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子育て? ⑮

 休憩を済ませ(イチゴのつまみ食いは各人それぞれ3個ずつで我慢した)、再び作業に戻り採れる分だけ採った帰り道。籠を手に、遊び疲れたタイガーを肩に乗せたオミが、さり気ない風を(必死に)装ってルーヴへと尋ねる。
 「ルーヴ…もしかして、帰れるようになったらイチゴを故郷で育てようって考えてる?」
 畑に着いて間もない時に、力強く頷いた様子と作業へ集中する様を目にしてから、オミがずっと気にかけていた事である。問われた少年は少々困った様子を見せ、上目使いでオミの顔色をうかがう。
 「怒っている訳じゃないし、怒る気も無いんだけど。一応…確認?しておこうと思って。」
 「食べ物…沢山、アる方が…イイなっテ、思っテ。」
 一言一言途切れがちに応えるルーヴ。
 少年が、ちょっとした事でヒスを起こし、大声で怒鳴ったり殴りつける父親の下で育ったことを知っているオミは、少年が勇気を振り絞って答えていると承知し、怖がらせない様気を付けて話しかける。
 「あのね、ルーヴ。果物は…って言うか、実をつける物は育てるの難しいってよく聞くよ。」
 オミの話しを聞き、ショックを受けた様に悲しげな表情でオミを見上げるルーヴ。
 「ルーヴがどうしても、なにがなんでもイチゴじゃなきゃヤだって言うんなら、オミは別に止めないけど。でも…ル―ヴが自力で育てられなかったら意味ないワケだから、オミの力は当てにしちゃだめなんだよ…。」
 しゅ~んと項垂れるル―ヴ。オミの力を当てにしていて断られたからか、否定的な意見を言われたからかは不明だが、明らかにしょげている。
 「もっと簡単なノを育ててみたら?種なら色々あるし、場所も幾らでもある。花とか育てて練習してみたらどうだろう?」
 オミの妥当な提案に、やはり顔色を窺う様な視線を向けるルーヴ。
 (やってみてもいいの?)
 「これからの時期だと…夏の花がお勧めだね。向日葵なんてどうだろう?比較的育て易いし、夏を代表する花だよ。」
 オミがダメ押しの様に勧めると、完全否定されていたワケでは無いと理解したルーヴが、嬉しそうな顔を見せる。
 「なんなら…山ほど育てて『向日葵畑』にしても良いし。」
 オミの提案に、ルーヴは尚一層表情を輝かせ、嬉しそうに楽しそうに何度も頷いて賛意を表す。

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子育て? ⑭

 最初はオミに教わりながらであったが、幾つか採っているうちに理解したようで、一人でせっせと収穫に励むルーヴ。
 日が高くなると気温も上昇するものだが、畑のある場所は開けていて風の通りも良いが、日も容赦なく降り注ぐ為、中々に暑い。オミやイツキの習慣に合わせ、薄手とは言え長袖長ズボンで作業に熱中しているルーヴは、直に汗を浮かべ始める。
 「ルーヴ、ルーヴ。ちょっと休憩しよう。汗かいてるよ、拭かないと体調崩しちゃうよ。」
 集中しまくっている少年へと、オミが少し強めに声を掛け、作業を止めさせる。
 声を掛けられて、初めて自分が汗をかいていると自覚するルーヴ。少しはにかんだ笑顔を浮かべ
 「イっパい見ツケちゃって…。」
 つい夢中になったと言い訳気味に応える。オミは頷きながらにっこりと笑いかけ、手にしたタオルを差出し汗を拭うよう伝え、続けて、畑を囲うように茂っている林の端を指し示し、木陰で休もうと誘う。

 林の端と畑を区切る、階段状になった通路の木の陰になる一段に並んで腰を下ろし、イツキから送られた軽食を広げ、冷たい飲み物を口へ運ぶ。オミやルーヴの間を行ったり来たりしたり、ルーヴの傍らで未熟な実にじゃれついたり、根っこの辺りに鼻先を突っ込み土の匂いを嗅いだりして遊んでいたタイガーも、オミの足元に座り込みオヤツを貰っている。
 軽食をつまんだりドリンクを飲みながら、話題の提供に難のあるオミと会話に少々難のある少年が、途切れ途切れではあるが雑談を交わしだす。
 「こレは…『ご飯』デスか?『オヤツ』デスか?」
 「オヤツだよ。後ちょっと採ったら帰ろうね。で、シャワー浴びて汗流して、それから『お昼ご飯』だね。」
 「アトちょっとシカ無いデスか?イチご。」
 「うー…ん、まだ時期が早いからね。それにルーヴが頑張ってくれたから。」
 オミが労をねぎらおうと『ルーヴが頑張った』を強調するように口にすると、それが伝わったらしく、照れ臭そうな笑顔を浮かべる。
 「ちょっとつまみ食いしちゃおうか?イチゴ。」
 いたずらっ子な表情をしながらイチゴを2個つまみ上げ、どこからともなく集めた水でサッと洗い、一つをルーヴへと手渡す。
 「葉っぱの方を持って、カプってするんだよ。」
 手にしたイチゴをマジマジッと見つめるル―ヴを、つまみ食いという『悪い子』への道へと誘うオミ。良くも悪くも聞き分けの良いルーヴは、一瞬迷う表情を見せたが、食への欲求と未知なるものへの好奇心に負け、オミに勧められるままイチゴを口にする。
 一口齧った途端にルーヴの目が見開かれ、瞳がキラキラと輝きだす。
 「そーでしょう、そうでしょう。美味しいよねー。」
 オミが、嬉しさと楽しさを満載した笑顔を見せながら、うんうんと頷いて見せ
 「と言うことで、もぅ1個イっちゃおうか。」
 いそいそと再びイチゴを手渡す。

子育て? ⑬

 イチゴ畑の最下段まで下りた二人と一匹は、端から順に実の様子を見ていく。尤も、少年はイチゴ自体目にするのは初めてなので、オミがざっと目を通して、赤く色付き収穫に適したものを見つけ出したら少年に教え、少年が収穫する形で作業を勧めている。
 オミに教えられながら幾つか収穫していると、じきに少年が不思議そうな表情をし、手に取ったイチゴをマジマジッと見つめるようになる。
 「どうしたの?」
 オミが何かあったかと声を掛けると
 「この…点々?粒々?なニでスか?ミんなに付いてるでス。」
 ルーヴが、手に持っていたイチゴを掲げ不思議そうに尋ねる。
 「種だよ。イチゴの種。それを上手に育てるとコレになるの。」
 微笑みながら答えるオミ。が、実はオミの脳内では、『委縮させるな』『緊張させるな』『気を使わせるな』と警告が渦を巻いている。そしてソレを『勘づかれるな』とも…。
 「…タネ。コレを育テる…。」
 少年は呆けた様にイチゴ畑を見回し、徐々に頬が紅潮しはじめる。
 「オミは…単に育てるだけなら得意だし?」
 微笑みかけながら、気を落ち着かせるように声を掛けると、ルーヴは視線を自分の手元と、笑顔を向けるオミの間で幾度も往復させる。暫く手元のイチゴを見つめ、次にゆっくりとオミの顔を見上げ、笑顔を返しながら力強く頷いて見せる。

子育て? ⑫

 木々や草花を眺めつつ又、木漏れ日に目を細めつつ、愉しげに歩く少年を連れて目的地のイチゴ畑へ。
 段々に削られた斜面に、一段置きにイチゴの苗が並んで植えられている様子を目にし、少年は圧倒されて硬直する。
 「流石にねー放り投げた状態のままじゃマズいかなって思って。頑張って並べてみた。」
 自慢気に声を掛けるオミ。
 ほへーと…圧倒されている少年の目には、ズラーっと並ぶイチゴの苗なえナエ…。斜面を削って作られた畑なので、どの段にもタップリと日が当たっている。
 「オミは露地専門だから。で、段々にしておくと、どの段にもキチンと日が当たって美味しくなるんだよ。ただ、一段一段が低いから…普通に収穫しようとすると腰にクルけど…。」
 オミが自嘲気味に笑いながら呟くと、その呟きを耳にした少年が不思議そうな表情でオミを見上げてくる。
 「『普通』じゃない収穫ってナにデすか?」
 少年の問いに、今度は穏やかな微笑みを浮かべて答える。
 「ん?PKとかね。オミは超能力使っちゃう。」
 「どレ採ったら良いとかも、ワかるデすか?」
 「分かるよー。遠くないけど『遠見』使うとか、『エンパシー』も良いね。で、PKでサクサクサクーって。」
 オミの答えに、ほぅほぅと納得の表情を見せる少年。
 「で・も、今日はフツーに採るよ。第一ルーヴ、君は超能力使っちゃダメだったろ?使っちゃダメって言うか、使えない状態になっているっていうか…だから鋏を持って来たんだし。それに、君はPK下手っぴって聞いたし。」
 口調が、責めている様にならない様気を付けながら軽く言い、にっこりと笑いかけ
 「下の段から見てみよう。幾つか生ってるから。」
 と声を掛けながら、少年を誘って前を歩き、下の方の段へと誘導していくオミ。


子育て? ⑪

 少年とオミ(とタイガー)がゆっくりと話しながら、畑へと向かう。
 時折後ろを振り返り、木々の間から下方に見える『木々に茂っている葉』とは異なる色を指し示し、問い掛けたり、教えたり。
 歩いている細径の傍らに茂る草花の名を問いたり、答えたり。遠くから聞こえる鳥の鳴き声に耳を澄ましたり。
 鬱蒼と茂る木々が、アーチ状に枝を広げたその下を、顔を上向かせて、危なっかしい歩きかたをしながら、ルーヴは興奮を抑えきれない様子で進んでいく。
 「足元、デコボコしてるから気を付けて。躓いて転んじゃうよ。」
 少年の様子に微笑ましいものを感じながらも、オミが注意を促す。尤も、ルーヴは、注意されたその時だけ足元に気を配るが、直ぐに目線は上へ。生い茂る木々の、枝葉の間から零れる日の光を、顔全体、身体全体で受け止める。
 そんな少年の様子を目に、オミが歩きでは無くPKで浮かんで移動すれば良かったかと思案していると、おもむろに少年が口を開く。
 「好きナ場所ダから、大きクなって数も増えタの?こンナに大キクなったリ増エたリするノに、ドレくらイかカるの?スぐになル?」
 教わった事は直ぐに理解し、その延長に繋がることも考慮できると推し量れる問いを口にしたが…経験不足と知識不足も露わになる。
 「直ぐは無理だねぇ。そこの太い方の木で50年は経ってるよ。隣の、細い方で20年位かな。」
 困った様な、気の毒がっているような、微妙な表情を見せながらオミが答え、すぐに続ける。
 「ルーヴの言った『すぐ』は、1年とか2年でしょ?…木の生長は5年位を目安にしないと。」
 「5年…。」
 「今ルーヴが10歳なら、15歳辺りまでの期間だね。それでも『若い木』って言われちゃうけど…。」
 時間の長さに圧倒されかけた少年へ、オミがあっけらかんと具体的な期間を提示すると、それを聞いた少年は納得の表情を見せ、新たな問いを口にする。
 「モシ今、木ノ種をいっぱい植エたら、5年経っタ時に『林』ミたイになりマスか?」
 「んー…元気に育ったら。」
 「?」
 ぼかしのある返事に困惑するルーヴ。
 「病気とか虫に食べられちゃうとか、後、お日様が照り過ぎちゃうとか、逆に雨が降り過ぎちゃうとか。色々起こるかもしれないでしょ?そういった事が無ければ…『林』みたいにはなるよ。」
 オミは、相手が子供だからと言って安請け合いはするんじゃない、とイツキに教えられたらしく、問題点を幾つか挙げ『簡単な事だと思うな』と遠回しに伝える。

子育て? ⑩

 ひと段落が付いたところでイツキに勧められ、オミとルーヴは籠と収穫鋏を持ち散歩へ出る。
 家の周りをグルッと一回りした後は、少々高い場所に作ったイチゴ畑へと足を向け…。
 「イチゴの最盛期はもうすぐなんだけど…オミは農家サンじゃないから、採れたてを食べられたら良いよねーってカンジで始めたんで、適当なんだよねぇ。実はちゃんと付いてるから、熟してたら持って帰ろうね。」
 オミが話しかけると、ルーヴは不思議そうな顔をして尋ねる。
 「農家サンじゃないのに、果物とか育てるんですか?」
 「野菜も育ててるよー。…でも、育ててるって言うか…育ってるって言うか…勝手に育ったと言うか…なんだけどね。」
 オミの答えに首をかしげるルーヴ。
 (勝手に育つモノだっけ?)
 オミは少年の不思議そうな表情を目にし、慌てて言い繕う。
 「あ…と、えーと…オミね、って言うかオミの血筋はね、植物育てるのに向いててね、時々、見て回ってちょこっと手入れしてってしていると、スクスク育ってもらえるの。」
 ほへーと、分かっているのかいないのか感心した表情でオミを見上げるルーヴ。そのルーヴの表情を見て、一般的な説明もしなければ間違って理解してしまうかもしれない、とオミはやや真面目な表情を見せ
 「えー…と、植物自体もね、自分が育つのに適した場所じゃ無かったら、普通は育たないからね。寒い所が好きな植物を、暖かい所で育てようとしたって育たないからね。オミがやっても、一旦は育っても、一日や二日で枯れたりもするからね。」
 当たり前過ぎるぐらい当たり前の事を、ゆっくりと、少年の表情の変化を追いながら話して聞かせる。少年はと言うと、オミの話しを聞きながら、説明されている状況を思い描き
 「寒い所が好きなノは、暖かい所を『暑い』って感じちゃうの?『茹っちゃうー』ってクターってなっちゃう?」
 ジェスチャーを交えつつ、たどたどしい話し方で尋ねる。
 「そうそう。逆に、暖かい所が好きな植物を寒い所に植えても…やっぱり枯れちゃう。」
 「『寒いっ、凍っちゃう』?」
 「うん。そう。」
 少年のジェスチャー付きの問いに、『そのとおり、合ってるよ』と笑顔で肯定する。


子育て? ⑨

 晴れた日は朝4時に起きて、身支度を整え軽く食事をし、オミと共に畑へ行き収穫や簡単な手入れを行う。自分で何かを育てるのなら、その時に一緒に手入れをする。家へ戻って、重めのお茶菓子を摂りつつお茶休憩をし、家事の手伝いとして、イツキが予め洗っておいた洗濯物を干し、休憩兼勉強として読書、或いは元気が余っていたら、イツキと共に昼食準備の手伝い。午後は午睡を取り、起きたら洗濯物を取り込んで畳み、その後軽くお茶休憩を取る。日が傾くまでドリルなどの勉強をし、夕方風が出て来たら今度は別の畑へ。日が落ちる前に帰り、風呂を済ませ夕食を摂り、日記をつけて就寝する。等と前向きで真面目な生活予定を組む。
 が…その場に居た三人が三人共、眉間に皺をよせ首をかしげる。何しろこの時間割には『遊ぶ時間』が全く含まれていないのだから。川に行く時間も海に行く時間も無ければ、沼の朝霧を見る時間も取られておらず、滝見学すらない。
 大体、敢えて出掛けなくても遊び呆けるのが『子ども』という存在であれば、遊び時間の無い時間割など『大嘘』以外の何物でもないだろう。
 ならば、と現実的な方向へ修正を試みる為に、優先すべき事柄や雨の日に回せる事柄をイツキが書き出し始める。
 「取り敢えず…ドリルは少しずつでも毎日やる方が望ましいから、コレは天気に関係なく入れるだろ。家事手伝いは、雨の日に重点的にやればいいとして、畑関係は晴れた日限定で…。日記は天気関係無しで、読書はどうしようかねぇ…言葉の勉強になるから、少しずつでも毎日やるのがお勧めなんだけど…例え絵本だって、読まないよりは良いんだしな。後は…昼寝か。これは天気関係無しで、一日おきにでも取らないと。」
 イツキが振り分けながら書き出しているのを目で追いながら
 「学校に居た時は、昼寝なんてしなかったです。学校が休みで、寮にいる時に、時々寝たりしましたけど。」
 ルーヴが、それまでの生活習慣を伝える。
 「疲れちゃうよ。慣れない場所で、慣れない生活を続けてると。で、熱が出たりして、寝込んじゃったりってなり兼ねないんだ。寝込むのヤだろ?」
 イツキが穏やかな表情と声で諭す様に訊くと、少年は合点がいった表情でウンウンと頷いて同意を示す。
 結局、外遊びは晴れている日中にしか出来ないのだからと、晴れの日は遊び要素を多めに配し、勉強や手伝い等は雨の日へ重点的に振り分け、疲れを癒す為の午睡は一日から二日おきに取る、と大雑把に決める。
 数日はその大雑把な時間割で過ごし、不備等の対処が必要な事柄に気付いたら適時対応・変更する事とし、大きなドーナツ状の円には、何度でも書き直し可能な様に薄く書き込まれ、リビングの壁に貼り付けられた。


子育て? ⑧

 大き目の画用紙に書かれた、大き目のドーナッツ状の円の内側の小さい円の中に、片方へは『晴れた日』もう片方には『雨の日』とルーヴがたどたどしく書き込んでいく。
 「じゃぁ、次は外側の輪っかの一番高い所に『24』、一番低い所に『12』って書き込みな。」
 イツキが書き込みの様子を眺めながら声を掛け
 「その次は、『24』の所から丸の形に合わせて右方向へずらして…一番右の端、上と下を見て真ん中になる所に『6』、それの真向かいに『18』って書きなね。」
 一日の過ごし方の時間配分を書き込む為に、目安となる時間を書き入れさせる。
 「後は『24』と『6』の間、真ん中の位置に『3』を、『6』と『12』の間の真ん中に『9』を、『12』と『18』の真ん中に『15』、『18』と『24』の間に『21』って入れたら…何とかなるかな。」
 ルーヴはイツキに言われるまま、せっせと数字を書き込んでいく。
 「?これって『時間』を書いたデスよね?『15』時とかって『何時』ですか?」
 書いたは良いが、分かっていないルーヴは、キョトンとしつつ不思議そうに首を傾げながら尋ねる。
 「12時はお昼ご飯の時間ですよね?15時って?18時とか…?」
 「ルーヴは『学校』で…お昼ご飯を食べた後、午後の勉強とかは何時からやってたかな?」
 「んー…と、11時半まで勉強で、その後お昼ご飯食べて…1時半からまた勉強の時間でした。って…あれ?」
 何かを察したらしく、自らの書き込んだ数字を指で辿りながらブツブツと呟く。
 「12で…15だから…13・14…で…。だから、12…1・2…で…。」
 必死に数えながら考えている少年の姿を、イツキが微笑ましく眺めていると、おもむろにルーヴが顔を上げ
 「15時はお昼の3時?それで…18時は夕方の6時?21時は夜の9時で合ってるデスか?」
 瞳を輝かせながら勢い込んで確認の声を挙げる。

子育て? ⑦

 「本を読む、絵を描く、パズルをする、だるそうに寝ているタイガーを無理くり起こして一緒に遊ぶ。」
 「自分の部屋やリビングやダイニングやキッチンの大掃除をする。」
 オミの提案にイツキが続けるが、少年の表情は優れない。
 「後は…勉強をする、かな。手紙にも書かれているし。」
 追い打ちをかけるイツキ。少年はガックリと肩を落とすが、イツキは気に留めずに
 「算数の計算ドリルと字の書き取り…これは公用語とルーヴの国の言葉だね、後、本を読んで感想文を書くとか、絵日記をつけるとかがあるワケだが?」
 と続ける。それを聞く少年は力無くうなだれて見せる。
 Ξ どうやら、外で何かをする方が好きみたいだね Ξ
 オミが楽し気にイツキへテレパシーを送ると
 Ξ ま、大抵の子供は外で遊びまわるのが好きなモンだ Ξ
 イツキも同意を示し、続けて
 Ξ だからって、ひたすら遊ばせて置けば良いってモンでもないしな。大体、体調を崩すだろ。この子は特に、栄養状態だって悪いんだから。下手したら疲れすぎて、熱出して倒れるゾ Ξ
 と注意するよう促す。
 「じゃぁ…天気のいい日は、朝と夕方、畑仕事を優先する、でどうだろう?雨の日はちょっとゆっくり起きて…ぅーん…ご飯作るの手伝うとか、食器準備したりとか片付け手伝うとかは?料理の下ごしらえ手伝うとかも。」
 「お、その手があるか。簡単な料理でも覚えて、先々お母さんに作ってあげるとかも良いな。」
 『お母さんに作ってあげる』にピコンと反応を示すルーヴ。
 「やる気になったな?じゃ、雨の日は料理関係を優先するか。」

 勉強とお父さんがどっかに行ってるのは突っ込んじゃダメ(取り敢えずこのタイミングでは)。

子育て? ⑥

 「まずは、一日の過ごし方を考えるべきだと思うんだけど…。」
 大き目のドーナッツ状の円を二つ書いた、大き目の画用紙を前にリビングのテーブルに座る三人。普段、イツキに急かされたりしながらも気ままに過ごしているオミにとっては、全くの謎とも思える一時が始まる。
 「ルーヴは…ココにいる間、ナニがしたい?海も山も川も沼もあるし、小さいけれど湖って言っても良い所もあって…あ、滝もあるけど?それとも家で本を読む?絵を描くとか、パズルもあるけど?」
 イツキが一つ一つ挙げる度に、少年の目が大きく見開きキラキラと輝きだす。
 「決められないか。」
 笑いながらイツキが尋ねると、ルーヴは照れくさそうなはにかんだ笑顔を見せる。
 「あぁそうだ…畑や果樹園もあるんだ。オミが一応手入れをしているんだけど。畑仕事とか興味あるかい?」
 イツキの問いに、期待に満ちた瞳で大きく二度三度と頷いて応えるルーヴ。
 「泳げたっけ?」
 首を横に振る。言葉での返事よりも、表情や身体でのジェスチャーがどうしても先になる。
 「まぁ、泳げないなら泳げないなりに遊べばいいワケで…と。で、だ。『手紙』には、早寝早起きは勿論の事、家の手伝いをしましょうとか、部屋の片づけは自分でしましょうとか、目的を持って何か一つやり遂げましょうとか書かれててね。で、オミの畑仕事を手伝えば、『早寝早起き』と『手伝い』はクリアーするね。なんなら自分で何か育てても良い。そうすれば『目的を持ってやり遂げる』もついでにクリアーされる。どう?」
 イツキの提案に、ルーヴはウンウン頷いて、早速ドーナッツ状の円に書き込もうとし始めるが、イツキは一旦その手を止めさせて、言葉を続ける。
 「待った、待った。今のは天気が晴れている時の話しだ。雨が降ったらどうする?」
 雨が降ったら?…外での作業は出来そうもない。じゃぁどうするか?少年は考え込む。


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