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最上部にて…

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つながり - おまけ ② -

 「だから…そんなあっさりで済むのかなぁ…って。」
 「お前が…さっきまで考えていたのは別の事だろ?『それ』は『今』俺の感じた内容を聞いて『思った』事だろーが。」
 イツキにさっくりと切り捨てられ
 「で、何を考えていたんだ?」
 改めて訊かれるが…オミは不貞腐れた様に顔をそむける。
 「お・ま・え・わぁっ。頭ん中覗くぞっ。良いのかっ!?」
 オミのぐずぐずの態度に軽くイラついたイツキがいつもの脅し文句を口にすると、オミは一旦プクーっと頬を膨らませ
 「キーちゃんは覗けないしっ。オミが徹底して拒否したら見れないしー。」
 悪態をつくので
 「試してみるか?本気の本気の本気で覗くぞ。良・い・ん・だ・な?お前が隠して置きたいと望んでいる事も、ぜーーんぶモロバレするんだぞっ!?」
 イツキも一歩も引かず、冷ややかな態度で脅すように凄む。
 流石にイツキが本気で怒ると思ったか、或いは怒らせたらマズイと判断したか、オミが渋々と言った表情で口を開く。
 「だって…オミ…ハズレの子だし。目と唇だけ色付いてるし…血の色だし。怖がられるし。」
 キーちゃんは羨ましがられてた色だから…オミは…。それが、イチゴ飴…。なにそれ?なんで…飴?じゃぁ血の色って?オミが小さい声でブチブチと零す。
 「?お前、怖がられたいの?そっちの方が変じゃね?」
 イツキが不思議そうに可笑しそうに応じると、不満げな表情を見せるオミ。
 「そーじゃないし。そういう意味じゃ無いしー。」
 「じゃぁ、どういう意味なんだよー。」
 オミ自身が無自覚に引き摺っている事があると分かっているイツキは、深刻になりすぎない様に、しかし軽く扱い過ぎないように注意しつつ、悪ふざけしているだけだと伝わる様に気を付けつつ尋ねる。
 「ぅー…どうって…なんか違うって…。」
 「違わねぇだろ。アホたれサンめ。」
 言葉はキツイが、口調には諭すような親しさが溢れている。
 「カズキ君の反応が、今迄…不本意ながらも慣れ親しんだ反応と全く違うから困惑してるんだろ。今迄当たり前にあった拒否的な反応が、突然、庶民的で馴染み深く親しみ易いものに取って代わられたら、そりゃぁまぁ…お前じゃなくても戸惑うわ。」
 イツキの言葉を反芻するように考え込むオミ。
 イツキは、オミがじっくりと、自身の感じている点と照らし合わせている様子を確認しつつ続ける。
 「お前の場合は『血の色』とか言われていたのが、突然『イチゴ飴』だもんな。嫌がられていたハズの色なのに…親しみ易い赤い色の『イチゴ飴』に取って代わられたら…そりゃぁ『へ?今迄のってナニ?』って思うわ。」
 オミから見れば、自身はあくまでも正統派に属すると映るのであろうと理解したイツキは、たとえ正統派であろうとも同じように感じると伝わるよう、笑いながら同意を示す。
 又、『お前じゃなくても』発言や同様に困惑を感じた点、それらを笑いながら、自分も同じように感じると認める事で、今迄気にしていた事は捉え方や受け止め方を変えれば大した問題ではなかったんだと暗に示し、『もう、そんな事気にするな』と態度で伝える。
 「カズキ君は突拍子もないトコあるからなー。『舐めさせて』とか言われない事を祈っとくべきじゃね?」
 イツキは笑いながらトンデモナイ事を口にし、オミを唖然とさせる。

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つながり - おまけ ① -

 「お前ぇはナニをボーっと考えてんだ?」
 少年達が後日又会う約束を交わし、その日は一旦帰路へ着いたのを確認した後自宅へと戻った二人。
 イツキが流石に見かねてオミへと問う。なにしろ、カズキの飴発言から帰宅してタイガーのアレコレを整え直す間も、ずーーっとボーとしていたものだから気にかけるなと言う方が無理というもので…。
 「んー…。」
 イツキが淹れた紅茶を口へ運びながら、やはりボーっと応えるオミ。
 猫舌のオミが熱々のカップを無造作に口元へと運ぶ様子を目にし、イツキが慌てて声をかけようとするが
 「あっ…つっ!」
 顔をしかめ慌ててカップを離すオミ。
 「お前はぁ…自分でフゥフゥ位しなさいよ。」
 呆れた様子で子ども扱いするイツキへ
 「ぅーー…。」
 恨みがましく涙目で訴えるオミ。
 「溢してないな?火傷になるぞ。」
 イツキが世話焼きオカン状態でケガはないかと気にかけると、オミがボソっと呟く。
 「キーちゃん。」
 「?」
 「キーちゃんは、べっこう飴に譬えられてなんて思った?」
 「へ?べっこう飴?目の色か?」
 「うん。」
 「飴に譬えちゃう子もいるんだねぇ、って思った。大抵は…宝石に譬えられるからな。気を使って。」
 最後の部分に皮肉っぽい響きを持たせつつも、あっけらかんと答えるイツキ。特に気にした様子は見えない。
 「俺の場合…『獣の目みたい』とか言われた事あるしなー。お世辞の宝石より…飴の方が親しみを感じるし、妙な気遣いも感じないで済む分笑い飛ばせるからマシじゃね?」
 「そりゃぁ…そうなんだけど…。」
 なにやら引っかかりのある様子のオミ。
 「なぁにが引っかかってるのか言ってごらん。」
 ゆったりと構えるイツキ。付き合いが長い分、オミが解消できずにいる拘りを抱えているのは充分に承知しているので、腰を据えて聞くと態度で示す。
 「キーちゃんは…キーちゃんの血縁の特徴って認識されている部分が強く出てるじゃん?」
 「髪や目の色か?」
 「そー。」
 イツキが確認するように尋ねると、オミが短く答える。
 「まぁ…不思議と強く出てるね。父親にも妹にも綺麗さっぱり出なかったし、母親は全く縁のなかった血筋らしいのにねぇ。」
 『血縁に伝わる』ってこういうムラが出るよなー。と屈託なく口にし、
 「で?」
 先を促す。

このブログの各カテゴリ記事はンヶ月遅れでお送りしております

 新人来た

 3日で辞めた

 うはははは…




っていう話しをリアルタイムで
upできるワケないでしょーww

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つながり ㉓

 5人が余計なお世話でヒソヒソボソボソしている間、話しの内容を知ってか知らずかシンタニがモトザネににっこりと微笑みながら
 「勉強に不自由なさるというお話しでしたら家庭教師を雇えば良いですし、取り急ぎ受験対策として2・3人程手配しましょう。心当たりもありますのでお任せください。」
 と宣言し、モトザネを引き攣らせる。
 「おや?ご不満でも?2・3人では不足でしたか?なんでしたら5・6名程手配いたしますが?必要教科毎に。」
 シンタニのしらばっくれた物言いに呑まれたらしいモトザネは、ただ引き攣らせた顔を横に振るのみで対応する。
 「コチラの学校への入学をご希望でらっしゃると心得ましたが?」
 更に追い打ちをかけるシンタニ。零れ聞いている5人の表情も引き攣ってくる。
 「5人も6人もいらないっ!手配するなら学科担当一人と特技担当一人で充分!受かってからの事はその時また考えればいい。」
 モトザネが半ば逆切れ状態で宣言するが一向に動じず
 「かしこまりました。ですが、それでは家庭教師が体調を崩した際に困りますから、同程度の指導能力の者を2名ずつ手配すると言う事で如何でしょう?」
 と続ける。
 「休みを取りやすいように?」
 「はい。それと…特技担当と言う事ですが、『特技』として何をなされます?それを手配先へも伝えなければなりませんので明確になさって頂かないとなりません。」
 「んー…と、バイオリン?ずーっとやってるし。珍しくはないだろうけど、そこそこのアピールはできると思うんだ。」
 「モトちゃん、バイオリンなんて弾けるのっ?」
 途中から成り行きを伺っていたカズキが素っ頓狂な声を上げる。
 「い、一応?幼少時から習っていましたので。」
 モトザネが気恥ずかしげに答えると、おぉーすげぇ『習い事』だぁとカズキの目がまぁるく見開かれる。
 「それでしたら、指導担当は現在の師匠殿へお願いに伺った方が良いですね。将来指導者として身を立てることを希望なさっている方にお心当たりがおありでしょうし、現在指導者として活躍なさっている方にもお心当たりがおありでしょうから。ご紹介頂く方が心強いかと思われます。」
 シンタニが、望ましいと思われる対応を口にすると
 「お師匠サンご本人に依頼しないの?」
 カズキが尤もな疑問を口にする。
 「受験対策ですから。一時的に指導時間を増やす様お願いするのは、アチラのご予定を変更して頂かねばならない状態になりかねませんので。お弟子さんを多数抱えていらっしゃる方ですから、無理を言ってはご迷惑でしょう。」
 「成程。」
 シンタニの説明に一旦は納得の表情を見せたカズキだが、すぐに疑問を感じた表情を見せ
 「迷惑料をたっぷり払うってするのも…無し?」
 顔色を窺うように尋ねる。
 「陰でお弟子さん達の不興を買いそうですねぇ…。」
 モトザネが苦笑し、シンタニが困った表情で答えるとカズキも流石に気づく。
 「あ…っ。マズイ。嫌われ者になっちゃう。」
 云々と頷いて肯定するモトザネ。
 「敵は作らないで済むなら、その方が良いもんなぁー。」
 妙にしみじみとマサトが口にする。

つながり ㉒

 「前文はって言ってたけど…?」
 『目の色=飴』ショックから立ち直ったイツキが会話に混ざる。オミはと言うと、タイガーの相手をしながら何かを考えているようで、ぼーっと一点を見つめている。
 「あ、だって今は…お金持ちの家庭の子が多いですから。」
 シンが、ソコ訊きます?と少々動揺しながら答える。
 「私立ですしねぇ…『経営がぁー』って事なのかしらね。尤も、試験が緩くなったわけじゃ無いみたいですよ。単に『お金持ちの家庭の方が、ご自分のお子さんをここで学ばせたい』と多数希望なさった結果だろうと言われています。試験結果での輪切りでは『余りに気の毒』な状態になりかけていたとか聞きました。」
 キョウコが補足するように説明する。
 「元々は寄付が経営主体だったそうで。企業からは卒業生を優先入社させる権利で寄付を募っていたとか。売り手市場が続いていたから可能だったらしいですが。」
 シンの追加説明に、今じゃやっていけないわよねーと溜め息交じりにキョウコが呟く。
 「経済は生き物だからねぇ。」
 変化に合わせて変わっていくのは仕方ないねとイツキが理解を示すが、その傍らでカズキが、理解出来ませんと難しい表情を見せる。
 「学校を潰す訳にもいかないだろ。設立理念が設立理念なんだし。」
 「設立理念ってさっきの『前文』?」
 マサトの言葉にカズキが確認を取ると、そうそうと頷いて肯定する。
 「形をちょっと変えても続ける方が良いって事?」
 カズキが更に問う。
 「理念が理念だし、賛同も多かったんだろ。優遇制度としてしっかり残ってるしね。」
 マサトに説明を受けると今度こそ納得の笑みをみせるカズキ。

 「爺やさんと婆やさんとお手伝いさんってなったら…一軒家を借りる形になるのかな?」
 こちらはミヅキの興味を引いたようで…。
 「ぅーん…コチラの住宅事情次第ですが…そうなりますかね?シンタニも一緒に住んでくれると色々と…。」
 チラリと様子を伺うモトザネ。
 「お断りします。」
 遠慮なくキッパリと拒否するシンタニ。
 「なんで?シンタニだって自分で雑事をしないで済むのに?」
 居合わせている一同はシンタニの年齢的な点も考慮し否定的な雰囲気を見せるが、皆の前でもシンタニに対し少々の甘えを見せるモトザネ。
 「雑事をせずに済む見返りが『勉強教えろ』ではありませんか?」
 遠慮なく冷ややかに指摘するシンタニ。
 「…ばれた?」
 モトザネが悪びれずに、悪戯っ子の様な表情を見せながら肯定すると
 「私の本来の業務は当代の秘書です。次代の家庭教師ではありません。」
 「そうだけど…そうなんだけど、さ。」
 シンタニにきっぱりと拒否され少々拗ねたような態度をみせるモトザネ。
 を尻目に、4人組プラス一名は…
 「嫌がる理由…そっち?」
 「勉強の付き合い?」
 「プライベートタイム云々じゃ無いの?」
 「てっきりデートする時間が…とかかと。」
 「彼女くらい居そうだよねぇ。」
 「いるだろ。結婚云々は脇においても。」
 「高給取りだろうし。」
 「モト君のお父さんの秘書だし、ねぇ。」
 「結構ハンサムだし、背だって高いし、体格だって貧相じゃないし。寧ろ鍛えた身体してそうだし。」
 「おバカじゃ秘書なんて無理だろうし、勉強教えてって話しにもならないだろうし。」
 「「いるよねぇ。絶対。」」
 ヒソヒソボソボソ…ヒソヒソ…。

つながり ㉑

 「父はホテル暮らしですし、滅多に顔を合わせないでしょうしねぇ…寮に入った場合、身の回りの事はやっぱり自分でですよねぇ?」
 突然の話題の変化に戸惑いながらモトザネが応えると、『ホテル暮らし』の部分で軽くどよめいた面々が『身の回りの~』云々で首を傾げる。
 「もしかして…部屋の掃除とか、場合によっては洗濯とか…。」
 マサトが恐る恐る尋ねると
 「したことがありません。『する必要がある事』とは分かっていますが。」
 堂々と答えるモトザネ。
 「もしかして、全部お手伝いさんがしてくれるって事?」
 カズキが目を真ん丸にして尋ねる。
 「えぇ…そうです。」
 モトザネが悪びれずに答えると
 「寮に入ったら苦労しそうだねぇ。洗濯は週末に家の人に頼むとしても、一週間着まわせるだけの着替えが必要だねぇ…。」
 「部屋の掃除は自分でしないと、だしねぇ…。」
 ヤスノリとトシが複雑な表情を見せる。
 「んー…?ちょっと待った。」
 モトザネが微妙に恥ずかしげな表情を見せるのと前後して、シンが口を挟む。
 「寮って確か規定があったぞ。入寮規定ってヤツ。モト君は多分…と言うか、ほぼ確実に引っかかる。」
 「あ…あぁーはいはい、あったワ。遠方であるとか成績がどうとか…。」
 シンの話しから記憶が刺激されたキョウコが同意すると
 「モト君…まさか成績に問題でも…?って言うか、遠方からで自分から入学を希望する場合って、成績に自信なかったらウチの学校を受験先に選ばないよね。選んでいる時点でモト君の成績はそれなりに良いって事になる。違う?」
 マサトが一旦落としながらフォローを入れるが
 「ソコじゃぁない。モト君は、遠方からとか成績云々はクリアするだろうけども…。『両親の収入』で確実に引っかかると…。」
 「多いとダメなの?寮費取るよね?取らなかったっけ?取るけどダメなの?」
 シンが言いにくそうに口にすると、弟のリョウが確認を取る様に尋ねる。
 「ウチの学校はそもそも…成績は良いが両親の収入に難がある家庭の子に進学及び修業の機会を設ける為に設立した、って『前文が』あったと記憶しているワケで。授業料が比較的安いのもソレがあるからだし…。だから寮に関しても規定として、成績優良である、出身が遠方である、両親の収入に難がある、が基準になっていたハズ。一人暮らしするにも金がかかるから、その負担を軽くしましょうって事で。モト君の場合は、収入が有りすぎる方で難があるって言おうと思えば言えるけど…言えるかい?」
 一部を不自然に強調しながらも、シンがふざけた表現を敢えてするものだから、モトザネも思わず口元を緩めながら否定する。
 「それは…幾らなんでも…流石に言えません。」
 「じゃぁ…どうするの?身の回りの事が…なら一人暮らしもキツイでしょ?」
 一部伏せるミヅキ。
 「ボディガードが付くような人が一人暮らしなんて、許可出るの?」
 ケロッと忘れていた存在を思い出し、問題点として口にするカズキ。
 「コチラで暮らす様になったら、普段の生活に護衛は付きません。父や母じゃあるまいし。ただ…今思ったんですが、実家や父との連絡などを考えたら、どこかをお借りするのが一番適しているかと思われます。」
 「お手伝いさん雇うとか?」
 「えぇ。ウチの内外のアレコレを熟知している爺やと僕の性格を熟知している婆やは絶対に同行して貰いますが。」
 『爺や』で『婆や』だそうだ。と家の格の違いを見せつけられてうへぁ~と脱力する一同。
 「あ、シンタニは『兄や』みたいなモノですよ。」
 ケロっとダメ押しをする。
 

つながり ⑳

 飴に譬えられて微妙な表情を見せ考え込む二人を、そっとしておこうと(単に構うのも面倒臭いので放置しようとしているダケだが)態度で表すキョウコに合わせ、一同は声が聞こえるか聞こえないかの微妙な距離に移動する。
 モトザネはそこでふと気になった点を尋ねる。
 「あの…何故皆さんは自分にこんなに良くしてくださるんですか?凄く助かりますし、有り難いですが不思議に感じるんです。」
 モトザネの表情が大真面目だったので聞かれた側が一層困惑する。
 「何故って…遠くから来てるだろ?」
 ヒロが当たり障りのない事実を挙げ
 「チケット無くて困ってたよねぇ?」
 ヤスノリが出会った状況を思い出すように口にし
 「門の所に先生居たし、動かないとマズイよなーとは考えた。面割れてるし。」
 リョウが身も蓋もない心境を吐露し
 「入学相談?受けたいって言ってたし、受けられなかったら気の毒だし?」
 知っちゃったら動くよねー。トシが協力理由を口にする。
 「はぁ…成程、そうですか。そうした場合…過去問は…?」
 モトザネが一旦納得をし、続けて新たに尋ねる。
 「買った様子が無かったし?内部用だけどレベル的な点が分かるかなと。」
 「無いよりあった方がマシだろーし。手に入れるまでの時間無駄にしないで済むだろ?傾向も分かるだろうし。」
 キョウコとマサトが不思議そうに答える。
 二人の答えと先程の四人の返答を考えあわせたモトザネが(この人達ってもしかしてお人よし?)と考えつく直前
 「余計なお世話だったか?チケットの件は別にして。イツキさん達とも知り合いみたいだったし、じゃ俺達も動ける事では協力しておくかって思ったんだけど?イツキさん達には世話をかけちゃったりもしたから。」
 シンが一歩踏み込んで尋ねる。
 「いえいえ、とんでもない。余計な世話なんて全く。逆にありがたい程です。」
 モトザネはすぐさま否定して感謝の意を表情に表す。
 「受かったら同級生になるかもなんだし。今から仲良くしてちゃマズイかね?」
 ヒロが恐縮しかけたモトザネをフォローするように声をかけると、他の三人も同意していると頷いて見せる。
 「いえ。助かります。」
 モトザネがはにかみながら同意を示すと
 「モトちゃん、受かったらどうやって通うの?」
 自分は係わっていなかったからと大人しくしていたカズキが、一通りの話は終わったよねと勢いよく尋ねる。
 「学校の寮に入るの?お父さんと一緒に暮らすの?」

つながり ⑲

 店の前では商売の邪魔になるからと、遅れてきたキョウコや手続きを終えたモトザネ(一行)と共に近所の公園へと移動する。道々モトザネからキョウコへ、提供を受けた過去問の礼を、シンとの係わりやコチラへ訪れた理由等はお喋りカズキからキョウコへ告げられる。
 「あ、あそこあそこ。オミさん達を初めて見かけた場所。」
 カズキが公園内に設置されているイスやテーブルの一角を指し示す。
 「ココでお菓子広げながらタイガーと遊んでたんだよね。」
 「そうそう。」
 イツキが懐かし気な表情を見せながら同意すると
 「髪の毛欲しがられた…。」
 オミが序でにと言った雰囲気でボソっと呟く。
 「今でも…良ければ欲しいなー…なんて言ってみたりして。」
 エヘヘとカズキは笑って誤魔化す。
 「髪の毛なんて貰ってどうするんです?」
 モトザネが大真面目に問うと
 「ぅーん…『お守り』?」
 あまり深く考えていなかったどころか、ただ単に『欲しい』としか思っていなかったカズキ。なので何故と問われると困ってしまう。
 「『お守り』ですか…髪の毛でお守りになるんでしょうか?」
 「って言うか…『記念』?」
 考えていなかった為、突っ込んで聞かれると尚一層困る…。
 「『記念』???」
 『お守り』で『記念』??今度はモトザネが考え込んでしまう。
 首をひねるモトザネに、ヒロが声を潜めて呼びかける。
 「モトちゃんモトちゃん。ダメだよ。カズキの思い付きを深く追求しちゃ。アイツってば思いついた勢いで言ったんだろうから。」

 「そう言えば…不思議だったんだけど。」
 オミが不意に思い出した様子で口を開く。
 「カズキ君ってオミの目、平気で覗き込むよねぇ?初めて会った時から。キーちゃんの目もへっちゃらで。」
 「?オミさんやイツキさんの目が、どうかした?」
 なんのこっちゃいと首を傾げるカズキ。
 「んー…とぉ、大抵の人はね、嫌がるんだよねぇ。口には出さなくても…。あからさまに目を逸らしたりねぇ。」
 オミが嫌味にならないよう気を付けながら説明すると
 「へっ?イヤ?なんで?どこが?どうして?」
 カズキはさーーーっぱり分かりませんと、今度は逆方向に首を傾げる。
 「お兄ちゃんたちも平気そうな様子だったけど。カズキ君は覗き込んで来てたよなぁって…思ったんだけど。」
 「覗き…込んだかもしれない。テレビで見た、そのまんまだーって思ったような気がするし。」
 うんうん頷きながら同意するカズキ。小学生のカズキにとって季節が春から夏へと変わる頃は随分と昔に感じられるらしく、返事の内容は少々頼りないが、肯定はしている。
 「テレビと同じだってダケで覗き込める?ジーーーーって目を見られてた気がするんだけど?」
 「じーーーーっくり覗き込んだのは覚えてる。」
 「なんで平気なの?」
 「なんでそんな事訊くの?本物の本物だぁって思っただけだし。ホントに赤い色してるーって思ったし。」
 自分の行動に疑問を呈された事で遺憾を感じたか、半ば不貞腐れるように答えるカズキ。
 「単なる好奇心?その割には、随分と熱心に覗き込んでたみたいだけど?」
 イツキが確認するように声をかけると、カズキは『あっ』という表情をし
 「思い出したっ。『本物だぁ』って『ホントに赤い色だー』って思った時に…カズキは思い出した事があったんだ。で、じーーーっくり見たんだ。確認するみたいに。」
 思い出したよ、良かったーと一人で納得する。
 「オミの目を見て『何を』思い出したの?キーちゃんの目も見てたよ?」
 「前から思ってたんだよねぇ。テレビで見る度に、そう思ってさぁ。本物見て『やっぱりだ』って思って。」
 「だ・か・らっ『何を』?」
 一人合点状態の自覚の無いカズキに痺れを切らしたオミが、少々きつめに重ねて尋ねる。
 「へ?だから『イチゴ飴』と『べっこう飴』だけど?」
 

つながり ⑱

 「進学と差別の少ない町の在り様確認と…嫁探し?」
 「一石三鳥狙い?」
 「シンちゃんの件は…まぁ偶然なんだろうけど、入れたら四鳥だよ。」
 「一石四鳥、なんと言う合理性。」
 モトザネがシンタニに付き添われながら、店主との間で書類交換や署名などをしている姿を眺めながら、マサト⇒ヒロ⇒トシ⇒ヤスノリの順での軽口。
 「嫁探しはお父さんの仕事関係からでも可能じゃない?」
 「条件が厳しいから…相当難しいんじゃね?」
 リョウとシンも同じ様に軽口を叩いていると
 「嫁いだら『周り中全てが』って言っても良い位『敵』なんて…おぉ怖っ。」
 ヤダヤダゴメンダワとミヅキが肩を抱きながら、わざとらしく震えて見せる。
 「あの様子だと、まぁ~ず滅多に実家には帰れそうもないしなぁ…。」
 マサトがその状態を想像しながらため息交じりに呟くと
 「嫁いだっきりかぁ…。送り出す方も、アレね、覚悟がいるね。」
 「『婿入り』なら、多少はマシだぁね。『父親は離れた土地で働いている』って言ってたワケだし。嫁入りに比べたら気分的にラクだろうな。」
 ヒロが妙に感慨深げに呟くと、トシがまるで慰める様に別の視点(通常パターン)を提示する。
 「混乱期とかに良く女当主で乗り切れたよな。『大災厄』後とかさ。パニック状態でしょ?周りは。」
 「そこはホレ『アホな男よりしっかり者の女』ってヤツだろ。女の方が現実的だし、子供の頃から覚悟ってヤツを教え込まれていたら、半端な男じゃ太刀打ちできないだろ。」
 ヤスノリが尤もな疑問を口にすると、シンが女性でも可能と言い添え序でにダメ押しも付け加える。
 「それに…女性の方がパニックを起こしやすいだろうけど、一旦パニックを起こすと傍迷惑で面倒臭い状態になるのは男の方だしな。」
 「そう言えばさー、さっき『軍隊がー』とか『国家の防衛がー』とか言ってたじゃん?」
 トシが思い出したように言いだすと
 「うん?それが?」
 「あれってさ、侵略される可能性を考慮して防衛しているって事でしょ?」
 「そーだねぇ。イツキさんの話しでは、そんなニュアンスだったね。」
 リョウが肯定すると
 「それってさ『近隣の国が我国への侵略を想定していると考慮している』って事になるよね?『疑ってるんか?ケンカ売ってるんかぃっ!』ってならないのかな?」
 トシの爆弾発言にリョウとヤスノリが硬直し、『それって逆にヤバくね?』という雰囲気が一部に流れる中、自分の名前が出たので様子を伺い聞き耳を立てていたイツキが即座に否定する。
 「ならないよー。政権や政権担当がいつ変わっても構わない様に整えているだけだから。『今はお互い良好な関係を築いているとは言え、いつ何時そちらの政権が変わり我国に害を与えるとなろうとも、その際我らは貴国の行動に対し徹底して抗う準備は整えてある』って事を具体的に表したのが『軍隊』だから。そういう意味での『考慮』で『想定』なんだよ。尤もコチラの政権が、アチラの国へ攻め入ろうと考える政権に取って代わられたら、その『軍事力』がそのまま使われるワケだけどねぇー。」
 イツキの説明を受け三人が理解と納得と安堵を示すと、その様子から誤解が解けたと見て取ったイツキが
 「ま、大体『お互い様』なんだけどね。」
 少々キツく、呆れた表情でに吐き出す様に口にする。

 『お兄ちゃん達』が嫁だの軍隊だのの話しで少々盛り上がってしまうと、嫁取りなど先のその又先の話しで軍隊なんてテレビの中の話しで、夢の中の夢の話し状態になってしまう為、丸っきり混ざれないカズキ。同じ様に会話に混ざっていないオミの様子を、盗み見る様に見てみるが、オミは『我一切関せず』とばかりにタイガーをあやして遊んでいる。
つまんないっ!
カズキの心の雄叫び

つながり ⑰

 「嫁と姑で…かぁ…。」
 モトザネの答えを聞いた店主は複雑な表情をしつつ再び遠くを見つめる。
 「はぁ。通常でしたら『嫁』では無く『娘』で、跡を継ぐのは『息子』では無く『婿』となるんですが…。今回ばかりは…嫁を貰わざるを得ませんので。ですが、母は全面的に嫁の味方となりますよ。ただ…表立っては庇えません、皆の嫉妬が向かうでしょうから。それと…母の希望の嫁は『子供をボロッボロッ産めそうな健康な女性』だそうです。自分が二人しか産めなかったのを気にしているようで。『子供さえポロポロ産んで貰えれば、他はもう好きにしてくれて良い』とまで言っています。」
 前半では力無く言葉を継ぎ、後半では妙と言われても仕方が無いほどに力を込めてモトザネが応えると、店主が他の家の事情に首を突っ込むような真似をしたことを悔いたような表情を見せる。
 「あ…いや、ご事情はあるでしょうし。我々の様な庶民ですら家毎に…ありますからね。ソチラさんでは尚一層と言った所でしょう。ですが、永い事『家』を伝えていらしたのなら…『家を伝える』為のノウハウも当然ご存知でしょうし、その為にアレコレと工夫なり努力なりなさってらっしゃるでしょうから、一般的な意味での嫁姑問題やら確執やらは逆に起こりにくいのかも知れませんねぇ。ただ、思うに…問題は『別居が前提』というところかな?と。」
 余計なお世話でしたね、ハハハ。と頭を掻きながら笑う店主。にっこりと笑うと、不思議と息子ではなく娘のミズキとより一層面影が重なる。

 「…と言う事は、だ。年がら年中受けるであろう周りからの嫉妬やら妬みやらを『ぉーっほっほっほぉー。小さい小さい。』って笑い飛ばせて、赤ちゃんをポロッポロ産んじゃうような女性が望ましいって事?居るの?そんなヒト。」
 ミヅキが呆れた様な表情で口にする。
 「さぁ…どぅだろーねぇ…?」
 「探せば…いるんじゃない、かなぁ~?」
 ミヅキと目を合わせないように他所を向きながら、すっとぼけるトシとヤスノリ。
 「居るとしても出会えるのか?探し出せるのか?」
 「年齢だって問題だろーしねぇ~?」
 ヒロとリョウもやはり目を合わせないようにしつつとぼける。
 「見つけた時にはモトちゃんがオッサンの年齢で、相手が小学生だったとしても…それはOKなのか?結婚可能年齢まで待つって事?」
 「見つけたからって、相手が必ずしもお嫁さんになってくれるとは限らなくない?」
 マサトが中々に難しい例えを口にすると、カズキが、それまで皆が触れずにいた点をあっさりペロっと口にする。
 「もしかして…とんでもないほどの無理難題なんでしょうか…?」
 カズキの一言で愕然とするモトザネ。
 「ぅ~~…ん…。財産とか…名家っていうネームバリューとか?そういう事を喜ぶ女性なら?見つけられるとは思う。…けど、探しているヒトって違うよねぇ?」
 ヒロが気の毒そうに言うと
 「打算でもいいんですけど?妬みと僻みと嫌味に年中無休で耐えられて、子供をボロッボロ産めるのなら。」
 あっさりと受け入れるモトザネ。
 「打算でいいのっ?」
 カズキとミヅキが驚きの声をあげる。
 「殆ど義務なので…。割り切ってしまえば、意外と何とかなりそうな気がします。」
 モトザネが認めると、その場の全員が驚きとともに脱力する。
 「当たり前ですが、打算よりは気持ちが通っている方が良いですよ?ですが…場合によっては、致し方ないかとも思うんです。」
 「…って事は。やっぱり、足の事さえなかったら…なんだねぇ。」
 シンがしみじみと口にすると
 「後、地元の閉鎖性と保守性と妙なプライドが無ければ…。」
 モトザネが言い添える。

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