オミが『その方どなた?』と確認を取ると、近所に住んでいたお年寄りで、頼りとなる身内も居らず一人で生活し、足を少々悪くしていて、小さい時から可愛がって貰っていたとたどたどしく答える。
「歩クの大変デね、食べるノ見つケルの大変。」
だから心配で、種を分けてあげたい、種は食べられるし植えれば増えるから、お爺ちゃん『大変』が減るでしょ、(要約)と続ける。
はぁ…はぁ…成程、とオミは耳を傾けてはいるが、同時にイツキへテレパシーで伝える。
Ξ …って事らしいんだけど。どなただか分かるぅ? Ξ
Ξ 無理っ。イメージは? Ξ
Ξ 覗くの?ルーヴを? Ξ
オミが少々抵抗を感じると伝えると
Ξ 『誰か』なんて、見なきゃ分からないし…。写真なんて無いだろうし。今なら鮮明に浮かんでいるんじゃないか? Ξ
イツキに強く言われ渋々従うオミ。見えた映像をそのままイツキへと伝える。
Ξ あぁ、この人なら知ってる。近在の人達と一緒に高台へ移動してるぞ。生活も、近所の人が交代で…少しだけども援助してるから、安心するように伝えとけ Ξ
イツキからの、割合最近の様子と思われる映像を、今度はルーヴへと送るオミ。
「チョットだけ目を瞑って…。見えた?結構最近の様子らしいよ。」
オミの説明を聞きながら、脳へと直接送られてくる映像に、驚きの表情を見せるルーヴ。
一通り見せた後
「どぅ?少しは安心できた?」
笑い掛けながら問うオミに、はにかんだ笑顔をみせるルーヴ。そのルーヴの頭を優しくなでながら
「ただ…『種をあげる』は、ねぇ…。昔は結構頻繁に上げたり貰ったりしてたんだけど、今は色々問題もあってね。総本部の偉い人に聞いてみないと…。」
困ったように眉を寄せて、コチラの一存では決められないと伝える。ただ、同時にやり様は有るとも伝えるのを忘れない。
「アチラの国…ルーヴの故郷で、ルーヴがお金を払って買うんなら…総本部は何も言わないし言えないよ。で、ルーヴが自分の家で育てて、ソレを誰かに譲るってなったら、それこそ誰にも何も言わせずに済む。」
そこまで言いながらも、気にかかる問題点をも合わせて伝える。
「問題は…それを知ったら、知った人全員が欲しがるだろうって事で。泥棒しようって人が居るかもしれない、例えそれがお爺ちゃん相手でも。それに…言ったら悪いけど、あそこの王様ケチっぽいから…勝手に食べ物を増やしていたら、カンカンに怒るだろうねぇ…。」
困ったもんだ。溜息をもらすオミ。
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