04
1
3
4
5
7
8
9
11
12
13
15
17
18
20
21
23
24
25
27
28
30
   

最上部にて…

コメントは公開設定となっています。 公開に抵抗のある方・長文となる方はメールをご利用ください。 又、コメント・メール共に必ずお返事できるとは限りません。 予めご了承ください

つながり ⑮

 「愚痴の聞き役は事実ですし、零しに来ているとの自覚もありますから。それに…あのまま僕に代替わりをしたら、実際愚痴を零し難くなるでしょう。自覚のある事実ですし、予想可能な将来ですから。それと、あの理由なら、僕は最終的に地元を取った形になります。耳にしたからと言って機嫌を損ねるでしょうか?」
 悪戯っぽく笑いながら答える。
 「な~る程。『自覚のある事実』と『予想可能な将来』像と『損ねずに済む機嫌』ね。」
 「ええ。『自らの在り様がアノ家の足枷となってしまった。しかしアノ家は我々を選んだ』と『貴女に責めはありません。地元とソコに縛られている僕の責任です』。」
 明け透けな物言いをし、目で問うモトザネ。
 あの『言い訳』は中々のものでしょう?
 「良く分からないのが『足の事を好奇の目で見ながら、ヒソヒソされるだろう』っていう点なんだけど…。なぜ、他所の家の人が…土地の人とは言え他所さんの嫁の事をヒソヒソするの?足の悪い人を嫁に貰ったらダメなの?愚痴を零し難いだろうって言うのは分かるけど、だからって『他所の嫁をヒソヒソ』?迷惑がっているとかそういうことだよねぇ?」
 それまで口を挟まず、胸元でタイガーを支えていたオミが呟くように尋ねる。
 「それはなんと言うか、当家が侮辱された = 自分達も侮辱されたと受け止めてしまうようで…ですので『疵物を寄越した』、『お家を侮辱した』=我らを馬鹿にしているのか?と考えると思われます。だから『生意気な嫁だ。足の悪い疵物のくせに。何様のつもりだ?普通は自分から辞退するもんだろうに。面倒をかけると分かってるんだから。ド厚かましい。どの面下げて?』と言う事で…。」
 モトザネは明け透けすぎるほど明け透けな表現をする。
 「それって『○○は我らの誇り』って言うのと一緒?○○が穢された = 我らの誇りが穢されたって憤慨する、みたいな。だから『妬み』?でも、そうしたら『腫れ物扱い』が分からなくなる。どう接したら良いか分からないからぎこちない態度になるのを『腫れ物扱い』って言うんじゃなかったっけ?なんか、失礼な態度を指しているように聞こえたんだけど…。」
 オミは、具体的且つ明け透けな表現のおかげでスッと理解したが、今度は別の新たな疑問が湧いてしまい再び尋ねる。
 「そこは、『同情している風を装って』接する態度を『腫れ物扱い』と表現させていただきました。」
 「??」
 これは説明されても理解できず、キョトンとするオミ。
 「『○○さん…ご不便でしょう?おみ足が悪いと、色々と…』の色々との後に、階段の上り下りとか悪路の移動だとか狭い廊下の通行だとか日常生活のあれやらこれやらを挙げて『お気の毒ねぇ。』で締める。お気の毒を言うときは、目に嫌味な笑いを浮かべてちょっと視線を逸らすのが定番っ。」
 ミヅキがきっぱりと言い切るとオミの顔には感動の色が現れ、シン以下カズキまでの幼馴染み勢は呆れた表情を見せる。モトザネはと言うと、ミヅキの言いっぷりが可笑しかったのか、肩を震わせて笑いながら小さく数度頷いて同意を示す。
 「それは…確かに、何度もされたら溜まったもんじゃないねぇ。表面上は『気を使っている』ワケだし…。」
 オミが引き攣った笑いを浮かべながら理解した様子を見せると、今度はミヅキが、笑いをおさめたモトザネに尋ねる。
 「でも今みたいなのって、女性がするならなんとなく分かるんですけど、男性でもするんでしょうか?」
 「しますよ。男の方がイヤったらしいかも知れませんね。『大変だなぁ』にプラスして一般家庭の主婦がするであろう事を挙げ、『満足にできなくて肩身が狭いかもしれないが頑張れよ。』で締めるでしょうね。」
 「そういうところって…普通に健康な人でも、嫁に行くの大変そう…。」
 トシが少々顔を引き攣らせて呟くと、モトザネが悪びれるでもなく肯定する。
 「はい。大変です。ですから…嫁はそう言った面を理解したうえで、自分のペースに周りを引き込める方をと思っています。自分も母も父も全力で支えますが、迂闊に庇うと嫉妬が向かってしまうという点も、覚悟して受け入れて頂かないとなりませんが。」


スポンサーサイト

つながり ⑭

 「君や君のご家族は?彼女を支える気はなかったの?嫁に行ったらって仮定で、だけど。」
 「ありますよ。」
 「だったら…。」
 あっさりと答えたモトザネに畳み掛ける様にシンが口を開くと
 「ありますが、それは…嫉妬を生むと思われます。」
 嫉妬。シンに次を言わせずモトザネが口にしたどす黒い感情。
 「誰が嫉妬するんだ?」
 「周り中ほぼ全てが。嫉妬と反感が周り中に渦巻くかと。」
 「誰が嫁に行ってもそうなるんじゃないのか?」
 「足が悪いと言った点に集中するかと懸念しました。」
 シンを真っすぐに見つめて応えるモトザネ。
 「本人の努力ではどうしようもない点か…。」
 「はい。家ウチにも土地の者がいます。外でも中でも彼女は非難の目で見られるでしょう。その非難は足に向かい、嫉妬という感情を刺激し、妬みから嫌味が吐き出されるかと思われます。彼女には失礼ですが、耐える強さも跳ね返す力も、受け流すしたたかさもあるとは思えません。」
 「庇えば庇うほど酷くなるって?」
 「はい、そう思えます。」
 「『瑕疵』が無ければよかったって事か?」
 「彼女に関してだけならば。彼女は育ちだって良いわけですし、それよりなにより幼いころから許嫁でしたし。明るくて素直な子ですから、面白くないと感じてもイチャモンを付けるスキがないでしょう。ですから、受け入れる以外ないという状態になったハズなんです。」
 「うぅーん…面倒臭いねえ…。」
 シンが眉間に皺を寄せ、困った様子を見せる。
 「えぇ。ですが、彼女には責任はないってご理解頂けたかと思うんですが?あくまでも、悪いのは自分の側なんです。」
 「…彼女、納得してないみたいだけど?騒いでも無駄なんだって、自分で自分に無理矢理言い聞かせているみたいなんだが…?」
 「ですが、貰った手紙には土産を頂戴したことを嬉しそうに認めてありましたが?」
 「手紙?」
 「時候の挨拶です。折々にこちらからも出していますが、最近受け取った手紙には好きな人が出来たと言う事と、その人から土産を貰ったと書いてありました。」
 「フム。俺が彼女から聞いた婚約破棄の理由と、今、モトくんから聞いた理由では少々違いがあるんだけど、それは何故?」
 迂闊に踏み込むと藪蛇になると察したシンが、話しを別方向へと持って行く。
 「あぁ、それは表向きの理由と実際懸念される理由の違いです。どちらにしろ彼女は笑えなくなると思いますし。周り人達からの、侮辱されたと勘違いを元とした嫉妬や、それから発生するだろう嫌味に耐えられるとは思えない、なんて言えませんので。」
 「成程ね。俺達が聞いた話しとも微妙に違うなーって思ってたんだけど、それは言えないわな。」
 モトザネが口を閉ざすと、それまで黙って聞いていたイツキが口を挟む。
 「ま、あの話しでもこの話しでもアチラでは口にし難いと思うけど…?」
 なぜあの理由をアチラで話したの?
 話しの内容は、どう贔屓目に聞いても地元の者達を下げて、悪く言っているように聞こえる為、イツキが確認を取るように尋ねる。

つながり ⑬

 「立ち入った事なので…少々申し訳ないのですが、どうしても気になってしまいまして。」
 モトザネが気まずそうに前置きを口にするのを、シンは軽く頷いて見せ先を促す。
 「あの、お付き合いなさってらっしゃるお相手の方の事なんですが。」
 モトザネがここまで言うと、シンはわずかに驚きを示しながら首を傾げる。
 「13・4歳で、足が悪くて、最近リハビリを再開し始めて、以前婚約を破棄されたとか。それも足の事を理由に。」
 イツキとオミは、モトザネがここまでを口にするとお互い僅かに目を見合わせる。
 「うん?それがどうかしました?」
 モトザネの方が年下とはいえ、知り合って大して時間も経っていないからか、シンは心持ち言葉使いを気に掛けた話し方をする。
 「夏の土産に、小瓶に入れたものを渡していませんか?」
 モトザネのこの一言にシンも目を瞠り
 「え?なんで知ってるんです?」
 思わず確認を取る。
 シンの様子から事情を確信したモトザネが軽く息を吐き、その傍らでイツキとオミが意味ありげに目を合わせる。
 「あぁ、やっぱり。まさかこういった形でお会いするとは思いもよりませんでした。」
 「どう意味です?」
 ワケが分からず動揺するシンと、やはり話が呑み込めず視線を交わし合う他多数。
 イツキとオミは双方から別個に話を聞いていたので察するが、仲介や仲立ちを依頼されているわけではないので、全く口を挟まずに成り行きを愉し気に眺めている。
 「あの…なんと言えばいいか。実は、その…破棄をしたのは僕なんです。」
 バツの悪そうな表情を見せるモトザネと、驚いて二の句が継げないシン。
 「アチラには何の落ち度もありません。この件に関しては一方的に僕の方に非があります。」
 「なんで?非ってナニさ?そりゃぁ確かに普段は表に出さないけど、気にしているみたいなんだ。なんで断ったんだ?何がいけなかったのさ?」
 モトザネが一旦口を閉じ、再び話し始めると、ようやく頭が働きだしたらしいシンが矢継ぎ早に、責めるような口調で問う。まるで「あの子を泣かせたのはお前かっ!」と今にも殴りかかりそうな勢いのシンに、兄弟げんか慣れしているリョウやそれを見慣れているはずのカズキたちが息を飲み、護衛として周りを固めていた者達が二人の様子をそれとなく伺う。
 「次代?」
 カズキやミズキの父親である商店の主と話しを詰めていた、お目付け役のシンタニが声をかける。モトザネは軽く振り返り、大丈夫と視線で伝え、シンはその声で一旦我に返る。
 「理由はウチの土地柄と家と自分です。土地柄は保守的で閉鎖的で…僕の家の事をそれはもぅ大事な存在と捉えていて。その流れで僕の事もとんでもないほど大事に思ってくれています。そして、そういった考えや気持ちが行き過ぎて…僅かな瑕疵も認められないというか受け入れられないというか…自身が侮辱されたかのような受け取り方をしてしまうんです。なので、不都合な事柄はは全てその『瑕疵』へ向いてしまうんです。」
 「?」
 モトザネの言葉に一旦考えを向けるシン。
 「それってもしかして…モトくんやモトくんの家の事を、『とんでもないほど神経質に大切』って考えている?」
 「ええ。それはもぅ信じられないほどかと…。」
 シンが確認を取る様に尋ねると、モトザネが強調するように答える。と、それを聞いたシンから、呆気ないほどあっさりと怒気が消える。
 「アホらし。『大切なものを取られた』とか『傷付けられた』ってか?で、それは『侮辱だ』?お子チャマみたいだな。」
 白けた様な事を悪態と共に吐く。
 「えぇ、そうなんです。まるで子供の様で…。ですが自分達はそんな彼らを見捨てられないんです。彼らに守られていた面もありますので。」
 「守り守られ?頼り頼られ?」
 嘲る様にならない様に気を付けながら問うシンに
 「えぇ。」
 軽く頷いて認めるモトザネ。

つながり ⑫

 「どぅって…大昔からのお得意様。」
 問われたイツキがあっさりと答えると
 「「「は?」」」
 モトザネ以外の人の動きが一瞬止まる。
 「超能力の方じゃなくて、家系で遺伝する方の。」
 「えー…と?依頼されると?代表で?」
 マサトが首を傾げながら尋ねると
 「まぁ、代表は代表だね。近隣に係わることだしね。直接連絡とるんだしね。」
 「地域を代表するお得意様?」
 イツキの返答にヤスノリが確認の問いを口にする。
 「表向きはね。」
 簡潔にイツキが答えると、トシがすかさず
 「じゃ、裏向きでは?」
 尋ねる。
 「依頼を出して滞在用の部屋を用意して諸費用を支払う等、一連の負担を彼の家が背負っています。」
 「「一軒で?」」
 ヒロとリョウが驚きを口にする。
 「うん、そう。毎年じゃぁ無いけれど、昔からね。」
 「どんだけ金持ちぃーー?」
 カズキが思わず腰を引き気味にモトザネを見る。
 「はぁ…えーと…ですから、その…迂闊に謙遜すると嫌味になる、と学ばざる負えない家でして…。ですが、その…費用等を負担する代わりに諸々の…役得というんですか?そういった事もありますし…。出す一方と言うわけでもないんですよ。」
 モトザネが困惑顔で答えると
 「カズキ、こんなに馴れ馴れしくしてマズかったんじゃない?」
 そう言えばそんなこと言ってたね、驚きすぎて一瞬忘れてたよと、納得しながらカズキが目でイツキに問う。
 「懐かれると迷惑ですか?」
 イツキが馬鹿正直にモトザネに尋ねると、モトザネはにっこり微笑みながら否定する。
 「いいえ、全く。集られたりしたらそれは確かに困りますが、親しくしていただくのは一向に構いません。」
 「タカッたりしないしぃー。」
 口を尖らせてカズキが遺憾を表明する。
 周りがやいのやいのとしている中、シンが一人、考え込んでいるような表情を見せる。
 「シンちゃん、どうしたの?」
 ミヅキが声をかけると
 「んー…なんか聞いた覚えがあるような…?すんごい金持ちの話し。『大災厄』前からずーーーっと名前が続いているとかなんとか。歴史的な資料も多く持ってて、当時何が起こって大災厄に繋がったのか知っているとか。当時の家々で使っていたと思われるアレコレも持っているとか。」
 記憶をたどる様に答える。
 「歴史の教科書成立に協力したって事?」
 カズキが尋ねると
 「成立って言うか、推測を成り立たせるのに協力した?みたいな話し。」
 シンが真っすぐモトザネを見て応える。
 「あぁー…ウチだけでは無いはずですが、ウチも当て嵌まります。蔵に色々雑多な物が積み上げられていますし。」
 「積みあがるんだ…。」
 「蔵があるんだ…。」
 トシとヤスノリが違うところで感心する。
 「ところで、その。僕は少々シンさんにお尋ねしたいことがあるんですが、宜しいでしょうか?」
 「?なんだい?」
 シンがキョトンとした表情で促す。
 「先程話題になっていた件なんですが…。」
 「話題?」
 モトザネが言いにくそうに口にするのを、シンは不思議そうな顔で先を促す様に尋ねる。

つながり ⑪

 「幸いな事に。警戒していると明らかにしている方が安全らしいんです。行動を起こす前に諦めるからでしょうね。」
 「どこに行くんでも護衛サン付くの?」
 「地元でちょっと出歩くぐらいでは付きません。こちらは知らない土地なので、少々警戒しているだけです。」
 モトザネの返事に、目を丸くして呆気にとられながらも尋ねたカズキ。
 「誘拐とかを、当たり前に警戒するお家…。」
 呆気にとられ過ぎたカズキが思わず呟くと
 「俺んちじゃぁ身代金は払えないだろーから…誘拐しても無駄だろうねぇ。」
 自嘲気味にトシが口にする。
 「お互い様だ。ウチだって無理だ。」
 ヤスノリやマサトも自嘲気味に同意する。
 「大抵の家は無理じゃね?」
 シンが不毛な会話を当たり障りなく終わらせようとすると、モトザネが困った様子で口を開く。
 「ウチの場合は金の問題ではなく、僕が攫われてウチの実権を『誘拐を画策するような人達』に握られてしまうのが問題でして。金を要求する程度で済めば逆に大喜びですよ…。」
 「荒物屋の実権って…誘拐してまで欲しくならないよねぇ?」
 心配する方向が若干自身と違うと気付いたカズキが改めて考慮するが、悲しい現実にぶち当たる。
 「飲み屋の実権だって。」
 「パン屋だって。」
 「駄菓子…。」
 次々と自家の家業と照らし合わせ、打ちのめされていく。
 そもそも誘拐や拉致などを警戒する必要が無い方が、安心安全に暮らせるワケで、見方を変えればある意味比べ物にならないほどに恵まれているのだが、その点には考えが至らない様子の一同。
 「それ以前に、『金で済むなら』だろ?」
 マサトがトドメを刺し、揃って一層打ちのめされる。
 「はぁ~…モトちゃんチ、スゴイわねぇ。」
 ミヅキが圧倒されたように呟く。
 「迂闊に謙遜するとイヤミになるって流石に学びまして…。」
 モトザネが困ったような表情を見せると
 「謙遜が嫌味になるほどの金持ち…?え?それってナニ?凄すぎて、なんかわかんないだけど…。」
 カズキがひたすら首を傾げる。
 「そう言えば…お二人とモトくんって、どう言ったお知り合いなんです?」
 マサトがフと気付いて尋ねる。

つながり ⑩

 カズキの軽口に大笑いしている中、モトザネは雑談から受験の情報を集めているようで
 「自己アピールと時事ネタと経済問題と…。」
 「社会問題的なものも話題に出たよ。俺やマサトの時ね。」
 察したシンが付け加える。
 「自己アピールだと、特技や趣味が突っ込んで聞かれたね。」
 マサトも補足する。
 「モトちゃんだと、離れた土地の学校を志望している訳だから…その理由は絶対聞かれるって覚悟していた方が良いだろうねぇ。」
 「俺達だって不思議ではあるからなぁ。」
 ヒロが念を押すと、ヤスノリが感じていたことを口にする。
 「まぁ、人それぞれだし…。私立なんだからモトちゃんみたいに『良いトコの子』の方が多いし、毛色が違うのは俺達の方なんだけどね。」
 「高等部になると、やっぱりモトちゃんみたいに離れた土地からって人が増えるの?」
 『不思議』ではあるが、だからと言って『変』ではないとトシがフォローし、リョウが兄であるシンに確認を取る。
 「まぁ、それなりに?親元を離れても何とかなる年齢だしねぇ。世間では中卒で親元離れて働いている人もいるわけだし。そう考えたら、『親元を離れて』とはいえ『学生』なんだし、なんとでもなるんじゃね?一応、学生寮も中等部からあるんだし。」
 答えるだけ答えて、シンは別の疑問を口にする。
 「ところで…小父さんと話しているあのヒトって、モト君と一緒にいた人だよな?パズルの事で交渉してんのか?」
 「ええ、はい。」
 モトザネが肯定すると
 「モトちゃんのお父さんの秘書さんだって。お目付け役兼後見役なんだって。」
 カズキが直ぐに付け加える。
 「へえー、秘書でお目付け役で後見…って、若くないか?親代わりって事だろ?後見って。」
 驚くマサト。
 「秘書ってだけで驚きだが?」
 真顔で返すシン。
 「社員サンじゃぁ無いんだって。」
 カズキが、つい今しがた耳にしたことを掻い摘んで伝えると
 「あぁ、成程ね。兄代わりなら…まぁ、なんとか。『歳が離れている頼れるお兄ちゃん』って位置付けなら納得はできるな。」
 「あの若さで三役を背負っているって…スゴイねぇ。」
 シンが理解を示し、マサトは驚きを禁じ得ない様子を見せる。
 「メインは父の秘書です。時々、事情に合わせて付けて貰っています。今回は学校の事等で父や母に伝えないとなりませんから、一緒に来てもらって報告して貰えれば助かるので。」
 モトザネが補足として事情を付け加える。
 「ねぇねぇ、モトちゃん。」
 カズキが声をかけ
 「あの人達って…護衛サンでしょ?いつも付いてるの?やっぱり怖い事あった?」
 初めて目にした時から、ずーっと気にかかっていたことを尋ねる。
 「怖い事は、今のところ経験せずに済んでいます。誘拐などの拉致とかですよね?」
 モトザネが念の為と質問の意味を確認すると、カズキがうんうんと頷く。

つながり ⑨

 店脇でワイワイと雑談に励んでいると、シン、マサト、ヒロが合流する。
 「モトちゃん、良かったらコレ。お姉ぇの使ってた過去問。出題内容がちょっと古いけど…良ければ使ってって。」
 「あぁ俺も持ってきた、お前等はシンが持ってるの使えば構わないだろ?」
 ヒロが、入れ違い直前に帰ってきたキョウコから預かった、過去問題集を差し出すと、マサトも念の為と持ってきた、キョウコのよりは2年分程新しい過去問題集を差し出す。
 「外部進学の人とは問題が少々違うとは思うけどって言ってたけど…。参考にはなるだろうからって。」
 「ペーパーテストはまだ良いよな。過去問でなんとかなるから。」
 「数こなしていれば、その内覚えるしな。」
 「面接だよねー。自己アピールとか時事ネタの雑談風とか…経済問題とか訊いてくるんだもん。」
 「もしかして…お小遣い話しって、経済問題の一種?今気になる有名人話しとか道路に唾吐く人どう思う?とか。」
 ヒロがキョウコからの言付けを伝えると、リョウやヤスノリ・トシが、自分達の面接時を思い出し愚痴を零す。それを耳にしたカズキが、つい最近の自身の面接でのやり取りを思い出し確認を取る。
 「カズキは中等部受験の、実質小学生だから。そういう尋ね方になったんじゃね?」
 トシが推測とは言え肯定すると、ヤスノリが
 「ちゃんと答えられたんだろうな?話しをフムフムって聞いていただけじゃぁないだろうな?」
 勢い込んで尋ねる。
 「ちゃんと話したし。要望も言ったし。」
 「要望?」
 「初等部にも購買部が欲しかった。中等部や高等部の購買は遠い。カズキのお小遣いとお腹に優しくないって。」
 「え?どういう事?」
 イツキが混ざる。
 「ウチは中等部から購買部があるんですよ。で、成績優秀者は特典がつきまして、安く買えるんです。」
 「中等部の生徒が高等部の購買を利用してもいいし、初等部が中等部や高等部の購買を利用するのも可能です。」
 「でも、遠いんだよぉ。なんで初等部と中等部の間に、大学の園芸部の巨大温室なんてあるのさっ!遠回りしなきゃならないじゃんっ!」
 ヒロとヤスノリが説明すると、カズキが堂々と不満を訴え
 「中等部と高等部の間は、大学病院の入院病棟が立ち塞がっているよな。」
 リョウが付け加える。
 「アレも不思議だよな。区別するために距離を取るって言うのは…まぁ、分かるけど、なんで入院病棟?」
 「お見舞いの人が時々校舎前で困ってるもんな。」
 シンとマサトが付け加え
 「入院している人達…あの状況で休めるのかね?外科系の入院病棟って聞いたけど、休み時間の度に騒がしいんじゃね?」
 リョウが疑問を口にする。
 「散歩に出て、気を紛らわせるのには良いかもね。フェンス越しからでも、眺めてて飽きないでしょ。ある意味、闘病にも張り合いが出るんじゃね?」
 ヤスノリが言うと、それを聞いていたカズキが考えながら口を開く。
 「散歩、気晴らし、眺める、飽きない、張り合い…。あっ、分かった!女子の体育授業用短パ…ッムにィー。」
 皆まで言わせずミヅキが頬を抓る様に引っ張り、カズキの軽口を止める。
 

つながり ⑧

 「ウチは…内部進学だけかもしれないけど、願書の名前と顔写真は隠しているみたいだよ。」
 トシが過去の自身の面接時を思い返して答えると、カズキも
 「カズキが部屋に入ったら『お前かぁ』な雰囲気が先生方に漂ったから、きっと顔と名前は分かんない様になってて、クラスと受験番号だけわかる様になってるんじゃないかな。名前言った後に、受験票を差出して見せたし。」
 ついこの間経験したことから推測し答える。
 「名前言うんだぁ?」
 イツキが確認を取るように聞くと
 「うん。ノックしてぇ『失礼します』って声かけてぇ扉開けて…顔出したら『お前かぁ』って雰囲気になって、扉閉めて名乗って『よろしくお願いします』ってお辞儀した。『お前かぁ』って酷いよね、あんまりだよね。カズキだったら何だっていうのさっ!全くもぅっ!」
 後半は不平を零しつつも、自身の行動(と、その場の雰囲気)を語る。
 「大昔の軍隊って感じるのは何故だろう?」
 イツキが不思議そうに呟く。
 「ウチの方の大昔の軍隊を連想したよ。」
 「『ウチの方』って、放り出される以前?」
 リョウがキョトンとしながら尋ねる。
 「うん、そう。って、だってコッチでは軍隊らしい軍隊を持てるような国って無いじゃん。少なくとも俺達が放り出されてからは。」
 「軍隊らしい軍隊ってのが良くわからん。軍隊そのものもあんまり良くは分かってないけど。」
 リョウが自身の知識の欠如を口にすると
 「戦争を専門に行う集団って教わった。けど…あってるの?年がら年中戦争してるの?『国』が持つんだろうから、どの『国』もしょっちゅう、どこかの国と戦争してるって事?それとも戦争終わったら解散するの?」
 ヤスノリの矢継ぎ早の問い。
 「いやいや…。いくらなんでも、年がら年中は…ちょっとどうなの?主にする事って『国家の防衛』でしょうに。」
 イツキが大っぴらに苦笑いを見せながら答える。
 「国家の防衛?ってことは侵略?される可能性を考慮してる?或いは侵略する気満々とか?にらみ合ってるの?」
 トシまでが参加する。
 「表向きは平和だよ。話し合いで上手い事調整するのが基本でしょ。水面下でナニしてるかは知らないけどね。で、『武力で』って言うのは最終判断。外交って言葉もあるんだし。」
 「あ、成程。『ガタガタ抜かしてると灰にすんぞ!ごるぁっ!』ってのが『軍事力を背にした話し合い』か。」
 トシが妙な納得の仕方をする。
 「極端すぎ極端すぎ。」
 イツキは顔の前で手を左右に振り、苦笑しながら否定する。

つながり ⑦

 実際には未だ一年先の受験話で盛り上がっていると、ヤスノリが遅ればせながら合流する。
 「お?何の話?受験?面接?」
 ヤスノリが尋ねると居合わせた面々がうんうんと頷いて肯定する。
 「面接ねぇーって、カズキ、お前ナニやった?」
 「えっ!?ソコ訊いちゃうの?」
 うやむやにして誤魔化していた点を突かれて慌てるカズキ。
 「訊いちゃう訊いちゃう。初等部上がる時には確か…後転して見せたんじゃなかったっけ?連続で。」
 「したした。『上手にできることあるか?』なんて訊かれちゃったから、その頃幼稚舎の先生に褒められてた『後ろでんぐり返り』を是非お見せせねばって…確か、思ったような気がする。」
 「で、今回は?」
 愉し気に尋ねるヤスノリ。
 「今回はっ、三角飛びして天井にタッチ。カズキの身長だとインパクトを与えられると思って。」
 開き直ったカズキが答えるが、オミが不思議そうな表情をしているのに気付き声をかける。
 「『三角飛び』ってなぁに?カズキ君の身長だと出来そうにない事?」
 「んー…とね、床を蹴って壁を蹴って、更に高い所へってジャンプしたり、同じ様に床と壁とを蹴って横方向にジャンプするのを、そう言ってる。俗語だと思うけどね。」
 「床を蹴って…壁を蹴って…。」
 トシの簡単な説明を繰り返す様に口にしながら、状況を思い描く。
 「あ。タイガーもやってた、それ。高い所に上りたかったみたいで、壁に傷が…ってキーちゃんが嘆いてた。」
 思い当たったオミが言うと、それだそれそれと皆が頷いて応える。
 「でも、カズキ君がソレをしてインパクトを与えられるって、なんで?」
 今いち実感できないオミ。
 「カズキは年齢の割に小さい方だから。背の低い子が、三角飛びしたからって天井に手が届くとも限りませんし、そもそも三角飛びそのものを成功させられるとも限らないわけで…。」
 リョウが説明すると、イツキが
 「あぁ、成程ね。難易度が高い分、成功した時相手に与えるインパクトも大きい、と。」
 納得した内容を口にする。
 「だから『ウケた』のか。」
 イツキが先程の話しを蒸し返すと
 「お前、ウケ狙いでやったの?」
 ヤスノリが少々責める様に問い質す。
 「違うしっ!結果的にウケただけだしっ!」
 いくらカズキがアホたれさんだからって、受験でウケを狙うワケないでしょー。しつれーしちゃうなぁもぅ。とグダグダと言い返すカズキ。
 「アハハハ。そりゃそーだ。」
 「先生方は『カズキだ』って気付いてから、面白がってた雰囲気有るけどね。」
 「?普通、先生方って受験生の名前と顔ぐらい予め分かってらっしゃるのでは?願書の類いをお持ちでしょう?」
 モトザネがいかにも尤もな疑問を呈する。

アクセス数

現在の閲覧者数

カレンダー

03 | 2016/04 | 05
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

プロフィール

カテゴリ

最新記事

カテゴリ別記事一覧

最新コメント

月別アーカイブ

スポンサー様

疲れているときにでも

ジャンプするぺそぎん

QRコード

QR

検索フォーム

メールはコチラから

「届け!この想い!!」 (長文)な方はコチラ↓へ

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSリンクの表示

フリーです

リンク

リンクフリーです

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブロとも一覧