「で、だ。シン君?」
イツキが口調と態度を変え話しかける。
「決めるのは君達だからソコに口は挟まないけど。ソコとは別で。俺達は…一応、お仕事上の制約があってね。クライアント様のアレコレを他言しちゃいけないんだよね、実は。特に仕事で知り得た『内情』なんて…口外する訳にいかないんだよねぇ…。」
イツキが、既に話してしまっているにも拘らず、敢えて遠回しに物言いたげな視線付きで言ってくるのを、訝し気に耳にし、僅かの間思案して
「あっ。あー…はいはい。俺聞いていません。モト君チの事情なんて。それも妹さんの事なんて。もぅ、全然、全く、ちぃーっとも、聞いてなんて居ません。はい。」
ブンブンと勢い良く首を左右に振り『聞いていない』と確約するシン。タイガーが頭に乗っていなくて何よりだ。
暫くの間3人で雑談を交わしたり、タイガーが頭に乗ろうとするのを阻止したり抵抗したりと過ごしていると、買い物組が賑やかに戻ってくる。
「たっだいまー。」
ルーヴと共に先頭で帰って来たカズキが元気に挨拶すると、釣られた様にルーヴも
「た…たダイまー。」
少々どもりながらも元気に挨拶をする。が、目はシンの頭へ…。
ルーヴが、見慣れない状況にポケラっとしている内に、次々と同行していたお兄ちゃん達やお姉ちゃん達が帰ってきて
「ただいまー。」
「何飲んでたの?」
「この皿なに?タイガーの?」
「俺も何か頼んで良い?」
テンでバラバラに、シンの頭の上でダラケきっているタイガーの事などお構いなしで話しかける。
ルーヴは皆のその態度から、シンとタイガーの様子は驚くにはあたらない光景なのだと理解するが…。理解すると同時に、驚かなくても構わない事なのか?と別の疑問を感じてしまい、結局…そのままポケラっと…。
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