだし。確かプレの定員は40名だったかな。で、実際プレから幼稚舎に入る子は…何故だか毎年30名前後まで減るらしいんです。なぜだろー?不思議だなー。で、他にプレは利用しなかった人で10名程が入園しますね。40名が定員なので。プレにしろ幼稚舎にしろ定員はあるワケですし、プレに入れたからって必ずしも幼稚舎に通えるわけじゃぁないんですけど…なのに、プレの希望者が毎年100名前後で、幼稚舎の希望者が40名前後って聞きました。」
 『なぜだろー?不思議だなー。』の部分をとぉーーってもわざとらしく口にするシン。
 「プレに2.5倍の希望者で…幼稚舎に外部からだと4倍?厳しいなぁ…。」
 「どこからそんなに集まるんでしょうねぇ?」
 以下お茶休憩と称しつつイツキとシンとの間で、ひたすら園や初等部・中等部など学校の入学資格・在学資格の話題が続けられる。
 

雨が上がったそのあとは… ④

 「あのぉ~…。」
 キッチンでのんびりとお茶の支度に勤しんでいるイツキへ、シンが遠慮がちに声をかける。
 「どうしたね?」
 「なんでしたら、掃除でも手伝いましょうか?家でやってるんで少しはマシですよ?」
 「は?」
 「えー…ですから…掃除。」
 「いや、手は足りてるよ。あと掃除するところって言ったらリビングぐらいだけど、まだ動かせないだろ?」
 リビングで何を何しているか分かっているイツキは、急かす気は無いと言外に含ませる。
 「あー…えぇ、まだ、ちょっと…。」
 まだ暫らくは乾かして置かないとならない為、シンが申し訳なさそうに答えると
 「じゃ、あとで良いよ。取り敢えず俺は気にしないし。って、言うかね、君達別に散らかさないし、汚さないし、片付けてくれるから、そんな神経質に掃除しなくても平気みたいなんだよね。」
 イツキは暢気に応じる。
 「そ・れ・よ・り・も、暇になって手持ち無沙汰なんだろ?」
 勉強は?と続けて聞かれるかと身構えたシンに
 「例のお土産、あのままバラけた状態で渡すのかい?小さいビン探しといたから、彼女サンの気に入りそうなのがあったら使うと良いよ。隣のテーブルに置いといたから。」
 逆方向からの話題が降ってくる。
 「え?小さいビン?」
 動揺して理解の追いつかないシン。
 「うん、そう。あの石の欠片と一緒に貝殻とかサンゴとか入れたらどうかと思って。蓋もセットで置いといたから、良さそうなのがあったら使いなさい。」
 「は…はぁ、お気遣い…ど、も。」
 「どこかで調達する予定だったかな?それなら、無理して使わなくて良いから。」
 シンの返事が歯切れの悪いものだったので、イツキが気を回しすぎたかと断り易いようにと付け加える。
 「いいえ、ビンに入れるとは思い付かなかったので…。って、イツキさん?」
 「んー…?」
 「なんか…慣れてますね。プレゼントに。」
 というより…母親のようだ。とは言わないシン。

 「あー、いちじくみっけ。って、もしかして無花果ってどこにでも生えてるんじゃ…?」
 果樹園というよりも果樹林に、カズキの元気な声が響く。
 「日当たりが良いと根付き易いらしくてね。なにしろ、適当にポーイだから。」
 「合わない環境にポイされたヤツは育たなかった、と。」
 カズキの言葉にうんうんと頷くオミ。
 「でも、ま、果物は考慮した方なんだよ。一応、日当たりとか水はけとか位は。同じような環境で育ちそうなモノは、一緒くたにしたけど。」
 「で、その結果がコレですか…。」
 感心しているのか呆れているのか、判断に困る口調のマサト。
 「うむ。やっぱりカオスだ。見事なほどに。」
 町育ちのカズキでもわかる程に種類の違う果樹が生えているのを目にし、堂々と胸を張って頷く。
 「でも、その木は自家受粉しないヤツだから。梨なんだけどねー、2種類をわざと混ぜて植えてるの。」
 「梨ってそ・なの?」
 キョトンとしながらカズキが尋ねると
 「種類にもよるらしいけど、ソレは両方とも自家受粉しないらしいの。種分けてくれたヒトが言ってた。」
 「へー…。この間食べたヤツだよね。美味しかったー。」
 カズキは梨の木を見上げながら嬉しそうな表情をする。
 カズキの目の前には、梨の木の幹がある。
 「普通、果樹を専門に育ててる農家さんだと、穫り入れやらナンやらの都合で余り背を高くしないらしいんだけどね。オミ達は別に出荷する訳じゃぁないし、背が高くなってるからってナニに困る訳でも無いしって思って。放っぽり出してたら、こんなにデカくなっちゃって。」
 育ちすぎ?と笑って説明する。
 「梨の木とかって、やっぱり寿命あるの?それともずーっと生えてて実が成るの?」
 目の前に梨の木の実物があるだけに、色々と気に掛かっている様子を見せる。
 「一応あるみたいね。売り上げとかを考えたら実の付く量が減ってきたら交換するべきなんだろうけど、オミ達は売り上げなんて関係ないから倒れそうになるまでほっといてるけど。」
 「ほぉー…。」
 オミの答えを聞きながら、幹に沿って目線を上に向け
 「ねね。上の方にいっぱい実があるみたいだけど、あれはまだ早いの?それともなにか理由があるの?なにかがナンなのかは分かってないけど。」
 上向いた状態で訊ねる。
 「上の方は鳥の分。下半分はヒトの分。」
 「鳥があんなデカイ実を食べるの?」
 「ザックンザックン突っついてるみたいだけど?」
 「はぁ…ザックンザックン…。他の果物も食べちゃうんじゃないの?売るわけじゃないから良いの?」
 「背の高くなる木で、上の方の分は構わない事にしてる。」
 「そんなの鳥が守る?」
 カズキの疑問の大元はコレかと合点の行くオミ。
 「守らせてるの。下の方のを採ろうとすると、他の、下のは採ったらダメって教え込まされた鳥から、集中的に威嚇されるようになったよ。で、威嚇されてケガなんかした鳥を保護してキッチリ教え込みながら手当てして放つと、先輩方と同じ行動をとるようになる、と。」
 ルールがちゃんと継続して守られるようになるよね、自分の雛にも教えるだろうし。と笑いながら答える。
 「超能力ってそうゆう事も出来ちゃうんだ…。」
 カズキが驚いた表情で言うと
 「使い方次第でね。」
 笑いながらオミが答えるが、それを耳にしたトシが、はたと気付き
 「もしかして、ソレ…ヒトにも出来る?」
 恐る恐る訊ねる。
 「出来るよー。簡単だよー。ヒト対ヒトの方が楽だよぉ。」
 あっけらかんと答えて
 「ま、しないけどね。」
 あっさり否定する。

スポンサー様

疲れているときにでも

ジャンプするぺそぎん

QRコード

QR

検索フォーム

メールはコチラから

「届け!この想い!!」 (長文)な方はコチラ↓へ

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSリンクの表示

フリーです

リンク

リンクフリーです

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブロとも一覧