イツキに誘われ、オミにも促されて、外の様子がよく見える席に座る様勧められたルーヴは、出された飲み物やスナック菓子等を遠慮がちに口へ運びつつ、庭木の様子や微かに聞こえる小鳥の囀り、風に揺れる草花に目を輝かせている。
イツキやオミの問い掛けにも気もそぞろに一言二言答えると、直ぐに庭へと注意が向いてしまうルーヴの様子に、二人は微苦笑しつつ、そのまま好きにさせようと目配せし合い、ルーヴを真似る様に庭へと目を向ける。
興奮した様なキラキラとした目で庭を見つめるルーヴ、と、視界の邪魔にならないように気を付けつつ飲み物を口へと運ぶ二人。
ゆったりまったりと時間が進み…空になったグラスの内で溶けた氷の音を合図にしたように、我に返ったルーヴへとイツキが軽い調子で声を掛ける。
「『学校』からと『寮長先生』から、手紙を預かっているだろう?それをちょっと出してくれるかな?」
ルーヴはイツキに言われた内容から、着いたら直ぐに渡す様言付かっていたことを忘れていたと気付き、慌てて椅子から下りようとする。
「あー…焦んなくていいから。ちょっと位見るのが遅くなっても困らないから。」
慌てた様子を見せるルーヴへと和やかに声を掛けつつ、慣れるまではもう少しさり気なく言わないとマズイな、と秘かに考えるイツキ。傍らから様子を見ていたオミは、まさかオミ達を警戒していたりはしないよね?と微かに眉を寄せる。尤もルーヴ本人はそんな二人の様子に気付かず、持参していた荷物の中から、渡す様に言われていた『手紙』を大急ぎで探り出している。
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