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最上部にて…

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同時進行 ⑩

 (『あの子』の保護は…コチラとしては当たり前の事だけど、勝手に連れて行く訳にいかないよねぇ。近隣に住んでいる人達は嫌がって妨害しそうだけど、親はどうなんだろ。まだ小さいから、父親か母親のどちらかだけでも同行させるべきなんだけど、父親がOKするかな?今じゃ一家の稼ぎ頭だろうしなぁ…。両親ともに連れて行く?オミはこの手の父親キライだけど…そう言う問題じゃァないんだろうしなぁ…。)
 オミがつらつらと考えている頃タイガーは…。
 小さな身体を低くして草の密林の根元から顔を出し、辺りの様子を伺ってそろ~っと踏み出す。根元に沿って数歩移動し、再び辺りの様子を伺い…としていると脇から蝶が飛んでくる。蝶の姿が視界に入るや否や、それまで辺りに警戒しまくりだったその表情が一瞬であっさり翻される。コソコソっと近寄って、そ~っと手を伸ばし…チャイチャイ、更にチャイ。…届かない。身体を少々伸ばして再びチャイ…チャイ。少し移動して、後ろ足で立ちつつ…チャイチャイ。蝶は知ってか知らずか、届きそうで届かない位置をからかうようにひらひらと舞う。

 
 赤茶けた地面が少々なだらかな坂をゆるゆると形作っている、その麓側。斜面から少々離れた場所に数件、掘っ立て小屋と見紛うばかりの粗末な造りの家が建っている。周囲には細い木が申し訳程度に、又下草も木の生えている周囲に辛うじて生えている。
 その様な場所のとある一軒の家の前では、近隣の者達であろうか、粗末な衣装に身を包んだ酷く痩せた人たちが、ある人は拝むような仕草をし別のある人は頼み込むように座り込み、又別のと或る人は家の壁へと縋る様に細い手を伸ばしている。
 「今日はもう終いだ。帰っとくれナ。明日、また、な。」
 人だかりのある家から出てきた、他の人よりかは幾分か肉付きの良い(とは言え痩せているのは変わらないが)男性が周りに集う人たちへと帰る様に声をかける。

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同時進行 ⑨

 Ξ はい?どうしたの? Ξ
 Ξ ママ…。経路は追えないかもしれません。彼らは、その…『公用語』を知らないようです。作業の指示は…当たり前ですが古株と思しき者が、担当しているようです Ξ
 少々間を置いて沈痛そうな感情を帯びた思念が届く。受け手側である彼から少々離れた場所では、大きな荷物を痩せた身体に背負い、息を喘がせながら運んでいく男性の姿が見え、その後方では先程と同様に、痩せて貧相な身なりの者達が忙しそうに立ち働いている。
 Ξ そう…残念ね… Ξ
 反ってきた思念は一旦途切れるが
 Ξ 状況を話して貰って関係者を追うのは無理そうね。だからってこの機会を逃そうとも思いませんけどね。しんどいでしょうけれど、もう暫く様子を見て頂戴。お願いね Ξ
 と、すぐに気を取り直したらしき思念が届く。


 イツキが案内を受けながら担当者のいる部屋へ訪れているころ、オミは背の高い草が密生してできた日陰でタイガーを待つ。
 (あぁ…成程。草や花が埃を受け止めてるのか。でもなんだろね、省庁街?のコチラは草花が溢れてて、外の一般街区?は草の根すらなさそうなのは…。水を新たに引いたところで、土地自体が痩せてるみたいだから直ぐには成果も出ないだろうし…。国民の不満を逸らす為の『水』か?オミの仕事分の料金、本当に払えんのかねぇ…?税金だってまともに集められなさそうなのに…。)
 つらつらと、一部は直接関係するとは言え、大部分は余計なお世話である事を考える。

同時進行 ⑧

 建物へと入っていく案内者とイツキを不機嫌そうに見送りながら、気分を変えてタイガーと花々を見て回るオミ。
 (変なの。外の…敷地の外は臭いし埃っぽいってのに、ココは臭くないワ埃っぽくないワって…ナンで?)
 土が違うのか?と、オミの膝上ほどの高さの花壇に咲いている花の根元を眺めやる。
 (ん?湿ってる?草や花の陰だからか?臭気が匂わないのは花の香りに紛れるからとして…湿り気があるから埃っぽさを感じない?んなバカな。湿度は高いじゃん。空気が湿ってるのに埃っぽさは感じてたぞ。)
 臭さから解放されたタイガーが、それまで抱えられていたオミの胸元から花壇へと降り、上機嫌で草花の根元を歩き回る。
 「踏みつぶしちゃだめだよ、タイガー。ちゃんと避けて歩いてね。」
 「ニャー。」
 話しが通じているかは別問題だが、オミの言葉に一声鳴いて答えるタイガー。フンフンと匂いを嗅ぎながら散策を開始する。
 (随分と背の高い草やら花やらだぁね。仰ぎ見るような花がこんなに沢山あるとは…。ましてや独立・直立系で。)
 花壇に咲き乱れる花々の先端を、見上げるように顔を仰向かせながら眺める。
 絢爛と今を盛りと咲く花々。抜けるような青空。微かにたなびく白い雲。刺すような日差し。
 (ぅは。日に焼けるぅ~~。)


 Ξ ママ・レティ?今、お時間頂戴して宜しいですか? Ξ
 遠くまで連なる緑の絨毯を背景に果実がたわわに実る木々の下、痩せ衰えて貧相な身なりの人々が必死な様子で立ち働いている。その木々から少々離れた木の影に、立ち働く人々に注意を向けるそこそこがっしりした体格の男性が、辺りに対して気を配りつつ立っている。

同時進行 ⑦

 「いやいや、騙さないから。アイツは正真正銘『男』です。」
 イツキの話しを聞きながらも、目を丸くしてオミを上から下まで見る。
 「逆に、聞きたいんだけど…。どの辺で女って思ったんです?」
 そんなに不思議か。と呆れつつ、微苦笑を見せながらイツキが尋ねる。
 「顔、キレイ。身体、細イ。髪、長イ。髪、長クスル、我々デハ、女性ダケデス。男ハ、伸バシテモ 肩グライ、後ロデ結ブ デス。」
 (あぁ、オミの髪は膝下まであるからねー。)
 文化の違いと、当たり前とする前提の違いから来る誤解と理解したイツキは、生暖かい瞳で見ながら一応のフォローをする。既にオミはヘソを曲げてムクれているので大した効果は期待できないが…。
 「アイツの出身地では、男も女も髪を長くするんですよ。」
 (短いのは下々民認定されます。)とは言わない。
 自分もオミ基準では短いが、目の前の人も短いので、下々民云々など言おうものなら侮辱以外の何物にもならないと、流石にイツキは理解しているので。
 ましてや相手は仮にも政府関係者、クライアント様。侮辱して怒らせたら国際紛争(?)の切っ掛けにならないとも限らない。
 (オレ一人で戦ったって負けないけど…。だからって紛争の火種を撒き散らして良いって事にはならないワな。)

 イツキがフォローするもすっかり臍を曲げたオミは、元々打ち合わせを避けたいと考えていたのもあり、同行する事をきっぱり拒み、庭を散策しながら話しが済むのを待つと譲らない。
 オミがこうなると何を言っても聞かないと、経験上分かっているイツキは仕方無く案内者を宥めつつ先へ進む。


同時進行 ⑥

 色とりどりの草花の間を分け入るように設けられた小路状の通路を通りながらフト気付く。
 (あ、臭くない。)
 抱えられていたタイガーも臭いの変化に気付いたか、オミに押し付けるようにしていた顔を横へ向け、オミが進むのに合わせ後ろへと移っていく花々を眺めだす。
 リラックスしだしたのか、ゆっくりと左右に振られるタイガーの尻尾。その尻尾の動きを目にし、案内に来た者が不思議そうに尋ねる。
 「あれハ ヌイグルミデハ無カッタデスカ?」
 「生きてるネコだけど?」
 「ネコヲ連レテイタデスカ。テッキリ オ気ニ入リノヌイグルミヲオ持チニナッタト思ッタデス。女性ハ、ソ・ユノ オ好キデスカラ。」
 爆弾発言。
 「え?今、女性っておっしゃった?」
 引き攣りながら確認を取るイツキ。
 「ハイ。女性ト言イマシタ。違ウデスカ?」
 キョトンとしながら尋ね返す。
 「いや、アレ男。」
 オミを指さしながら訂正する。
 「オト…?男性デスカ?本当ニ?騙ス シマスカ?」
 驚いて言葉が怪しくなってくる。

同時進行 ⑤

 「自分はここで失礼します。ここから先は別の方が案内しますので。」
 暫くの間雑談などを交わしつつ、道案内に立っていた赤茶けた色の髪をした超能力者がそのようにイツキへ伝えると、それとほぼ同時に、庭の奥から小走りに走り寄って来る人の姿が見える。
 「θЖ’ェrチЭжпュ¶RΛhェ?」
 走り寄ってきた人が何かを話したが全く聞き取れず困惑する二人。その二人の様子を目にし、走り寄ってきた人も同様に困惑した表情を見せる。
 Ξ 参ったね…何言ってるんだかサッパリだ… Ξ
 Ξ キーちゃんもか… Ξ
 Ξ 政府関係者ぐらいキッチリ言語習得させといて欲しいよなぁ… Ξ
 Ξ 頭覗く?感情視る? Ξ
 Ξ やめとけ、一致してるとは限らないだろ。余計混乱するワ Ξ
 イツキは『本音と建て前』を考慮しオミを止める。

 案内に来た者は政府関係の仕事に就いているのが誇りらしく態度は堂々としているが、まさか自分の発音が通じ難い物であるとは思ってもいなかったようで、少々困惑した様子を見せる。
 「悪いけど一度ゆっくり話してみて貰えるか?」
 見かねたイツキが、こちらもゆっくりと話してみせる。
 「ハジメマシテ。ヨウコソ オイデクダサイマシタ。」
 あ、通じる。何言っているか分かる。オミの表情にはっきりと現れる。
 「上手イト言ワレテイマシタ。違ッタヨウデスネ。自惚レ 恥ズカシイデス。」
 「ゆっくり話してもらえれば通じます。故郷言葉の訛りが影響するのは仕方のない事ですから、その分は差し引いて考えないと…。」
 案内に来た者とイツキが話しながら進む後ろを、タイガーを抱えながらオミは大人しくついて行く。


同時進行 ④

 整った街並みを歩いていると、前方で手を振っている人が見える。
 脇道にいた、暇を持て余した男性達とは比較できないほどに身なりを整えた、荒れた大地と同じような色合いの髪をきちんと分けた男性が、軽く手を上げ、合図を送ってくるように手を振っている。
 イツキがその男性に対し軽く目で応えると、相手は手を振るのを止め二人が近付くのを静かに待つ態勢になる。
 「お待ちどう。ちょっと慌てたよ、この国で良かったのかって。」
 簡単な挨拶に意味を含ませた一言を添えるイツキ。
 「はぁ、確かにこの国は小国ですし、土地は痩せています。目立った資源があるワケでもありません。ですが、支払いに関してはキチンと行うとの確約を得ていますので。」
 何卒良しなに、と出迎えた相手が応える。
 「ま、払えなくても大損するのはコチラだしね。」
 アチラは踏み倒せば済むんだし。イツキがサラッと毒を吐く。
 「水回りの良かった頃はそれなりに栄えていましたから。」
 だから、水回りに協力が得られれば借財も返せる。と出迎えた相手が答える。
 「君、どっちの人?詰所勤務の超能力者だろ?随分アチラを擁護するね。」
 イツキがあっけらかんと尋ねると
 「良くして頂いているので、協力できればと思っています。」
 と答えが返る。
 「ま、受けた以上はヤるけどね。」

 出迎えた超能力者の案内に従い暫く歩くと、前方に背の高い柵に囲まれた草花の咲き誇る庭が見えてくる。
 案内に立った超能力者が門の前に立つ人と一言二言話しを交わし、二人にその中へ進むように指し示す。

同時進行 ③

 オミが不貞腐れていると、イツキが我関せずとばかりにサラッと確認を取る。
 「『別件』側の確認は取れたか?」
 「取れたよ。集落の外れの方、低い地域、男の子、7・8歳、栄養不良、両親と3人暮らし、窓口は父親、報酬は主に食べ物。」
 一旦口を閉じてすぐに続ける。
 「オマケ。周囲でその家の様子を伺っている男、3人。その人等と連絡を取り合っていると思われる人2人。」
 「んー…アチラも動いている、と。」
 細い道から広めの道へと移動し小声で話し合う。尤も使用言語が違う為、大きな声で話したところで内容が漏れるとも思われないが。
 「ココも父親が絶対権限の持ち主?」
 「あぁ、そのはず。何か気になったか?」
 「いや…偉そうだなって思って。何してるってワケでもないくせに。この辺でだって、グータラしてる父親らしき男性が結構目に付くし…。」
 「何かしようにも出来ないんだろ。町の中も外も荒れちゃって。」
 「元々痩せた土地でしょうに…。荒れもするでしょ。」
 「下草が有ると無いとで大違いなんだから…人も集まるだろうさ。」
 
それまで歩いていた通りから更に広くなった通りへ出ると、比較的整った街並みが目に入る。が、弱まったとは言え異臭は相変わらずで…。
 「ぅーん…臭いっ。やっぱり臭い。どーしても臭い。」
 「普通鼻が慣れちゃって分からなくなるのにな…沁みついちゃってるのかねぇ。」
 オミが眉間に皺を寄せながら呟くと、イツキが変わらず飄々と相槌を打つ。イツキが何の気無しに口にした一言を耳にしたオミが、ギョッとした表情をし自身の服を思わず嗅いでしまう。
 「家や道路に匂いが染みつくって事は、服にも付くって事じゃんかっ。」
 「そーいやそうだな。」
 イツキは余り気にしない。

同時進行 ②

 どこまでも続く赤茶けた大地。
 時には高く、時には低くなり延々と見渡す限り続いて行く。
 イツキとオミ。宙に浮きながら赤茶けた大地を眺め、ため息を吐く。
 「本当に人が暮らしてるの?この辺りで?」
 「…らしいんだけど…。もしかして、あの山の向こうじゃね?」
 細い糸の様に僅かに流れる川の流れをさかのぼる様に視線を移し、彼方に見える僅かに色を纏う出っ張りを指し示す。
 「川が流れてても下草すら満足に生えないような土地にねぇ…。」

 都市国家と言えば聞こえの良い、広めの集落をいくつかまとめあげて『国』として興したような、ちいさな『国』。
 その一つの集落の繁華な場所から少々奥まった、人通りの無い細い道へ姿を現した二人。と、オミの肩に乗るタイガーが不快気な鳴き声を上げ、スンスンと鼻を鳴らしながらオミの首へと鼻先を押し付けてくる。
 「くすぐったい、くすぐったい…タイガー…止めてっ。くすぐったいからっ。分かった、分かったから。臭いんだよね。分かったから止めてっ。」
 声をかけつつ慌ててタイガーを抱き下ろし、胸元に押し付けるように抱きかかえる。
 「はぁ…くすぐったかった…。で、臭いっ。真剣、臭いっ。タイガーじゃないけど、臭くて鼻が曲がっちゃうっ。」
 「もうちょっと声のボリュームを落としなさい。」
 確かに臭いけど…。イツキが顔を歪めながらも注意する。
 「だって…。なんでこんなに臭いんだよぉ。」
 尤もな事を改めて注意されてしまったので渋々従い、周りを見回しながら声を落とし不平を漏らす。
 「なんでだろうねぇ…。水回りが悪いって話しだから、そのせいかねぇ…。」
 汗の饐えたにおいや黴臭さ生臭さと獣臭さにアンモニア臭らしき臭いが混然一体となり辺りに満ちているらしく、風が吹こうが収まろうが否でも鼻をつく。場所柄か、汗の饐えた臭いとアンモニア臭が特にキツク感じられる。
 「お風呂位ちゃんと入ろうよぉ~…。」
 オミが泣き言を口にすると
 「水回りが悪いのにか?」
 飄々とイツキが突っ込む。


同時進行 ①

 どこまでもひたすら続くように見える赤茶けた大地に、一筋の線を引いた様に緑色の葉が連なっているのが見えてくる。
 その緑色の線をめがけ移動を続けると、こちら端から向こうは敷き詰めた様に草が生えている。
 元々の地形に段差があるのか、場所によって盛り上がり、又下りとなりながらも隙間無く草や生え花が咲いている。ある一定のラインを境にコチラとアチラ、思いもつかぬほどに色彩が変わる。
 更に進むと、水辺に咲く花や草が増え水溜りの様になった窪みがあり、窪みの水の中には水草が。そこを取り巻くように水辺の草花が生え、又進むと、少々乾いた土地でも根を張り芽を出す草花が咲いている。
 所々咲く花がアクセントになっている草原を更に進むと、背の低い木が生え枝葉を茂らせ、澄んだ水の細い川が流れ、草花が尚一層伸び茂っている。
 明るく暖かな陽光の元、ある場所では家畜が水を飲み、草を食み、木陰で休む。
 別の場所では家禽がエサを啄み、水遊びをしている。
 また別の、ある場所では… ―― 。

 Ξ ママ・レティ?今、割り込んで平気ですか? Ξ
 Ξ どうぞ Ξ
 Ξ 確認しました。確かに、働いている者全員痩せ細っています。身に着けている物も痛みが激しく…満足に買い替える事も出来ていない様子です。 Ξ
 Ξ そう…やっぱり。困ったわね… Ξ
 Ξ どうします?動きますか? Ξ
 僅かに間を空けた後、
 Ξ いいえ。暫くはそのまま『観察』で。そぅねぇ、監視の目が無い様なら接触して。無理はしないでね。一切が無駄になりかねないから Ξ


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