ガリガリに痩せた少年とその両親が『総本部』へとイツキやオミに連れられて来る。
見渡す限りの荒れた不毛の地のただ中に、忽然と姿を現す『総本部』。
荒地との境は刈り揃えられた下草が100メートル程生え、その内側に背の高い木が林を作り、更にその内側に灌木と下草が混在し、更に更にその内側に再び下草が…繰り返す様に草や木に覆われた一帯の内側に、人家らしき建物がポツポツと見え始める。
まばらに見える人家の数が内側へとその数を増やしていく。その間も規模が小さいとはいえ、下草が生えそろっている区域や灌木と下草が生えている区域や背の高い木の林やらが確認でき、又、その各区域の間をたっぷりの水量を保った川や運河が、幾筋も縫うように流れ最後には荒地へと向かい、荒地の只中を川となって流れ出している事も同時に見て取れる。
イツキやオミに保護された家族がいた国と『荒地のド真ん中』と言う点では同じ環境ではあるが、目に映る景色は全く異なる為、観光を兼ねた遊覧をサービスされた一家は目と口を丸くし、只々唖然としている。
「すごーぃ。母さん、スゴイよ。あっちにもこっちにも川があるよ。草がたっぷり生えてるよ。」
同じ景色を眺めていると分かってはいても、つい報告してしまう。
母親はそんな我が子の姿を愛おしげに眺めつつ、自らの居る上空から下の様子を眺めていた目線を横へと移動させ、彼方へと続く緑に覆われた景色を少し侘しげに眺める。自らの出身国が、このような姿をいつになったら見せられるかと口には出さず、又、置いてきた実家の家族達は息災に過ごしていけるだろうかと、只思いを馳せる。
「父さん、なんか凄いよ、水の中に沢山草が生えてる。そ・ゆ所が幾つもあるよ。」
興奮状態の少年は、同じ景色を見ている父親にもやはり嬉し気に報告する。
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